XFN-ASIAによると、急成長を続けてきた中国経済だが、ここにきて金融引き締めの効果が浸透し、減速の兆しを見せてきた。エコノミストによると、中国の経済成長率は1-3月期の前年比+10.3%から4-6月期には同+11.3%に加速したが、政府の経済成長抑制の努力が効果を現していることは、7月の生産や投資、銀行融資、消費者物価などの経済統計で明らかだという。

  米大手証券会社メリルリンチは、今週、顧客向けリポートの中で、「(中国経済の)減速は、景気循環がすでに反転したとの我々の見方を裏付けている。マクロレベルでの引き締め政策が投資と信用拡大の抑制に効果を見せ始めている」と分析している。

  中国政府は4月に、これまで経済成長のけん引役となっていた投資と銀行貸出の急増にブレーキをかけることで、改めて成長抑制に本腰を入れ始めた。政府幹部が銀行貸出と投資の抑制を呼びかけた結果、不動産デベロッパーについては新規開発計画の認可の遅れ、また、銀行に関しては、信用限度の引き締めといった形で影響が及んでいるのだ。

  一方、中国人民銀行(中央銀行)も、ここにきて銀行の準備預金比率を2度引き上げ、2004年以来の利上げに踏み切っている。また、市場から過剰流動性を吸い上げるための公開市場操作を強化した。その結果、7月の広義のマネーサプライ(M2)の伸びは18.4%増と6月並みだったが、5月の19.1%増からは減速。また、7月の銀行の新規貸し出しも1718億元と依然として高水準だが、6月の3947億元からは半分以下まで縮小してきている。

  減速が最も目立つのが工業付加価値生産高で、7月の前年同月比の伸びは16.7%と、6月の同19.6%から大きく落ち込んだ。XFN-ASIA傘下の経済通信社MNIの調査では、エコノミストが予測する7月の工業生産高の中心値は18.9%増となっていたので、実際にはこの予測を下回る減速となった。

  米投資銀行JPモルガンのエコノミスト、王前(Wang Qian)氏もこのところの中国政府による引き締め政策が効果をもたらしていると見ている。同氏によると、都市部の固定資本投資にそれが顕著だという。今年1-7月の都市部固定資本投資は前年同期比30.5%の伸びとなり、昨年同期の27.2%を上回っているが、今年1-6月の31.3%増からは、はっきり減速している。【了】