AppleがApp Storeでアプリを公開するにあたって受けなければならない審査の基準となる「App Store Reviewガイドライン」を更新しました。

App Store Review Guideline updates now available - Latest News - Apple Developer

https://developer.apple.com/news/?id=xk8d7p8c



App Store guidelines updated with new rules for NFT, ad managers

https://9to5mac.com/2022/10/24/app-store-guidelines-updated-nft-ad-managers/

Apple Updates App Store Review Guidelines Around Social Media 'Boosts,' Matter, NFTs and More [Updated] - MacRumors

https://www.macrumors.com/2022/10/24/apple-updates-app-store-review-guidelines-2/

改訂内容は11点。細かい文言の修正・追加もありますが、アプリ内課金のシステムを利用してNFT販売を行えるような内容になったのは大きな変更です。ただし、NFTを保有することでアプリの機能が解禁されるような仕組みはNGだとのこと。また、コンテンツや機能の解放にあたって暗号通貨や暗号通貨ウォレットなどアプリ独自の方法を用いることも禁止と明言されました。

このほか、従来は審査にあたって「デモアカウント」が求められましたが、フル機能が利用できるデモモードの提供でもOKになりました。

ガイドライン変更内容全体は以下のような感じ。なお、基本的に改訂前後を比較しやすいように日本語版ガイドラインの用語を用いているので「アプリ」は「App」、「アプリ内課金」は「App内課金」の表記にしています。

一部内容変更:提出前

有効なデモアカウントとログイン情報、およびAppの審査に必要となる可能性があるその他のハードウェアやリソースを提供する(ログイン認証情報やサンプルQRコードなど)



Appへのフルアクセスを提供する。Appにアカウントベースの機能がある場合、有効なデモアカウントかフル機能が利用可能なデモモード、およびAppの審査に必要となる可能性があるその他のハードウェアやリソースを提供する(ログイン認証情報やサンプルQRコードなど)

一部内容変更:1.1 不適切なコンテンツ - 1.1.4

「美的または情緒的な感覚ではなく、性的興奮を引き起こすような、性器または行為の明確な記述または表示」と定義される、あからさまに性的またはわいせつなコンテンツ。これには、ポルノグラフィを含む、または売買春を幇助(ほうじょ)するために使われる「出会い系」Appが含まれます。



「美的または情緒的な感覚ではなく、性的興奮を引き起こすような、性器または行為の明確な記述または表示」と定義される、あからさまに性的またはわいせつなコンテンツ。これには、ポルノグラフィを含む、または売買春、人身売買や搾取を幇助するために使われる「出会い系」Appが含まれます。

項目追加:1.1.7

暴力的な紛争、テロ攻撃、エピデミック(伝染病)など直近または現在の出来事を利用したり利益を得ようとしたりする有害なコンセプト。

内容追加:2.1 Appの完全性

法的義務またはセキュリティ上の義務によりデモアカウントを提供できない場合、Appleの事前承認があればビルトインデモモードをデモアカウントの代わりにすることができます。デモモードで、Appの全特徴・機能が示されていることを確認してください。

項目追加:2.5 ソフトウェア要件 - 2.5.17

(スマートホームの新規格)MatterをサポートするAppは、ペアリング時にAppleのMatterサポートフレームワークを使用する必要があります。また、Appleが提供するMatter SDK以外のMatterソフトウェアコンポーネントをAppで使用する場合、そのソフトウェアコンポーネントは実行するプラットフォームに対して Connectivity Standards Allianceが認定したものでなければなりません。

一部内容変更:3.1 支払い - 3.1.1 App内課金

コンテンツや機能を解放するため、ライセンスキー、拡張現実マーカー、QRコードなど、App独自の方法を用いることはできません。



コンテンツや機能を解放するため、ライセンスキー、拡張現実マーカー、QRコード、暗号通貨、暗号通貨ウォレットなど、App独自の方法を用いることはできません。

文言追加:3.1.1 App内課金

Appは、ミンティング(鋳造)、リスティング、転送など、NFT(非代替性トークン)の販売や販売サービスに関連してApp内課金を使用することがあります。Appは、ユーザーが自身のNFTを閲覧することは許可できますが、NFTを所有することでAppの機能がアンロックされてはいけません。Appはユーザーに他者が保有するNFTの閲覧を許可できますが、ボタン、外部リンク、その他の行動誘因によりApp内購入以外の購入メカニズムに誘導してはいけません。

項目追加:3.1.3(g) 広告管理App

広告主(商品・サービス・イベントの広告を行う個人または企業)が、メディアタイプ(テレビ・屋外広告・ウェブサイト・Appなど)を横断して広告キャンペーンを購入または管理することを目的としたAppは、App内課金を使用する必要はありません。これらのAppはキャンペーン管理を目的としたものであり、広告そのものを表示するものではありません。App内で体験または消費されるコンテンツのデジタル購入は、同じApp内で表示される広告の購入(ソーシャルメディアAppの投稿に対する「ブースト」の販売など)を含め、App内課金を使用する必要があります。

内容変更:3.1.5 暗号通貨 (iii)取引

取引所が直接提供する場合に限り、Appで、承認された暗号通貨の売買や送金を行うことができます。



取引所を提供するための適切なライセンスと許可を有する国または地域でのみ提供される場合に限り、Appは、承認された取引所で暗号通貨の売買や送金を行うことができます。

項目移動:3.1.7 広告→2.5.18(文言変更なし)

広告の表示は、メインのAppバイナリに限定されるべきであり、Extension、App Clip、ウィジェット、通知、キーボード、watchOS向けAppなどに含めることはできません。Appで表示される広告は、そのAppの対象年齢に適したものであり、ユーザーをターゲットとした広告の場合、そのために使用された情報を使用中のAppを閉じることなくユーザーがすべて見ることができるようにする必要があります。なお、ヘルスケア/医療データ(例:HealthKit API)、学校/授業のデータ(例:ClassKit)、子どものデータ(例:「子ども向け」カテゴリのApp)など、機密性の高いユーザーデータに基づく追跡型広告や行動ターゲティング広告を組み込むことはできません。インタースティシャル広告や、ユーザーエクスペリエンスを中断させたり妨害したりする広告では、広告であることをはっきり明示する必要があります。また、広告をタップするようユーザーの行動を操ったり、だましたりすることはできません。ユーザーが広告を簡単に閉じられるよう、操作しやすく見やすい、十分な大きさの「閉じる」ボタンや「スキップ」ボタンを用意する必要があります。

一部内容変更:5.2 知的財産 - 5.2.5 Apple製品

iTunesミュージックのプレビューを娯楽的な目的(フォトコラージュのBGM、ゲームのサウンドトラックなど)で、またはその他の承認されていない目的で使用することは許可されません。



iTunesミュージックまたはApple Musicのプレビューを娯楽的な目的(フォトコラージュのBGM、ゲームのサウンドトラックなど)で、またはその他の承認されていない目的で使用することは許可されません。iTunesミュージックまたはApple MusicのプレビューをAppで提供する場合、iTunesミュージックまたはApple Musicの対応する音楽へのリンクを表示する必要があります。