とちぎ国体・全国障害者スポーツ大会の注目選手や競技を紹介する特集「一期一会」です。

去年の東京パラリンピックで日本が金メダルに輝き注目を集め、全国障害者スポーツ大会では初めて正式競技となった「ボッチャ」。栃木選手団のプラチナリーダー・強化指定選手にも選ばれている宇都宮市の大山 智子選手は1つでも多くの勝ち星を目指し日々練習に励んでいます。

去年の三重大会が新型コロナの影響で中止となり今回、全国障害者スポーツ大会で初めて正式競技として行われる「ボッチャ」。地元、栃木が全国で初開催となり選手たちは練習に熱が入ります。

選手団の中で唯一、パートナーと共に戦うのは宇都宮市の大山智子選手です。

現在50歳の大山選手は、23歳の時に交通事故で首を骨折、手足に麻痺が残りました。事故に遭う前は高校では陸上部、大学ではエアロビクス同好会に所属しスポーツに打ち込む日々を送っていた大山選手。一度は諦めたスポーツに再び挑戦しようと、ボッチャを始めたのは今から6年前の2016年でした

「ボッチャ」は的となる白いボールに向けて赤と青、それぞれ6球ずつ投げいかに多く近づけるかを競うスポーツです。ボールを投げることができない人でも、ランプと呼ばれる勾配具やリリーサーで投球することができます。

この時、最も重要なのが、共に競技に参加し選手の意思を正確にボールに伝えなければならない「アシスタント」の役割です。大山選手のアシスタントは8歳下の弟、善樹さん・42歳。去年3月からコンビを組み始めました。それまで組んでいたアシスタントとは新型コロナの影響で思うように練習が出来ず、コンビを解消しなければなりませんでした。

姉・智子さんの思いを実現させてあげたいという家族の絆やチカラは練習だけで得られるものではありません。善樹さんが務めるアシスタントはルール上、試合中にコート上のボールを見ることも選手と会話することもできません。選手の指示をいかに迅速かつ、正確に具現化するかがカギとなるため、姉の智子選手からは妥協を許さない厳しい指示が飛びます。

この日の練習でもいくつになっても変わらない「8歳差の大山姉弟(きょうだい)」を見せてくれました。この「変わらない関係性」が大山選手の強み、何でも言い合える家族だからこそ1球1球に懸ける思いは誰にも負けません。

大山選手は弟の善樹さんやチームメイトなどに支えられながら全力で大会を戦います。