共働きで、家事に避ける時間がない。そのうえ、片づけも苦手‥。そこでハウスメーカーでの家づくりの際に「散らかって見えないキッチン」をプランすることにした日刊住まいライター。そこそこ家事をこなせば、自然にすっきり見えるキッチンにするために工夫したこと。そして、実際の使い勝手について語ります。

手元を隠す、立ち上がりのあるキッチン

わが家は、夫婦と1歳の長男の3人暮らし。1年半前にハウスメーカーで、注文住宅を建てました。

夫婦でともに、働いています。家事にあまり時間は割けませんし、片づけも苦手です。そのうえ、仕事で疲れて帰ってきて、ごちゃごちゃとしたキッチンを見ると、げんなりしてしまう筆者。

そこで家づくりの際には、なるべく散らかっているように見えないキッチンを目指しました。

 

工夫のひとつは、手元を隠す、立ち上がりのあるキッチンを採用したことです。

モデルルームによくある、おしゃれなフルフラットキッチンに、筆者も憧れた時期がありました。しかし、共働き&片づけが苦手なわが家。そんなキッチンにしたところで、調味料や洗剤、水切りラックなどを丸出しにしてしまい、生活感でいっぱいになってしまうことでしょう…。

 

実際、手元隠しがあるのは大正解でした。仕事に育児と忙しくて、食器洗いのあとのふき上げと片づけをあと回しにしてしまう筆者。水切りラックに洗った食器を放置した状態が、リビングやダイニング側からは見えないことに、とても助けられています。

もし散らかった印象を目にしてしまったら、「片づけなければ」というプレッシャーにさいなまれたのでは。手元隠しは、精神衛生的によい働きをしています。

 

プランニングの段階では、「立ち上がりがあると、キッチンの背が高くなり、圧迫感が出るのでは」という不安がありました。しかし、1年半ほど暮らしてみて、実際に感じたことはありません。

 

また、立ち上がりのあるキッチンにしたことで、収納スペースの追加になりました。これはうれしい誤算。筆者が採用したタイプは、ダイニング側の方にオープン棚があるものです。

 

ただ、便利使いが過ぎました。郵便物や仕事道具の一時置き場として、ポイポイものを置いてしまっていたところ、生活感が丸出しに。

そこで、あとづけで同色のカーテンを取りつけました。おかげで、すっきりと見えるように。

 

余談ではありますが、立ち上がりのあるキッチンとはいえ、油はねには有効ではありません。わが家では、油が多く出そうな調理をする際には、ガードを使っています。

つけてよかったパントリーのドア

家を建てる際のコストカットの手法のひとつとして、ドアの数を減らすというのがあります。パントリーやクローゼットのドアをなくし、代わりにおしゃれなR垂れ壁(アーチ壁)にしている施工例を、SNSでよく見ます。

わが家でも、当初はおしゃれなR垂れ壁を採用しようと思いました。しかし、結局ドアをつけました。

理由は2つ。散らかってしまいがちなパントリーを隠すためと、子どものパントリーでのいたずらを防ぐためです。

 

結果的に、これは大正解でした。わが家では筆者がキッチンにいるときは、家事をスムーズにするためにドアはあけっ放しに。来客時など視線を気にするときは、ドアを閉めてごちゃごちゃしたパントリーを隠すことにしています。

このような使い方が、筆者の性格にとても合っているのです。ドアで隠せるので、パントリーでのものの置き方に、神経を使わないでいいのがうれしい!

子どもによるパントリー内への侵入を防ぐのにも効果が。わが家は、リビングとキッチンの間の侵入防止のベビーゲートを設けています。じつはそれを閉め忘れることがまれにありますが、パントリーのドアのおかげで、侵入を防げるのです。

 

十分な収納量のキッチンボードとカップボード

散らかって見えないための工夫としてもうひとつ。収納量を重視して、キッチンのレイアウトを決めました。

たとえば、キッチンの壁づけの収納回り。カップボードの上段(つり戸棚)をなしにするスタイルは、スタイリッシュでひかれましたが、見送っています。

つり戸棚があって、隠してしまう収納スペースに加えて、ちょっとディスプレーのようなカウンターのあるタイプを採用。おかげで、食器集めが趣味の筆者のアイテムをすべてしまっても、あまるくらいの収納量があります。大満足です。

壁づけの収納スペースは、ダイニングやリビングから見えやすい部分。しっかり収納量を確保して、隠せるようにしたので、「ごちゃごちゃ見えない」「収納場所がないものによる散らかりを防ぐ」ことができました。

1年半住んでみて、今のところ、散らかって見えないキッチンづくりは成功したと思います。もしかしたら、子育てが落ち着いたり、仕事を辞めたりしたときに、「もっとスタイル重視したキッチンにしたほうがよかった」と思う日が来るかも。しかしとりあえず、今のキッチンが筆者には合っています。