「泥酔した人をタクシーに1人で乗せようとすると乗車を断られる」ということはよく聞かれます。

酒で泥酔した乗客はトラブルを引き起こす可能性もありますが、穏やかに眠っている程度であれば乗せてくれてもよさそうなもの。

なぜタクシーの運転手は泥酔客を嫌がるのでしょうか?それには深い事情がありました。

寝ている乗客をゆすり起こすのもアウト!?

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タクシー運転手で生計を立てている筆者の知人から聞いた話では、「会社からは、寝ているお客様の肩をゆすったりするどころか、身体に触ったりして起こすのもNGを出されている」とのこと。

これは万が一、乗客が暴行などで警察沙汰に発展した際、相手の身体を触っていると盗難や「セクシャルハラスメント」(セクハラ)など別の疑惑が浮上し、問題にあげられる可能性があるため。

さらに「乗客の身体に触れられない」という事情から、泥酔客を乗せて警察に向かうことも少なくないそうです。

これは、乗客の身に着けている貴重品が紛失すると、盗難の疑惑で真っ先に疑われるのがタクシー運転手となる確率が高いから。酷く泥酔した乗客を乗せてしまったら、警察に駆け込んで警察官に乗客の対応を頼るしかないのが現状だそうです。

運転手は泥酔客をどう思ってる?ホンネを直撃!

泥酔客によるトラブルに巻き込まれないため、タクシー運転手はどのような対策をしているのでしょうか。タクシー運転手の知人から話を聞くと次のような回答が返ってきました。

「2つ守っていることがありますね。1つ目が、”怪しい客は見極める”。タクシーに乗り込んだ瞬間の態度は必ず見る・そして様子を把握するために会話を仕掛けるようにしています。

回答しているときの様子が不安定であったりお酒が回っていたりしていたら、結構危ない状態なので、気を付けて運転しながらお客様の様子をチェックするよう心がけています。

最初からこちらの対応に受け答えできない状態なら、手間はかかるものの最寄りの警察へ連れていくように対応しています」とのこと。

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「泥酔客は嘔吐する可能性があるし、急に態度が一変して暴力を奮ってきてもおかしくない状況になるので、内心いつもビクビクして接客しています。

タクシーは乗客がいた場合、基本問題がなければお断りしないのが”ルール”になっています。ですから、アルコールの摂りすぎには注意してもらいたいです。

人によって違いはありますが、たしなむ程度なら泥酔する確率は収まりますし、我々も危険から身を守ることができますから」ともコメントしています。

タクシー運転手は大切なお客様を目的地まで運ぶ役割を担っている反面、乗客の無茶な要求を受け入れざるを得ない場面もあります。

意識がはっきりしている状態でタクシーを呼び、運転手に迷惑をかけないことが乗客の心がけるべきマナーでしょう。「タクシーがあればどんなに酒に酔っても帰れる」と安心せず、お酒の飲み過ぎには注意したいものです。