名古屋グランパス好調の要因は「速い攻撃」 相手の一瞬の隙を見逃さなかったゴールの形とは
Question
マテウスがボールを受けたあと、名古屋はどのように相手を崩したか?
Jリーグ第14節、名古屋グランパス対サンフレッチェ広島が行なわれ、ホームの名古屋が2−1で上位対決を制した。
3位・名古屋と4位・広島という注目の上位同士の対戦は、アウェーの広島が前半から主導権を握る展開となった。名古屋の前線3人を活かした攻撃を広島がプレッシングで封じると、森島司やエゼキエウらが起点となり、再三に渡って好機を作った。
すると前半37分、FKを川村拓夢が決めて広島が先制点。このまま前半終了かと思われたが、終了間際の43分に名古屋がCKからキャスパー・ユンカーが決めて同点で折り返した。
後半立ち上がりの3分、広島の一瞬の隙を突いてユンカーが2点目を決めて名古屋が逆転に成功する。そこから名古屋が広島の猛攻をしのぎきり、2−1で勝利となった。
今回は、名古屋の決勝点のシーンを取り上げる。
後半3分、佐々木翔のクリアボールを拾った藤井陽也が米本拓司につなぎ、野津田岳人の背後でフリーとなっていたマテウス・カストロへ縦パスを入れる。
中央でマテウスがボールを受けたあと、名古屋はどのように相手を崩したか?
次の瞬間、マテウスから名古屋はどのように崩したか、というのがQuestionである。
Answer
森下龍矢へスルーパスを通し、左サイドをえぐってクロスをユンカーが合わせた
名古屋は序盤から強みである永井謙佑、ユンカー、マテウスの前線3人のタレントを生かした縦に速い攻撃を仕掛けたが、広島の塩谷司、荒木隼人、佐々木の3バックを中心に跳ね返され続けていた。
しかし、この決勝点のシーンでは、この試合で初めてマテウスがフリーで前を向いてボールを持つことができた。
マテウスはすぐに左前にスルーパス。相手を振りきった森下のクロスから、最後はユンカーがゴールした
前のシーンで広島のゴールキックのこぼれ球を丸山祐市が大きくクリアし、そのボールを佐々木がヘディングで跳ね返すという互いにルーズボールを蹴り合う形となり、マークが曖昧になっていた。
そこで佐々木のクリアボールを藤井が拾い、米本につないだ時、マテウスは相手DFとMFのライン間で浮いた状態になっていた。それまではマテウスがライン間に入っても、広島は3バックの誰かが厳しくマークについていたが、蹴り合いのなかでマークがはっきりせず、また永井が前線にいたことでセンターバックが出づらい状況だった。
そういったことが重なり、マテウスは中央で初めていい形でボールを受け、前を向くことができた。そして、すぐに左サイドをスプリントで駆け上がる森下へスルーパス。
森下は越道草太を振りきると、この試合初めて相手GKとDFの間にグラウンダーのクロスを差し込んだ。それを佐々木と競り合いながらユンカーが押し込み、決勝点となった。
広島の守備に苦しんだ名古屋だったが、少ないチャンスをものにして上位対決を制した。