マイクロンは中国本土および香港の顧客からの売り上げが総売上高の4分の1を占める。写真は陝西省西安市にある現地生産拠点(同社ウェブサイトより)

「中国に本社を置く顧客からの売り上げの約半分が、リスクに直面するとみている」――。

アメリカの半導体メモリー大手のマイクロン・テクノロジーは6月16日、アメリカ証券取引委員会(SEC)に提出した報告書のなかで、自社製品が中国当局のサイバーセキュリティ審査で問題を指摘された影響についての見解を初めて明らかにした。

この報告書によれば、中国本土および香港に本社を置く顧客からの売り上げはマイクロンの総売上高の4分の1を占めており、その約半分が影響を受ける可能性があるという。換言すれば、同社は総売上高に対して2桁台前半の減収リスクを抱えているということだ。

影響は不透明かつ流動的

中国のインターネット規制を所管する国家インターネット情報弁公室は5月21日、マイクロン製品に「サイバーセキュリティー上の深刻な問題があることが判明した」と発表。「中国の重要情報インフラ施設のサプライチェーンに大きなセキュリティーリスクをもたらし、国家安全保障に影響を及ぼす」との理由で、重要情報インフラ施設の運営者にマイクロン製品の調達中止を命じた。

この審査結果について、マイクロンはSECへの報告書のなかで(「重要情報インフラ施設」の範疇があいまいなことなどから)「影響は不透明かつ流動的だ」と述べている。

だが同時に、マイクロンは「中国の重要情報インフラ施設の運営者や政府機関の担当者が、わが社の複数の顧客に連絡し、マイクロン製品を今後も使用するかどうかの聞き取りをした」と明らかにし、焦燥感を顕わにした。

では、中国のマイクロンの顧客たちは、現実にどのような対応をとっているのだろうか。


マイクロン・テクノロジーが6月16日、アメリカ証券取引委員会(SEC)に提出した報告書(写真:編集部撮影)

「審査結果が発表された後、取引先の求めに応じて、サーバーやコンピューター、ストレージなどにマイクロン製メモリーを搭載するのをやめた」。中国のサーバーメーカーの関係者たちは、財新記者の取材に対してそう口をそろえた。

「金融機関や政府関連の取引先は、マイクロン製品(の使用)に対して特に敏感になっている。われわれサーバーメーカーは、先方の事情に合わせざるをえない」(大手サーバーメーカーの担当者)というのが実態だという。

「代替可能で影響は小さい」

そのうえで、彼らは次のように本音を語った。


本記事は「財新」の提供記事です

「マイクロン製品は(汎用メモリーであるため)代替不可能ではないし、性能面や価格面で突出した競争力があるわけでもない。したがって、当局の調達禁止令による(自分たちのビジネスへの)影響は大きくない」

(財新記者:劉沛林、翟少輝)
※原文の配信は6月16日

(財新 Biz&Tech)