負けない浦和レッズに上位は見えてきたか。ゴールシーンでは個々のサッカーIQががっちりかみ合っている
Question
DFラインでボールを持った岩波拓也は、次の瞬間どんなプレーを選択したか?
Jリーグ第23節、浦和レッズ対川崎フロンターレが行なわれ、ホームの浦和が3−1で勝利を収めた。浦和は今季初の3連勝を達成。一方、川崎は7月を1勝2敗と負け越し、新型コロナウイルス陽性者が出たことも重なって厳しい状況に追い込まれている。
前半開始から、ホームの浦和が優勢に押し込んでいた。そして前半4分、ダヴィド・モーベルグのクロスを伊藤敦樹があわせて先制点。続く17分には松尾佑介が加点し、浦和は早々に2点のリードを奪った。
後半に入って川崎は家長昭博のPKで1点を返すが、浦和は後半40分に岩尾憲が3点目を決めて、3−1で浦和の快勝となった。
今回は、浦和の2点目のシーンをピックアップする。
前半17分、浦和が自陣リスタートから後方でボールをつなぎ、センターバック(CB)の岩波拓也の下へ。
DFラインでボールを持った岩波は、次にどんなプレーを選択したか
岩波がボールを持ってルックアップすると、前線が動き出した。
次の瞬間、岩波はなにを選択して川崎を崩したか、というのがQuestionである。
Answer
スペースに下りた松尾佑介に縦パス。左サイドへの展開からチャンスをつくった
川崎のMFとDFのラインが間延びした隙を、浦和が逃さなかったシーンだった。
岩波は相手MFとDFの間に下りた松尾へ縦パス。左への展開からゴールが生まれた
川崎はこのシーンの前に家長が裏へ抜け出そうとしてオフサイドになり、前がかりに残ったところから浦和のリスタートに対して中途半端にプレスをかけようとしていた。
岩波がボールを持った時、プレスに行きたい川崎の、とくにMF陣に対して、DFラインは浦和のモーベルグと江坂任が前線に張って裏への抜け出しを狙っており、ラインを上げられていなかった。
それによってMFとDFのラインが間延びし、大きなスペースが生まれていた。そこを狙ったのが1トップの松尾だ。松尾はスペースに下りて対角のパスコースに顔を出してパスを呼び込む。岩波がすぐさま縦パスを入れて、中盤ラインを簡単に突破した。
このラインブレイクが決定的に局面を動かした。松尾は素早く左サイドの関根貴大へ展開すると、江坂がダイアゴナルに左前へ流れ、川崎CBのジェジエウをサイドに釣り出した。
そこで生まれたスペースに松尾がスプリントで入ると、関根から鋭い斜めのスルーパスが通った。いい形でバイタルエリアに入った松尾は、寄せてきた谷口彰悟の逆を取って切り返すと、そのボールを後方から入ってきた伊藤がタッチし、再び松尾がダイレクトシュートで流し込んだ。
隙を見せた川崎に対し、浦和は松尾の質の高い動きとフィニッシュに加え、江坂のスペースメイク、関根の斜めのパス、伊藤の前線への関与など、多くがかみ合って見事な崩しとなった。