物価が上昇していても半数以上の中小企業が「給料を上げる予定なし」。その理由とは?
2022年に入って目立つようになった物価の上昇は、2023年になってもとどまることを知りません。家計に対する負担は大きくなっている今、企業から支払われる給与は変化しているのでしょうか。
中小企業の半数以上が、物価上昇に合わせた給与アップはできず
日本生産性本部が「人材を生かす賃金」に関するアンケート調査を実施。物価の上昇を正社員の給与に反映させているのか企業の人事担当者に聞いたところ、「主に月例賃金に反映させる」という、いわゆるベースアップを行う企業が39.4%、「主に一時的な現金支給で対応する」と賞与や手当ての支給を考えている企業が18.7%という結果に。合わせて6割近くの企業が何らかの対応を考えていることが明らかになりました。ただし、従業員数300人未満の中小企業では「対応する予定はない」が55.7%と6割近くを占めました。
物価が上昇しても給与を上げない理由は「一度上げると下げにくいから」
正社員の賃金が上がりにくい理由について、2つまでの複数回答で質問をしたところ「いったん賃金を上げると下げることが難しい」が69.0%と最多の結果に。次いで「労働生産性が高まっていない」が65.8%、「業績が低迷している」が29.0%、「株主などへの分配が優先されている」が6.5%と続きました。
「いったん賃金を上げると下げることが難しい」と回答した企業は、2020から2022年度の業績が「良好」な企業の76.6%、「悪化」した企業の50.0%を占めており、業績がよくてもすぐに賃金に反映せず、慎重な姿勢の企業が多いことが伺えます。
賃上げをした企業に対しては、2022年度から「法人税の控除率引き上げ」という税制優遇がありますが「税制優遇に関係なく賃金を決めている」と回答する企業が多く、その効果は限定的な様子。中小企業を中心として、物価上昇に連動して賃金を上げたくても簡単に上げることはできない状態が、今しばらく続きそうです。