函館スプリントSを制したキミワクイーン(撮影:山中博喜)

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【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ
・6/11 函館スプリントS(GIII・函館・芝1200m)

 いつもより後ろに位置したキミワクイーンが直線で外から伸び、ジュビリーヘッドを3/4馬身とらえました。ロードカナロア産駒のワンツーフィニッシュです。キミワクイーンは母方にサクラバクシンオーを持つロードカナロア産駒。

 この配合は成功しており、高松宮記念を勝ったファストフォースをはじめ、キルロード、テイエムトッキュウ、ペプチドバンブー、サトノレーヴなど活躍馬が目白押し。連対率36.3%、1走あたりの賞金額448万円は、ロードカナロア産駒全体の19.6%、227万円を大きく上回ります。日曜日の函館新馬戦を勝ったロータスワンドもこのパターンの配合馬でした。重賞に限らずこの配合パターンは注目です。

◆今週の血統Tips

 新種牡馬ブリックスアンドモルタルが好調です。2歳戦の開幕週にテラメリタが、2週目にゴンバデカーブースが勝利を挙げ、現在2週連続勝利。JRA2歳勝利数ランキングではモーリス(3勝)に次ぐ第2位です。これ以上ない滑り出しといえるでしょう。

 現役時代、鋭い決め手を武器にアメリカで芝GIを5勝し、米年度代表馬に選出されました。おもしろいことに、テラメリタもゴンバデカーブースも逃げ切り勝ち。とりあえず現時点では父と仔の脚質は対照的です。この勢いが持続するのか、どのぐらいの距離が向くのか、脚質はどうなのかなど、2歳戦を見ながら考えていきたいところです。現時点でこの種牡馬はこうだと決めつけることはやめたほうがいいでしょう。

 少なくとも最初の半年間は観察の期間とし、その走りから何を感じるかが重要です。少ないサンプルで最初にこうだと決めつけると、あとあと方向転換しづらくなります。新種牡馬の走りを継続的に眺めていると、日々、認識をあらためる必要に迫られます。それが普通です。種牡馬というものは、産駒が走り始めてからだいたい3世代を経ないと確かなことは分からないものです。