ユーロ08オーストリア・スイス共催大会予選B組イタリアは敵地パリで6日夜、フランスと対戦したが3−1の完敗に終わった。試合前から“W杯決勝リベンジ”と騒がれた注目の一戦、ベルリンで涙を呑んだフランスが見事なリベンジを果たし59日遅れで凱旋門をくぐった。

開始69秒、イタリアが誇る伝統の堅守カテナチオ(錠前)は相手FWゴブの右足によって強引にこじ開けられた。右CKからのルーズボールにMFマケレレがDF裏のスペースに出すと飛び込んだDFガラスが折り返し、ゴブが豪快にボレーを叩き込んだ。勢いに乗るフランスは17分、MFマルダの強烈ロングシュートのこぼれ球にFWアンリが素早く反応。角度の無い所から右足インサイドで冷静に狙ったシュートは、コースを消す為に後方からスライディングを試みたDFカンナバーロの右足に当たりネットを揺らした。フランスの1点目はオフサイド絡み、2点目はコースが変化する幸運もあったが、イタリア守備陣の綻びは明らかだった。イタリアは19分、MFピルロのFKにFWジラルディーノが頭で合わせ点差を縮めるが、後半フランスにまったく同じパターンでゴブに決められ3−1。試合終盤に入り大活躍のゴブ、絶好調MFリベリーを下げてがっちりと逃げ切るフランスに対し、司令塔不在のイタリアはなす術無く終了のホイッスルを聞いた。

ドイツW杯の7試合で失点1(オウンゴールを除く)、世界中に伝統の堅守を披露したカテナチオが錆び付いている。W杯後、クロアチアとの親善試合で「2」、ユーロ予選対リトアニア戦で「1」、そしてこの日の「3」・・・。3試合とも先制点を許した上に、イタリア代表史上最短記録“69秒での失点”という不名誉なオマケまで付いた。マテラッツィが2試合の出場停止処分中、ネスタが長期離脱と屈強なCB2人を欠いて挑むには相手が悪過ぎた。

ナポリでのユーロ予選対リトアニア戦をまさかの1−1引き分け後、容赦ない批判がW杯王者を襲った。批判の嵐を振り払うべく乗り込んだパリだったが、風格を漂わす事なく無残に散った。初勝利が遠いドナドーニ監督は試合後「まだコンディションが・・・」と唇を噛み締めたが、W杯優勝からすでに2ヶ月が経とうとしている。ユーロ予選2試合終了時点での勝ち点は「1」。他国が王者打倒に燃える中、いつまでも祭り気分を味わっている余裕は無い。