全般的に日本経済が「厳しさ」から抜け出せずにいる中で、相対的に収益好調な企業が不動産関連で目につく。ディア・ライフ(東証プライム)などもそんな1社。

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 都市部のレジデンスや商業用ビルの開発・販売が主軸。不動産屋保険業界向け人材派遣も手掛けている。前9月期は4.6%減収も「51.4%経常増益、45.1%の最終増益」。「過去最高純益更新」記念増配4円の34円配。そして今期は「不動産販売額の増減による影響」を理由に、「21.5%の経常増益(50億円)、19.1%の最終増益(32億円)」計画で立ち上がった。

 株価も変則?計画に3月8日の年初来安値:492円まで、500円台出入り水準の揉みあいで推移した。だが株価動向に明らかな変化が見え始めたのは、5月12日の中間決算の開示。前年同期比で「136.2%増収(115億1200万円)、134.3%経常増益(4億7300万円)、527.1%最終増益(6億4700万円)」。業態からして「下期偏重型」の収益構造も、中間期の結果はサプライズとなった。7月4日の579円まで買い進まれ、目下高値圏で推移。

 中間期決算の中身を覗いてみる。

 『リアルエステート事業』: 「開発・販売の収益不動産事業が順調に推移した。また亀戸IIIプロジェクトなど20件の開発用地・収益不動産の仕入れを行った。今後に関しても現時点で10件の売却契約と、7件の取得契約が完了している」と順調さを示すコメントを発している。結果、前年同期比96.8%の増収(93億4900万円)/176.5%営業増益(10億5300万円)。

 『セールスプロモーション事業』: 前記した人材派遣業。新規部門である。連結子会社の中間持ち株会社:DLXホールディングスが担っている。傘下のN-STAFFがコロナウイルス変異株の感染拡大に備え、非対面でのアウトバウンドセールス(新規顧客の獲得や見込み客の発掘)が奏功1661.1%増収(21億6300万円)。が、初期投資負担から4600万円の営業損失。前々同期比は1400万円の利益を勘案すると、主軸事業の好調が新たな事業を後押ししていると捉えられる。

 今後とも課題は主軸事業の土地取得・開発がカギを握るといえるが、ディア・ライフではこう語った。「前9月末時点で、リアルエステート事業は21人のスタッフで1人平均10億6000万円を売り上げている。土地の仕入れから開発・売却までを手掛ける、いわば不動産の総合商社。積み重ねたノウハウを生かし今後とも拡充していく」。

 今後もこれまでの勢いを・・・という保証はないが、仮に2013年1月4日の初値で買い10年余保有していると、修正値ベースで株価のパフォーマンスは約10倍。