アメリカのジョー・バイデン大統領が2023年4月25日に、約1年半後の2024年11月5日に実施される2024年アメリカ合衆国選挙への出馬を正式に表明しました。現職の大統領を候補者に据えて2期目を目指す民主党に対抗し、共和党が「バイデン大統領が再選した場合に起こり得る問題」のイメージをAIに生成させて作った政治広告ムービーを公開しました。

RNC Releases "Beat Biden" Video | GOP

https://www.gop.com/press-release/rnc-releases-beat-biden-video/



GOP releases AI-generated ad to fearmonger over Biden’s reelection bid | Ars Technica

https://arstechnica.com/tech-policy/2023/04/gop-releases-100-ai-generated-ad-to-fearmonger-over-bidens-reelection-bid/



共和党がバイデン大統領再選の未来をAIに予想させたムービー「Beat Biden」は、以下から見ることができます。

Beat Biden - YouTube

ムービーが始まると、「2024年の大統領選は、ジョー・バイデン氏の再選に決定しました」とレポーターが伝えました。左上には薄く「すべてAI画像で構成したもの」と書かれています。



祝賀ムードもつかの間、中国が台湾への侵攻を開始したとのニュースが流れます。



地方銀行500行が閉鎖し、経済は大混乱に。



アメリカの国境には8万人の不法入国者が押し寄せ、国境警備隊はなすすべもありません。



国内では、犯罪の激化と麻薬のフェンタニルの氾濫によりサンフランシスコが封鎖されました。



これが、共和党がAIにより出力された画像で描いたバイデン大統領再選後の未来です。



ムービーの公開に合わせて、共和党全国委員会のロナ・マクダニエル委員長は25日に声明を発表し、「バイデン氏は愚かにも、次々と危機を引き起こしておきながら、自分がさらに4年間を続けるに値すると考えています。もし有権者がバイデン氏に『仕事の完遂』を許せば、インフレ率は高騰し続け、犯罪率は上昇し、より多くのフェンタニルが国境を越え、子どもたちは取り残され続け、アメリカの家庭はより悲惨になるでしょう。共和党はバイデン氏を打倒するために団結し、彼を追い落とせるまでの日付を指折り数えています」と述べました。

さらに、共和党のドナルド・トランプ氏は、バイデン大統領の出馬表明を受けた声明で、「アメリカ史上最悪の大統領を5人束ねても、ジョー・バイデン氏がわずか数年で私たちの国にもたらしたダメージにはほど遠いでしょう」と非難。アフガニスタン撤退の際の失態や、ロシアと中国の接近を許したことなどを批判し、ロシアによるウクライナ侵略は「私が大統領だったなら決して起きなかったでしょう」と述べた上で、「Make America Great Again(MAGA：アメリカ合衆国を再び偉大な国にする)」と訴えました。

一方、未来や仮定の想像に頼った批判が展開されている点について、バラク・オバマ元大統領の政治顧問を務めた経歴のあるダニエル・ファイファー氏は「バイデン氏の出馬表明に対する共和党全国委員会の反応は、MAGAのメディアバブルの外にいる人にも通用するようなバイデン氏への反論がまだ用意できていないことを示唆しています」とコメントしました。