暖房グッズの使用時は低温やけどに要注意

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 まだまだ寒い日が続きますが、手足を温めるために、電気毛布や使い捨てカイロ、湯たんぽなどを使っている人も多いのではないでしょうか。こうした暖房グッズを使っているときに注意したいのが、「低温やけど」です。体温よりも少し高めの物(44〜50度)に長時間触れていると、皮膚がヒリヒリしたり、赤くなったりすることがあり、重症化すると皮膚が壊死(えし)するケースもあります。

 低温やけどを防ぐには、どのような対策が求められるのでしょうか。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全広報課の担当者に聞きました。

乳幼児や高齢者は要注意

 担当者は、低温やけどが発生する理由について「一般的に、やけどは火や熱湯、油など高温のものが体に当たることで起きます」と説明しつつ「しかし、温かいと感じる程度のものでも、長時間にわたって同じ部位に触れていると、皮膚温度が上がります。すると、皮膚表面だけでなく、組織の深い部分にまでやけどの被害が及び、皮下の細胞組織が壊死することがあります」と解説してくれました。

 一般的に、「44度」では3〜4時間、「46度」では30分〜1時間、「50度」では2〜3分で低温やけどになるといわれているとし、「通常のやけどと違い、痛みが弱いことが多く、気付かぬうちに症状が進行します。特に皮膚の弱い乳幼児や高齢者、糖尿病を患っている人は、注意が必要です」と注意を呼び掛けています。

 低温やけどを防ぐために、電気毛布や使い捨てカイロなどは、どのように扱ったらよいのでしょうか。

 担当者は「同じ部位を長時間温めないようにし、熱さを感じた場合や違和感を覚えた場合は、直ちに体から離してください」と語り、「暖房器具や暖房グッズは、取扱説明書に記載されている使い方を守り、就寝時に使わないように」とポイントを教えてくれました。

 実際に、「湯たんぽや電気毛布を就寝時に長時間使用した」「衣服や靴下の上から貼り付けるタイプのカイロを誤って肌に直接貼り付けた」など、誤った使い方が原因による事故が多く発生しているということです。

 担当者は「低温やけどを負った場合は、すぐに専門医の診察を受けてください。低温やけどは、組織の深い部分にまで被害が及ぶため、治療が長期にわたったり、植皮手術が必要になったりすることがあります」とコメント。

 最近では、着用可能な電気毛布や、ヒーター付きベストに人気が集まっていますが、こうした製品を長時間着用し続けた場合も、低温やけどを発症する可能性はあるのでしょうか。担当者は、次のように回答しています。

「先ほども申し上げたように、低温やけどは、温かく心地よいと感じる程度の温度でも、長時間、触れ続けることで発症するという特徴があります。NITEへの通知はまだありませんが、着用可能な電気毛布やヒーター付きベストについても、長時間使用したり、誤った使い方をしたりした場合、低温やけどを発症する可能性はあると思います」。

 低温やけどは、熱さを感じにくいので、気付かぬうちに症状が進行するかもしれません。電気毛布や使い捨てカイロなどを扱う際は、肌に長時間当てないように注意することが大切です。