日本代表でも中軸となる「欧州組の今季の活躍度」を識者がランキング化 昨季までと激変した番付とは?
欧州サッカー日本人選手番付(後)
2022−23シーズン、欧州で最も目覚ましい活躍を見せた日本人選手は誰か。日本と欧州のサッカーを長く取材してきた4人のジャーナリストに、それぞれトップ5を挙げてもらい、それをもとにランキング化した。
誰が見ても"スゴい"活躍だった三笘薫
浅田真樹
5位 古橋亨梧(セルティック)
所属するリーグも違えば、チームも違うだけに、選手個々の出来を比較するのは難しい。とはいえ、やはりリーグ戦27ゴールでの得点王獲得は高く評価されるべきだろう。チャンピオンズリーグ(CL)でのゴールがなかったのは残念だったが、カップ戦も含めた50試合で34ゴールは驚異的な数字だ。
ただし、スコットランドリーグ王者セルティックに所属する古橋は、格下相手との対戦がほとんどで、より多くの得点機が巡ってくるのも確か。来季の移籍が実現し、さらにレベルの高いリーグでプレーする姿を見てみたい。
4位 上田綺世(セルクル・ブルージュ)
5大リーグではないベルギーリーグとはいえ、ヨーロッパ挑戦最初のシーズンで、得点ランク2位となる22ゴール。しかもリーグ中位のチームに所属してのこの数字は、すばらしい結果だ。チーム総得点の半分近くを叩き出しているのは、チーム内で信頼されている証であり、異なる環境への適応能力も高いのだろう。
日本人ストライカーはヨーロッパで成功しないと言われてきたが、今後さらにステップアップできれば、その評価を大きく覆す存在となるのかもしれない。
3位 鎌田大地(フランクフルト)
昨季残したインパクトがあまりに強かったため、今季はややパワーダウンした印象もあるが、むしろ、ヨーロッパトップレベルのリーグでも安定した活躍ができる領域に達したと、表現したほうがいいのだろう。
リーグ戦だけでなく、カップ戦で準優勝、さらには初のCLでも決勝トーナメント進出を果たすなど、中心選手としてチームの好成績に大きく貢献した。2列目でもボランチでもプレーでき、中盤の選手としては優れた得点能力も備える。新天地での活躍が楽しみだ。
【好不調の波がなくなった堂安律】
2位 久保建英(レアル・ソシエダ)
リーグ戦9ゴールという数字はもちろんのこと、それ以外にも数多くのチャンスに絡み、攻撃の中心としてシーズンを通してプレーし続けたことは高い評価に値する。Jリーグからスペインへ戻って以降、思うような結果を残せず、所属チームも残留争いに苦しむことが多かったが、自身もチームも充実のシーズンを送ったと言っていい。
ヨーロッパリーグ(EL)でもう少し勝ち上がることができれば言うことなしだったが、来季のCL出場権は確保。まさに成長目覚ましいシーズンだった。
初めてのプレミアリーグで7得点を挙げた三笘薫(ブライトン)
1位 三笘薫(ブライトン)
現在、世界最高レベルにあるリーグで、文句のつけようがない強烈なインパクトを残した。これまでヨーロッパでプレーしてきた日本人選手というと、脇役的なタイプが多かったが、三笘の場合は独力でのドリブル突破からチャンスメイクするという、世界中の誰が見ても"スゴい"とわかる活躍を見せた。
ブライトン自体も非常に魅力的なサッカーをしていたこと。そして、来季のEL出場権を獲得したこと。それらチームとしての成果も含めて、今季の三笘の活躍ぶりは、歴代日本人選手のなかでも屈指だろう。
相性抜群の環境でプレーした久保建英
中山淳
5位 伊東純也(スタッド・ランス)
日本人アタッカーにとっての難所とされるリーグ・アンで、移籍初年度ながらチームの主軸として毎試合、コンスタントに活躍。35試合(うち34試合は先発)に出場し、6得点5アシストを記録するなど、充実のシーズンだった。しかも、30歳にして選手として進化を続け、スピード以外の武器を増やしたことが最大の収穫だ。
チームは最終的に11位に終わったが、クラブ史上最高の19戦無敗記録を打ち立てた。伊東は中心選手としてその快進撃をけん引した。
4位 堂安律(フライブルク)
リーグ戦5得点は、ブンデスのビーレフェルトでプレーした一昨季と同じ数字で、PSVで8得点を記録した昨シーズンよりも3点下回ったが、パフォーマンスが年々向上していることを証明したことは間違いない。しかも、今季はチームがEL出場権を獲得。そのなかで、主に左サイドで攻撃の主軸を担った。
とりわけ今季は好不調の波がなくなり、コンスタントに活躍できるようになったことが成長の証。来季も進化が期待できそうだ。
【総合で1位は三笘薫】
3位 鎌田大地(フランクフルト)
自身、初のCLの舞台に立ち、3得点。決勝トーナメントに進出したうえ、リーグ戦でも昨季を大きく上回る9得点を記録した。カタールW杯後に少し中だるみはあったが、シーズン前半戦はボランチでプレーするなど、今後に向けてプレーの幅を広げたことは大きな財産となったはずだ。
チームは7位で国内カップ優勝も逃したが、鎌田にとっては上々のシーズンだった。契約満了で退団が決まったが、来季も新天地での活躍が楽しみだ。
2位 久保建英(レアル・ソシエダ)
パスしたい時に味方が感じてくれて、受けたい時に受けたい場所でパスが出てくる。新天地"ラ・レアル"は、久保にとって相性抜群の環境だった。
任されたポジションも、2トップ、ウイング、シャドーと多岐にわたり、ラ・リーガ移籍後の過去3年と比べて、ゴールに近い場所でプレーするようになったことで、シーズン9得点をマークした。試合を決める選手として、ひと皮むけた印象だ。主軸として来季のCL出場権獲得にも貢献した。
1位 三笘薫(ブライトン)
負傷も含め、シーズン序盤はプレミアに馴染むための準備期間となったが、カタールW杯後の覚醒ぶりは目覚ましいものがあった。そのインパクトは欧州でプレーする日本人選手随一。しかも舞台は世界最高峰のプレミアリーグだ。
終盤はやや失速気味だったが、それでもプレミア初年度でリーグ戦7得点は上々の出来。チームのEL出場権獲得に貢献できたことも大きな功績だった。来季はさらなる飛躍も期待できそうで、二桁得点がノルマか。
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4氏全員がベスト5に入れたのは三笘薫、久保建英、鎌田大地の3人。それぞれがつけた順位に、5位=1点、4位=2点、3位=3点、2位=4点、1位=5点と点数化して合計すると、今季の「番付」は次のような結果になった。
1位 三笘薫(19)
2位 久保建英(17)
3位 鎌田大地(10)
4位 守田英正(4)
古橋亨梧(4)
6位 上田綺世(3)
7位 堂安律(2)
8位 伊東純也(1)