2023年クラシック候補たち
第19回:トップナイフ

 5月28日に行なわれるGI日本ダービー(東京・芝2400m)。競馬界最高峰のタイトルをつかむには、馬の実力はもちろんのこと、体調、準備、枠順、展開、レースでの立ち回り......など、さまざまなことがよりベストに近づくことが求められる。

 そうしたなか、レースでの立ち回りのうまさを考えた場合、有力視される1頭がいる。レース経験が豊富で、戦術面において自在性があるトップナイフ(牡3歳/父デクラレーションオブウォー)だ。


ダービーでの大駆けが期待されるトップナイフ

 栗東トレセンの昆貢厩舎に所属する同馬は、昨夏の札幌でデビュー。3戦目の2歳未勝利(9月4日/札幌・芝2000m)を逃げきって、初勝利を飾った。

 その後、オープン特別の野路菊S(9月24日/中京・芝2000m)は4着に敗れたものの、続くリステッド競走の萩S(10月29日/阪神・芝1800m)では2番手から抜け出して快勝。GIII京都2歳S(11月26日/阪神・芝2000m)でも、中団の内から鋭く追い込んでアタマ差の2着と奮闘した。

 そして、2歳GIのホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)に挑戦。ダッシュよく先手を奪うと、そのまま先頭でレースを進めた。直線、2番手ドゥラエレーデとともに後続を突き放して、2頭で激しいデッドヒートを演じたが、最後は首の上げ下げの結果、ドゥラエレーデにハナ差屈した。

 自在性のある競馬で好走を続けたトップナイフは、年明け初戦のGII弥生賞(3月5日/中山・芝2000m)でも2着と好走。地力の高さを証明し、牡馬クラシック初戦のGI皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)に挑んだ。

 同レースではスタートで後手を踏んで、後方からの競馬を強いられたが、最後はしぶとく追い込んで7着。内容的にはそこまで悲観するものではなかった。

 実際、陣営は次なるダービーに向けて、前向きな姿勢を見せているという。関西競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「厩舎スタッフは、トップナイフについて『とにかく立ち回りが上手で、競馬センスがいい。頭がよくて無駄な力みがないし、扱いやすく、気の悪さもない』とベタ褒め。ダービーもまた強豪ぞろいですが、そうした持ち前の武器を生かして『自分の形を作れればチャンスはある』と話していました」

 さらに陣営は、ここにきての馬体面での上積みも感じているようだ。

「スタッフによると『"キ甲"が抜け、いい雰囲気になってきた』とのこと。キ甲とは、馬の背中前方にある突起部のことで、成長すると突起が目立ってきます。これを"キ甲が抜ける"と表現するのですが、トップナイフはその状況が起きている様子。パワーアップの兆しかもしれません。

 2400mという初距離も『問題ない』とスタッフ。ただし、皐月賞は出遅れてしまったので『スタートがカギ』と話していました。そこをクリアすれば、ホープフルSで見せたような粘り込みがあっても不思議ではありません」

 キャリア豊富なトップナイフ。ダービーではどんな戦法で臨むのか。観衆をアッと言わせるようなレースを見せてくれることを期待したい。