チェルシーとアーセナルの因縁バトルが再燃しそうだ。アシュリー・コール(イングランド代表)とウィリアム・ガラス(フランス代表)の“大型DFトレード”を成立させたばかりの両クラブ。数多くの遺恨を生んだ移籍騒動に終止符を打ったかに思われたが、プレミア王者の“若手強奪作戦”が発覚したことで、ロンドンに再び緊張が走っている。

 チェルシーが目をつけたのは、アーセナルのデンマーク人FWニクラス・ベントナーだ。スカウト部門の最高責任者を務めるフランク・アルネセンは、すでにフル代表で得点も記録している18歳を高く評価。アルネセンの下、若手の青田刈りを続けるブルーズは、デンマーク史上最高といわれる逸材の引き抜きに本気モードのようだ。同クラブのデンマーク人スカウト、ベニー・ニールセンが次のように証言している。

「アルネセンは、かなり前からベントナーに注目していた。もちろん、私からもクラブには推薦している。今後数年は彼から目を離さないほうがいい、とね。デンマーク代表の中でも、チェルシーでプレーする資格があるのはベントナーだけだ」

 一方で、コールの移籍問題が泥沼化した両クラブの関係は半ば冷戦状態だけに、アーセナルサイドからの反発は必至。バーミンガム(チャンピオンシップリーグ)へのレンタル移籍で、ベントナーに実戦経験の場を与えているベンゲル監督が、ライバルからの獲得要請に耳を貸す可能性はゼロに近い。それでも、チェルシーには数々の“若手強奪”を成功させてきた実績があるだけに、ロンドンを二分するビッグクラブ間に新たな遺恨が生まれるのは避けられそうにない。