週刊誌は返品率の高さが懸案になっている(写真はイメージ)

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1922年創刊の総合週刊誌「週刊朝日」が2023年5月末で休刊することが1月19日に発表された。「週刊誌市場の販売部数・広告費が縮小」していることが原因だ。

公表されている中で最も新しい22年1〜6月と「コロナ前」の3年前(19年1〜6月)の販売部数を比較すると、週刊朝日は4割近く減少。「一般週刊誌」10誌のうち、週刊朝日を含む4誌が3割以上部数を減らしている。10年前(12年1〜6月)との比較では、8誌が5割以上減らしている。既存読者の高齢化と新規読者の獲得失敗で、市場の縮小に歯止めがかからない状態が続いている。

「発行部数」と「販売部数」に大きな隔たり

週刊朝日の休刊を発表する社告では、会社の業績は「堅調」な一方で、休刊の背景には「週刊誌市場の販売部数・広告費が縮小」があると説明。ニュースサイトや書籍部門に「より一層注力」する、としている。

この中で、「2022年12月の平均発行部数は74,125部」だと説明された。この「発行部数」は、大まかに言えば「印刷した部数」だ。ただ、一般的に「発行部数」と、実際に売れた部数にあたる「販売部数」とは大きな隔たりがある。例えば、日本雑誌協会がウェブサイトで公表している、19年1〜3月の週刊朝日の「印刷証明付き発行部数」は11万6833部だったのに対して、日本ABC協会がまとめた19年1〜6月の「販売部数」は7万3914部だ。事情は他の雑誌も同じで、4割程度が返品されることは業界としても懸案になっている。

週刊朝日の22年1〜6月の販売部数は4万5824部。「コロナ前」の3年前と比べて38.0%減少した。日本ABC協会が公表している「ABC report 雑誌発行社レポート」に「一般週刊誌」として収録されている10誌のうち、最も減少率が高い。10年前の12年1〜6月期の13万1452部と比べると65.1%減。ほぼ3分の1の部数になった。

週刊朝日の特徴のひとつが、新聞販売店が宅配する定期購読が販売部数の3割程度を占めることだ。19年1〜6月は、書店やコンビニ、駅売店を意味する「販売会社」経由が5万0626部、「新聞店」経由が2万2499部だった。対して22年1〜6月は販売会社2万8941部、新聞店1万6258部。それぞれの減少率は42.8%、27.7%だった。コロナ禍で人の往来が減少したことで、書店や売店経由の「即売」の方が、より大きな影響を受けた可能性もある。

サンデー毎日&ニューズウィーク日本版は販売部数の公表やめる

10誌で最も部数が多いのが週刊文春の22万8939部で、19年比20.3%減、12年比50.9%減だった。

2位以降は、週刊現代(16万9610部、18.5%減、55.6%減)、週刊新潮(13万6569部、30.9%減、61.7%減)、週刊ポスト(13万0595部、31.4%減、54.1%減)、週刊大衆(7万6431部、1.3%増 47.6%減)、週刊プレイボーイ(7万2384部、7.9%減、42.4%減)、週刊朝日(4万5824部、38.0%減、65.1%減)、週刊アサヒ芸能(4万5357部、13.2%減、58.4%減)、AERA(3万0356部、24.8%減、62.3%減)、SPA!(2万5215部、32.9%減、61.3%減)が続いた。

10誌以外にも、かつてはサンデー毎日とニューズウィーク日本版の販売部数が公表されていたが、版元がABC協会を退会したため、21年1〜6月を最後に公表されなくなった。サンデー毎日は19年1〜6月が3万7971部だったのに対して、21年1〜6月は2万7738部と27.0%減少。ニューズウィーク日本版は2万7107部→2万2782部と推移し、16.0%減少した。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)