厳選!2歳馬情報局(2022年版)
第11回:フェイト

 2015年、デビュー2戦目で出世レースのGIII共同通信杯(東京・芝1800m)を制して脚光を浴びたリアルスティール。同馬はその後、3歳クラシック戦線でも奮闘し、GI皐月賞(中山・芝2000m)2着、GI日本ダービー(東京・芝2400m)4着、GI菊花賞(京都・芝3000m)2着と、タイトルこそ手にできなかったものの、三冠レースすべてで上位争いを演じた。

 そして、悲願のGIタイトルを獲得したのは、その翌年。海外GIのドバイターフ(UAE・芝1800m)を快勝し、その名を世界にもとどろかせた。

 以降、GIでの戴冠は果たせなかったが、GI天皇賞・秋(東京・芝2000m)で2着になるなど重賞戦線で活躍。トップクラスの実力を随所で示してきた。

 引退後は、種牡馬入り。初年度産駒となるのが現2歳世代で、まもなく期待の1頭がデビューを迎える。

 栗東トレセンの矢作芳人厩舎に所属するフェイト(牡2歳/父リアルスティール)である。


リアルスティール産駒の良血馬フェイト

 同馬が注目されるのは、母方の血筋もすばらしいからだ。母の姉はGIドイツオークスを制したサロミナ。さらに、いとこにはGI有馬記念、GIエリザベス女王杯で2着となった実績を持つサラキア、GI朝日杯フューチュリティSを勝って、皐月賞や日本ダービーで2着と好走しているサリオスらがいる。

 まさに屈指の良血馬と言えるフェイト。父も管理していた厩舎スタッフたちは同馬のことをどう評価しているのか。関西競馬専門紙のトラックマンが話を聞いてきた。

「フェイトの馬体重は480kgほど。スタッフは『背は低いが、ボリュームのある体つきで、父を彷彿とさせる』と話していました。距離適性も、父と同じく『中距離くらいではないか』とのこと。『扱いやすい性格で、操縦性が高い』といった評価も聞かれました」

 素質の高さは間違いなさそうだが、間近に迫ったデビュー戦の手応えはどうなのか。先述のトラックマンが続ける。

「夏場に入厩し、『まだ追い切りの本数は少ないものの、徐々に動きはよくなっている』とスタッフ。初陣に向けて、態勢は整っているようです。ゲートについてはそれほど速くないみたいですが、スタートさえ決めれば、勝ち負けを演じるのではないでしょうか」

 デビュー戦は、8月6日の2歳新馬(新潟・芝1800m)。鞍上は、父ともコンビを組んでいた福永祐一騎手が務める。

 種牡馬となったリアルスティールは、初年度産駒から大物を出すことができるのか。「父に似ている」というフェイトの初陣に注目したい。