家族ができたら夢は諦めるべき?家庭と自己実現を両立させる方法

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独身時代にはあった夢や目標、野望が、結婚し子どもが産まれると次第に薄れていき、今は毎日を生きるのに必死で、夢を追うどころではなくなってしまっている。

夢や目標を追いかけるにはエネルギーがいる。仕事に加えて育児や家事もあるとなれば、そのエネルギーを維持するのは容易ではない。しかし、家庭を持ったからといって自己実現を諦めるのはもったいない。

『パパこそ日記をつけなさい』(幻冬舎刊)は、毎日に忙殺され自己実現を忘れかけているパパたちに向けた一冊。多忙を極める毎日でも家庭内を円満に保ち、自分も家族も「なりたい自分」を目指す家庭を築くために何が必要なのか。著者の浅黄祐樹さんにお話をうかがった。その後編をお届けする。

浅黄祐樹さんインタビュー前編を読む

■結婚し子どもができたパパは「やりたいこと」を諦めざるを得ないのか

――「パパ自身がやりたいことをやる」というのが本書の大きなキーワードです。ただ、結婚し、子供が生まれると自己実現を放棄してしまう人が多いのはなぜなのでしょうか。

浅黄:まず自分の時間が圧倒的に減りますよね。自分の経験からいっても、朝の保育園の送迎があったり、土日は公園に行ったりで、自分のために使える時間があまりなかったです。妻がフルタイムで働いていたりすると、平日はほぼ時間がない。

そうなると目の前のこと、毎日を過ごすことに手一杯になって、未来の自分について考える時間が圧倒的に少なくなってしまうんです。うちは託児所に預けたりして極力自分のために使える時間をキープしていた方ではあるのですが、これも結構ジレンマがあるんですよね。

――できれば子どもと一緒に過ごしたいということですか?

浅黄:それもありますし、今は世間的にはだいぶ和らぎましたけど、自分の子どもは親が責任を持って育てるべき、とか祖父母に預けるのはまだしも、お金を払ってまで第三者に子どもを預けるなんてとんでもない、という風潮って結構まだあったりするんですよ。

話を戻すと、自分の時間をいかに作るかに関しては、子育て中は特にかなり強い意志を持って意識的に作ろうとしないと難しいかもしれません。

――自己実現のための時間もそうですし、自分の楽しみのための時間もそうですよね。

浅黄:おっしゃるとおりで、趣味なり楽しみなりの時間を作ってエネルギーチャージをできないでいると、「自分がこの先どうしたいのか」という方向に考えが向かわないんですよね。そうなると当然新しいチャレンジどころじゃないですし、色々なことを先延ばししてしまいます。

解決策としては、自分の家族で自分の子どもを見るだけでなく、複数の家族でお互いの子どもの面倒を見合う環境を作れるといいのかなと思います。お互いに子どもを預け合えれば、自分のための時間を作りやすいので。

――「家族全員がやりたいことに向かってチャレンジする家族」にするためにパパがやるべきは「家の中で生じるコミュニケーションの問題を解決して、挑戦のための成長をすること」とされています。家族全員に挑戦する気概を持ってもらうために、普段からどのようなコミュニケーションをすべきでしょうか。

浅黄:まずはパートナーとのコミュニケーション。パートナーのやりたいことを実現するために、パパとしてどんなサポートが出来るのか?という観点が大切です。現在、妻は仕事で2回目の海外勤務で、娘と海外で二人暮らしをしています。その為、私は2人の息子達と3人暮らしをしています。家族別々で暮らすことに皆さんから驚かれるのですが、妻の強みや将来やりたい事を叶えるために行動で示すことが大切です。最初は子供とのワンオペ生活には、自信がありませんでしたが、今や国内組として男子チームでの暮らしを楽しむ余裕も出てきました。

また家族全体で考えると家の中では、心理的安全性の確保が重要です。やりたいこともやりたくないこともちゃんと声に出せる状況をつくることがすごく大事だと思います。何かやりたいとなった時にすぐに反対されると、やはりチャレンジはしにくくなりますからね。

ではこの状況をどう作るかというと、エラーに対していちいち怒らないことです。ごはんを食べていて子どもが何かこぼしてしまった時に、親はつい怒ってしまうものなのですが、ミスって誰でもするものじゃないですか。でもその時に「だからあなたは〜なんだ」という風に、人格を否定するようなことまで言ってしまうケースって結構あるんですよ。

――親子でもあるんですか?

浅黄:あります。忘れ物をして先生から怒られた時に、「あなたはいつもだらしないからこうなる」と言うのも、「過去」の事例を持ち出して子どもを攻撃しているわけで、これはやはり人格に言及するものですから良くありません。

失敗したことと人格は絶対に分けて話すべきで、それができないと心理的安全性は保たれないですし、子どももチャレンジができなくなってしまいます。チャレンジってほとんど失敗するものなので、その失敗を受け入れてリカバリーする能力をつけさせるには心理的安全性は不可欠なんです。

――本書ではパパに対して日記をつけることを推奨しています。パパ自身がチャレンジしたり自己実現を目指すために「日記」はどのようにかかわってくるのでしょうか。

浅黄:人が前向きに生きるのに、自己肯定感や自己効力感はすごく大事なんです。ではそれをどう味わうかというと、2つ方法があります。1つは他人から認めてもらうこと。もう1つは自分で自分に〇をあげることです。そのためには自分がやったことを振り返ることが必要で、そこに日記が役に立つと考えています。

――おすすめの日記の書き方はありますか?

浅黄:色々な書き方があっていいと思いますが、おすすめなのはその日うまくできたことを簡単に書く「1行日記」です。これを続けていくと、あとで振り返った時に、自分の成長ポイントが見つかるようになります。

誰でも1年間で学ぶことってたくさんあるはずです。日記をつけることでそれが見えやすくなりますし、毎年「今年は今までで最高の1年だった」と思えるようになります。自分の成長を実感できるようになったら、「次もがんばろう」と思えますし、未来に向かって行動する活力に繋がるはずです。

――最後に家庭内の人間関係などでストレスを抱えているパパにメッセージをお願いいたします。

浅黄:繰り返しになりますが、コミュニケーションには正解がなくて、トライ&エラーを繰り返してお互いの心地いい環境を作っていくしかありません。今回の本ではそのトライ&エラーのための33のヒントを書いています。

妻とのコミュニケーションであれば、男性と女性の求めるコミュニケーションの違いを理解したうえで、日々トライ&エラーを重ねつつ日記で振り返りながらやっていくのがいいのかなと思っています。

本の中ではパパの自己実現について書いていますが、日常生活が整っていないと未来へのエネルギーも出てきません。だからこそまずパパ自身が、日記を通して自分に〇をあげてみる。そうして自己肯定感が出てくれば家族に対してもサポートの意識が持つことができたり、家族に対しても〇をあげられるようになる。そのように「足もと」から始めて、最終的に自分の未来にエネルギーを向けていくという考え方を持つとうまくいきやすいのではないでしょうか。

(新刊JP編集部)

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