(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が7月19日に刊行予定)。第69回は試験で結果を出す人にある共通点について解説します。

この連載のほかの記事はこちらからご覧ください。

頭のいい人って、勉強する前にどんな準備をしていると思いますか?

僕たちは多くの東大生たちを研究してきましたが、その中の1つが、「数字が入った小さい目標を決めている」というものです。

本を読む勉強でも、参考書の問題を解く勉強でも、人の話を聞く勉強でも、実は勉強する前に東大生はある行動をしている場合が多いんです。

それは、「数字が入った小さい目標を決めている」というものです。

細かく目標設定をする


「この30分で、10ページ終わらせる」とか「寝る前の1時間で、20問解く」とか、そういう数値的な目標設定をしてから物事を始めているのです。

それも、かなり細かく、たとえ5分の勉強だとしても1コマの授業だとしても、明確に決めているのです。

「次の駅までに1ページ終わらせよう」「この50分でこの3問が解けるようになろう」と、どんなにちょっとした勉強であっても、細かくゴール設定をしてから勉強をしています。

なぜ、こういうことをしているのか?これを今回はみなさんに共有させていただきたいと思います。

まずはこちらの『ドラゴン桜』のワンシーンをご覧ください。定期テストについて桜木先生が語っているシーンです。

※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください




(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)

一定の感覚でゴールを設定することで、人間は物事を継続することができるという話でした。

桜木先生の言うとおり、結局人間は、なんらかの目標があったほうがどんなときでも頑張れるものです。

実際、「数字の目標があったほうが頑張れる」というのは、行動経済学の分野で科学的に証明されています。

例えば、100回の腹筋をするとして、「1、2、3……。」と数えながら腹筋するのと、数えないでただ黙々と腹筋して、第三者から「今ので100回目だったよ」と教えてもらうのだと、どちらのほうが腹筋を頑張れそうでしょうか。

正解は、ほとんどの人が、「数えながら」のほうがうまくいきます。「あと3回で終わりだ!あと3回だからがんばろう!」と、終わりが見えているほうがうまく頑張れて、「あと何回やればいいんだろう……」とゴールが見えない状態だと、あまり頑張れないのです。

だからこそ、東大生は簡単な勉強でも「明確な数字の目標」を設定するのです。

例えば、「テストでいい点を取りたい」という人は多いと思いますが、東大生は「テストでいい点を取りたい」という目標設定はあまりしません。

「次のテストで、数学は70点を取りたい。英語は80点を取りたい」と、「いい点」を具体的にして、明確な目標設定をします。

こうすることで、うまくいったときには「うまくいった!」と喜ぶことができ、失敗したら「自分の努力が足りなかった」と反省することができます。

明確な目標がないと成功も失敗もない

逆に、「いい点を取りたい」と考えているだけだと、仮に数学が69点だったとして、「うまくいった」と考えることも「自分の努力が足りなかった」と反省することもできません。

明確な目標がないから、成功も失敗もないのです。これでは、「次こそはがんばろう」とか「次回はもっといい点を取ろう」とか、あんまり考えられないんですよね。

小さなところから、明確な数字の目標を設定する。そして、その目標を達成できるように頑張る。達成できたら喜んで、できなかったら悔しがる。

簡単なように聞こえるかもしれませんが、これを徹底していれば、おのずと勉強はうまくいきます。読者の皆さんもぜひ試してみてください。

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)