厳選!2歳馬情報局(2023年版)
第1回:ボンドガール

 GI日本ダービー(5月28日/東京・芝2400m)が終わると、次週からは早くも来春のクラシックを目指す2歳世代の新馬戦がスタートする。そして今年も、開幕週から競馬関係者が注目する逸材が登場予定だ。

 美浦トレセンの手塚貴久厩舎に所属するボンドガール(牝2歳/父ダイワメジャー)も、その1頭である。

 2022年に行なわれた競走馬のセリ市「セレクトセール」の1歳馬セクションにおいて、2億1000万円(税別)の高値で取引された同馬。落札したのは、サイバーエージェント社長の藤田晋氏だった。

 これほどの値がつくだけあって、血統も上質。2歳上の兄には3歳クラシックで奮闘したダノンベルーガ(牡4歳/父ハーツクライ)がいる。


ボンドガールの兄には、今春の海外GIドバイターフで2着と好走したダノンベルーガ(写真、赤帽)がいる

 同馬はデビュー戦を勝ったあと、2戦目でいきなりGIII共同通信杯(東京・芝1800m)を勝利。一躍クラシックの有力候補に名乗りを上げると、GI皐月賞(中山・芝2000m)、GI日本ダービーと、いずれも4着と健闘した。

 その後、3歳秋には古馬相手のGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)で3着、GIジャパンカップ(東京・芝2400m)で5着と善戦。明け4歳となった今年も、春には海外GIドバイターフ(UAE・芝1800m)で2着に入って、トップレベルの力があることを改めて示した。

 そんな兄に続く活躍が期待されるボンドガール。調教ではハイレベルな動きを見せており、トレセン内でも話題を集めているという。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「ボンドガールのここまでの調教は、他馬を前に置いて折り合いをつけ、最後に(脚を)伸ばすのが基本。陣営は『古馬と併せてもラクな動きをしていて、能力は高そう』と話しています。僕らが見ても、その動きは抜群です。

 入厩してすぐの調教で、いきなり6ハロンという長めから追い切ったのですが、最後まで脚色が乱れることはありませんでした。2歳のこの時期、そう簡単にできることではないため、記者たちの間でも一気に注目度が高まりました」

 そうした動きのよさだけでなく、陣営からは馬体面や性格面でも前向きなコメントが聞かれるという。トラックマンが続ける。

「厩舎スタッフによると、『馬体重は450kg〜460kgほどで、ダイワメジャー産駒らしく(馬体は)骨太でがっちりしている』とのこと。ただ、重々しさはなく、『パワーより、スピードが勝っているイメージ』と話していました。

 折り合い面についても『不安はない』とスタッフ。まだまだ成長する余地は残しているものの、新馬戦では間違いなく勝ち負けできるのではないでしょうか」

 新馬戦を前にして、関係者から熱い視線を浴びているボンドガール。2歳戦の開幕週でファンにも強烈なインパクトを与えることができるのか、楽しみである。