08年の関東オークスを制したユキチャン(撮影:高橋正和)

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 6月14日(水)に川崎競馬場で行われる関東オークス(3歳牝・JpnII・ダ2100m)。ダートの世代女王決定戦として長い歴史を持ち、地方・中央双方の若き牝馬がしのぎを削ってきた。

 中でもユキチャンが勝った08年のレースは印象深い。父はクロフネ、母はシラユキヒメ、母の父サンデーサイレンスという血統。何といっても最大の特徴は母から受け継いだ真っ白な馬体だった。そして、白毛馬として初めて重賞を制覇。現在に至る“白毛一族”活躍のきっかけになった一頭といってもいい。

「ユキチャン単勝専用窓口」が設置されるなど、ファンや関係者から熱視線を集めた一戦。2番人気に支持されたユキチャンは、期待に応えて圧倒的なパフォーマンスを披露した。1周目のホームストレッチから馬なりで先手を奪うと、他馬はついていくので精一杯。直線ではカクテル光線に照らされた白い馬体が踊り、8馬身差で圧勝したのだ。

 ユキチャンは、のちに地方へ移籍してダートグレード競走をさらに2勝。NAR賞最優秀牝馬を受賞するなど活躍し、10年の川崎マイラーズを最後に引退した。繁殖入り後は次々に白毛馬を送り出し枝葉を広げると、孫のメイケイエールが重賞を6勝。姉妹のブチコやマシュマロとともに名繁殖といわれるようになった。

 奇しくも今週末にはユキチャンの仔アマンテビアンコ(牡2、美浦・宮田敬介厩舎)がデビューを予定。こちらは牡馬なので母仔制覇……とはいかないが、母が躍動した川崎や南関東のビッグレースで、いつか姿を見せて欲しい。