直径100光年、10万の星で構成された球状星団「M55」
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で観測された球状星団「M55」の中心部分(Credit: NASA, ESA, A. Sarajedini (Florida Atlantic University), and M. Libralato (STScI, ESA, JWST); Image Processing: Gladys Kober)】
こちらは「いて座」の方向約2万光年先にある球状星団「M55」(Messier 55、NGC 6809)の中心付近です。アメリカ航空宇宙局(NASA)によるとM55の直径は約100光年、星団を構成する星の数は約10万個とされています。
球状星団とは、数万〜数百万個の恒星が球状に集まっている天体のこと。天の川銀河ではこれまでに150個ほどの球状星団が見つかっています。中心に向かうほどギュッと密集している星々の様子が美しい球状星団、冒頭の画像ではその核心部分が捉えられています。
この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得したデータをもとに作成されました。NASAによると、M55は比較的大きくて明るいものの、高密度のコアを持たないことや、北半球では空の低い位置に見えるために大気や光害の影響を受けやすいことなどの理由で、最適ではない条件では観測が難しいといいます。
大気の影響を受けない地球低軌道で観測を続けているハッブル宇宙望遠鏡は、地上の望遠鏡では見えないような暗い星も含む、M55の個々の星々を見事に捉えています。
なお、M55という名前は、18世紀にフランスの天文学者シャルル・メシエが星雲や星団をまとめた「メシエカタログ」に55番目の天体として収録されていることを意味します。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡が捉えたメシエ天体の一つとして、2023年3月17日付でNASAから公開されています。
【▲ 地上の望遠鏡で撮影されたM55の全体像(左下)を使って、ハッブル宇宙望遠鏡で観測された領域(右)の位置を示した画像(Credit: NASA, ESA, A. Sarajedini (Florida Atlantic University), M. Libralato (STScI, ESA, JWST), and Digital Sky Survey; Image Processing: Gladys Kober)】
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Image Credit: NASA, ESA, A. Sarajedini (Florida Atlantic University), M. Libralato (STScI, ESA, JWST), and Digital Sky Survey; Image Processing: Gladys KoberNASA - Messier 55
文/sorae編集部