学校で習った英単語や表現をシチュエーション考えずに使うと、相手がびっくりしてしまうことがありそうです(写真:Fast &Slow/PIXTA)

英語で話すときに、つい日本語から英語に直訳しようとして詰まってしまう……そんな経験がある人は少なくないはず。本稿では、英語が超苦手だったのに、アメリカでベストセラーまで出した文筆家、岩田リョウコ氏の最新刊『直訳やめたら英語が一気にできるようになった私の話』より、日本人が学校で習ったからといって使いがちだけれど、ネイティブからすると意味が微妙に違って驚いてしまうこともある表現を紹介します。

「遊ぶ」はplayでいいの?

英語で話すとき、最初は自分が話すことでいっぱいいっぱいだと思うのですが、少しずつ話すこと、聞くことに慣れてくると、相手の言葉の使い方や言い回しなどに気づく余裕が生まれます。すると、こういうシチュエーションのときはこんな言い回しをするっぽいな、と気づき始めます。そして、今度は使ってみる。

こうやって新しい単語や言い回しが自分のものになっていきます。それが生きた英語の習得なのだと思います。

新しいことは取り入れやすいですが、すでに学校で習って「正しい」と思って使ってきた表現や単語は、まちがいだと気づいて変えるのは時間がかかります。わたしも学校でそう習ったからと使い続けていて、数年かかってやっとまちがいに気づくこともたくさんありました。その中からわたしもまちがえていたこと、日本人がよくまちがえていると思うことをいくつかピックアップしてみます。

はじめて会って、次に遊ぶ約束をするとき。遊ぶは「play」と習ったので、「今度遊ぼう!」と言いたければ「Let's play soon!」と「Let's play」を使って作りたいですよね。

でも生の英語では「play」は、物を使って遊ぶイメージなんです。だから「Let's play」って言われていると、「何を使って遊ぶの?」って思われてしまいます。

会ってごはんを食べに行ったり、カフェでお茶したり、飲みに ったりとか、そういう種類の遊ぶのときは「hang out」を使います。使い方の例はこんな感じ。

Let's hang out soon! 今度遊びに行きましょう!
We should hang out! 今度遊ぼう!
Do you want to hang out today? 今日遊べる?
When can we hang out next? 今度いつ遊ぶ?
I'm going to hang out with my friends tonight. 今夜友だちと遊ぶ予定です。

出会ったばかりの人との会話を広げるのに便利な趣味の話。

Whatʼs your hobby?

習いましたよね。しかーし!そんな便利な趣味についての話の場合、「What’s your hobby?」はあまり使いません。いや、あまりどころか聞かれたこともないかもしれません。 英語が話せるようになった今、「Whatʼs your hobby?」って聞かれたら「ホビー? おもっ! そんなちゃんとしたホビーはないですね」って答えると思います。

ホビーってすごく凝っていて何かを収集してるイメージ。だから映画鑑賞とか気軽に言えない感じがします。じゃあどう言うの?ですが「What do you like to do?」のように「好きなことって何?」と聞くのが一番カジュアルで、重くないです。答え方としてはこんな感じ。

I like going to saunas. サウナが好きです。
I watch lots of movies. たくさん映画を観ます。

「Hospital へ行く」はだいぶ深刻

重いつながりでもうひとつ。病院を英語で言うと紛れもなくhospitalです。なので、病院へ行くなら

Iʼm going to the hospital.

でしょと思いますよね。でもめったに言わないんです。えー!ですよね。「hospitalに行く」と言うと、なんだかものすごく深刻で大変な病気なんだと思われてしまいます。英語でhospitalのイメージは、大きな手術とかバンバンやっている総合大病院。風邪をひいた、発疹ができた、目がかゆいとか日本で普通に「ちょっと病院に行く」ときに使うのは

Iʼm going to see the doctor.

お医者さんにみてもらうという意味ですね。ちなみに病院でもらった薬を飲むとき。「飲む」ですが「drink the medicine」ではありません。薬を飲むときは「take」を使います。

I'll take my medicine at 10 pm. 午後10時に薬を飲みます。
Take 1 pill after each meal, 3 times a day. 1日3回、食事の後に1錠飲んでください。

日本語では予約は予約、でも英語だと予約する先によって単語が変わります。例えば病院の予約は appointment です。でもレストランはreservation。appointmentは人に関係する予約、そしてreservationは場所とかモノを予約するときに使います。

I have a reservation at a Michelin-Starred restaurant tonight!
今夜、ミシュランの星つきレストランの予約が取れたの!

I forgot my appointment with my dentist yesterday.
昨日歯医者を予約していたのに、行くのを忘れた。

I made a reservation for a private sauna for tomorrow.
明日、個室サウナの予約をしてあります。

「promise」はかなり重い約束

指切りの約束と予定の約束はちがう友だちと約束があるとき。約束は promiseと習ったので、「I have a promise with my friend」とか「I promise my friend for dinner」と文章をつくりたいですよね。

でも英語の「約束(promise)」は指切りで誓ったような約束のことを言います。なのでpromise を使うのは「君を絶対に泣かせないと約束する(I promise never to make you cry)」みたいなときです。

では、ごはんの約束などの約束はどう言うかというと、「plan」です。簡単ですね。

I have plans with my friends tonight. 今夜友だちと約束がある。
I already have plans for dinner. 今日はもう夜ごはんの約束があるんです。

他にも約束なんて言わなくてもシンプルに、

Iʼm going out with my husband tonight. 今夜、夫とデートな んです。
Iʼm busy today. 今日はいそがしいんです。
Iʼm meeting my friend tomorrow. 明日友だちと会う予定です。

質問として聞くときも promise は使いません。

Do you have any plans for tomorrow? 明日は何か予定あります か?
Whatʼs the plan for today? 今日の予定ってどんな感じ?
What are you doing this weekend? 今週末って何してる?

これはまちがっているというより、日本語と英語が逆なので直訳するとおかしくなってしまうものです。「ごはんだよ〜」とお母さんに呼ばれたとき「今行く〜」と返事しますよね。

自分が行くので「Iʼm going」と言いたくなりますが、この場合は 「Iʼm coming」なんです。話している相手、もしくは自分のどちらかがいるほうへ行くときはcomeを、そして自分も相手もいない場 所へ行くときはgoを使います。



ComeとGoはどう使い分ける?

Iʼm coming to your house at 8 pm. 8時にあなたの家へ行くね。

これは、相手の家へ行くからcomeですね


What are your plans for the holidays? 冬休みは何するの?
Iʼm going to the UK for Christmas. クリスマスはイギリスに行くよ。

「冬休みは何するの?」という質問なので、相手も自分も同じ場所で話しているためここはgoですね。

My family is coming to Seattle from Japan next week.
来週、家族が日本からシアトルに来るよ。

comeを使っているということから、自分がシアトルに住んでいて来週日本の家族がシアトルに来ると伝えているのがわかりますね。

というわけで、comeとgoを使い分けなきゃいけないのですが、これも日本語から直訳するからこんがらがるわけで、英語で考えて話していれば感覚で身につくようになります!

(岩田 リョウコ : 文筆業、イラストレーター)