6月23日に最終回を迎えた『ペンティングトレイン-8時23分、明日 君と』(TBS系・金曜22時〜)。多くの反響があった最終回の見どころを振り返ります。

『ペンティングトレイン』最終回。ハッピーエンド? それとも…本質はそれぞれの「中」に。

乗車していた電車が近未来に飛ばされてしまった山田裕貴さん演じる美容師・萱島直哉を始め、消防士の白浜優斗(赤楚衛二さん)、畑野紗枝(上白石萌歌さん)ら。

全員で知恵を出し合い、力を合わせて現代に戻ってきます。が、戻ってきた2026年は隕石が地球に衝突するとされている年。

白浜らはどうにか未来を変えるために声を上げ続けますが、だれも耳を傾けてくれません。それどころか、ネット上でプライベートを暴かれ、事実ではない情報を信じて迷惑行為をしてくる人も多数。そんな中、リーダー的存在だった白浜の心もポキリと折れてしまいます。

白浜がそうなったとき、がんばってくれるのが萱島です。現代に戻ってからは、未来で共に過ごしていた乗客たちとも距離を取ろうとしていましたが、会合にも顔を出すように。相性が悪いのかと思いきや、やはり茅島と白浜は言葉にせずとも支え合っているのだな、ということを改めて感じます。

もちろん、ふたりが前向きになっていくのは周りの仲間の存在もあるから。過酷な状況を一緒に過ごしたからこそ、分かり合えるものもあったに違いありません。

●物語の結末は…

しかし、悲観すべきことばかりではありません。物理学教授・蓮見(間宮祥太朗さん)を中心に、乗客が持ち帰った未来の品々が彼らの言葉を裏付ける証拠に。さらに、衝突すると思しき隕石も発見。政府もようやく動き出します。

こういう場合、隕石をミサイルでどうにかこうにかする…というのがよく見聞きするパターンですが、本当のところどれだけ効果があるのか。

実際、物語の結末は明示されていません。蓮見の様子を見ると、うまくいったようにも見えます。ただ、未来に残った田中(杉本哲太さん)は相変わらず、たくましく生きています。萱島たちが戻った世界線とは違う未来を生きている状態になるのか…難しいところ。

●この作品が本当に伝えたかったこととは…?

ただ、この作品の伝えたかったのはきっと、別のことです。

それは、迷惑系YouTuberたちに向かって萱島が発した「中を見ろ」という言葉。上っ面だけを見てああだこうだ言う世の中。目の前にいる人の心の中をちゃんと見ているのか。「つながる」なんて形ばかりの言葉ではなく、心のシャッターを開けて人と接したい。人を信じること、期待することができなかった萱島の言葉だからこそ重みがあります。

そんな萱島が最後に向かったのは白浜のところ。隕石衝突に備えてみんなが避難する中、白浜は残る決意をします。最後まで、できるだけたくさんの人を助けたい。ヒーロー道を突き進む白浜のもとに向かい、一緒に「やれるだけやってみよう」と声をかけ合います。

絶望的な状況の中でもお互いを信じて希望を捨てないということは、ふたりにとってはなによりも明るい未来なのかもしれません。

もちろん、萱島と畑野のラストシーンも秀逸。畑野が抱いている赤ちゃん(小春と亘の子ども)の頭をそっと撫でてから、抱きしめ「おかげで居心地よくなったよ。今は」。

ここでキスしたりしないのが萱島(本当にこれがよかった)。温かいシーンに胸を打たれます。

萱島が言った「中を見ろ」という言葉。ドラマに対しても同じことが言えるのかもしれません。伝えたかったのは一体どんなことなのか。見た人がそれぞれ、出す答えは違っていいはずです。