【漫画付き】コンタクトレンズをつけっぱなしにするとどんな悪影響がありますか?
監修医師:
小西 美奈子(こにし・もりざね眼科 院長)
目の状態によっては、元に戻れない可能性も
編集部
コンタクトレンズのつけっぱなしは、悪影響があるのでしょうか?
小西先生
連続装用の認可を受けているレンズもあるようですが、治療用のものを除き、就寝時には外すようにしてください。自宅へ帰ったら外す習慣が付くといいですね。代わりにメガネを活用しましょう。
編集部
長期使用や連続装用は、なぜ好ましくないのでしょう?
小西先生
角膜の傷やアレルギー、炎症のほか、酸素不足によるダメージが懸念されます。角膜には血管が通っていないため、酸素を涙から取り入れているんですね。また、涙がベールとなって異物を除去したり、レンズとの摩擦を防いでくれたりしています。
編集部
一時的なダメージで終わらないこともあるのですか?
小西先生
あります。視界や目の表面の透明度と関係している「角膜内皮細胞」は、ひとたび減ると元に戻りません。また、酸素不足を補おうとして、本来なら“ない”はずの血管が延びてくることもあります。「角膜パンヌス」といって、目の表面が白く濁ってくる症状です。
編集部
目薬で酸素不足は補えないのでしょうか?
小西先生
目薬だけで酸素を補うことはできません。目薬と涙は、どちらも同じような「水分」と思われがちですが、全く異なる存在です。涙だけが、角膜に酸素を届けてくれます。
目をいたわる気持ちから、正解が見えてくる
編集部
連続装用可能をうたっているものもあるようですが?
小西先生
たしかに認可は出されているものの、「商品として耐えうる」ことと「目が健康である」ことは、異なった視点だと考えています。目がどんな状態でも連続装用できるかといえば、疑問を感じますよね。
編集部
高度管理医療機器として認められて“いない”カラーコンタクトなどは?
小西先生
認可を受けているサークルレンズ等は、通常の使用方法を守れば問題ないことが多いです。しかし、認可されていないものについては、長期・短期にかかわらず「論外」です。コンタクトレンズを使用する場合は、医師の診断と処方が欠かせません。通販などで直接購入できるものを使用して「角膜を損傷した」という報告も上がっています。
編集部
終電を逃した場合など、不意な外泊にはどうすればいいのでしょう?
小西先生
1回くらいならやむをえないですが、できるだけ早めに外してください。また、不意ではなく、習慣的になってきたら、何かしらの工夫をしましょう。具体的には、洗浄器具やストックのレンズ、メガネの用意などです。
医師の診断と処方は、なぜ必要なのか
編集部
購入時に気をつけたいことは?
小西先生
必ず医師の診察を受けるようにしてください。医師は診察の際、視力はもちろんのこと、目の状態を確認します。ご自身で直接購入されると、目の異常の有無がわかりません。目の諸症状はなかなか自覚がなく、自覚があった時点で手遅れということも起こりえます。
編集部
一概に市販品がダメなのではなく、診察を受けないことが問題だと?
小西先生
そういうことです。大手メーカーなら、品質の心配はないでしょう。もちろん、高度管理医療機器としての認可を受けていないものは論外です。ただ、ご自身だけで目の管理ができるかというと、そこは、専門家を頼っていただきたいですね。適正な視力の出るコンタクトレンズを処方するだけでなく、衛生面のアドバイスなどもいたします。
編集部
衛生面のアドバイスとは、具体的にどんな内容でしょう?
小西先生
お手入れに関する緒注意などです。例えば、すすぎの際に水道水が使えるのはハードレンズだけですので、ソフトレンズの洗浄には使わないでください。また、こすり洗いも重要とされていて、より汚れや雑菌が落ちると言われています。使用する洗浄液についても、より殺菌・洗浄効果が強いものをお勧めします。
編集部
コンタクトレンズを使う方へのメッセージやアドバイスをお願いします。
小西先生
冒頭にも申し上げましたが、「自宅へ帰ったら外す習慣」を身につけてはいかがでしょうか。これなら、「付けたまま寝落ち」することも防げます。つけっぱなしで目が悪化すると、ますます物を見づらくなってしまうでしょう。できるところから工夫してみてください。
編集部まとめ
「角膜の細胞が減ると元に戻せない」「透明なはずの角膜に血管が生じる」。コンタクトレンズのつけっぱなしには、まさに「目からウロコ」とも言うべきリスクが潜んでいるのでした。小西先生の推奨する「自宅へ帰ったら外す習慣」を、ぜひこの機に、取り入れてみてください。