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2022年7月18日、神奈川県民ホール 大ホールにて南條愛乃のFCイベント“第5回 ごきんじょるの町内会2022 〜町をあげてのお誕生日会〜”が開催された。今年のライブ活動では”リスアニ!LIVE 2022”や“EJ My Girl Festival 2022”、やなぎなぎのライブのゲスト出演などがあったが、単独公演としては2019年以来と久々。また、FCイベントとしても2020年の町内会が延期となっていたこともあって、まさに待望のイベント開催、しかもそれが南條の誕生日を祝うものという、実にめでたい尽くしの開催となった。

あの名曲たちも即興で飛び出した、お部屋での誕生日会



多くのファン=“ごきんじょ”のみんなが客席を埋め尽くすなか、ステージ上はソファーにローテーブル、ほかにも様々な楽器や装飾品が置かれた“南條さんの部屋”をイメージしたという、まさにアットホームな雰囲気を醸していた。そこにグレーのパーカー&スウェットパンツという、これまたアットホームな出立ちの南條が登場、イベント開幕を告げるように三方向に紙の筒が伸びるピロピロ笛(吹き戻し)を吹いてみせた。ごきんじょの感嘆と困惑(?)の拍手のなか、いよいよイベントの幕開けだ。

本来自分の部屋にいるはずのない観客を妖精の類と思っている南條、いわゆるシットコム的な雰囲気でイベントは進んでいく。宅配便に(置き配で)応対したり、自分で買ったという「今日の主役」たすきや鼻メガネなどのパーティグッズをひと通り装着してみたりと、1人誕生日を楽しんでいる様子の南條。そろそろピザでも……とUber Eatsを頼もうとしたときに、彼女の携帯にボイスメッセージが届く。どうやら声優の愛美からのバースデーメッセージのようだ。愛美は先輩である南條への愛をひたすら語りつつ誕生日をお祝い。そんなほっこりしたムードのなか、次々と声優仲間からのボイスメッセージが着信。独特のフロウでバースデーラップを披露した久保ユリカ、親友らしい愛の溢れたメッセージを届ける茅野愛衣と日笠陽子と、同業者からの祝電に喜びを隠せない南條という、いよいよ誕生日らしいムードが形成されていった。

そんななか、再び呼び鈴が鳴らされると、インターホンのモニター(?)にはサングラスにアロハ姿という、どう見ても怪しい風態の訪問者……ではなく、八木一美、星野 威、佐々木聡作、キタムラユウタというお馴染みのバンドメンバーが南條の誕生日をお祝いにやって来たのだ。ドリンクを片手に妖精たちともエア乾杯をすると、部屋には豪華なバースデーケーキが登場。そして、佐々木が「南ちゃんね、実はもう1つプレゼントがあるんだ」と言って流れたのは、ごきんじょのみんなから募ったボイスをリミックスして作ったという「Happy Birthday To You」だ。ごきんじょによる優しい合唱が流れ、まさにハッピーなムードが会場を包み込む。



今年南條がソロ活動10周年を迎えるということで、バンドメンバーとの出会いや思い出のライブを振り返ったところで、南條が「じゃあさ……ゲームする?」という発案から、「アドリブセッション」のコーナーへ。南條が箱から人数、メンバー、担当楽器、曲名を引いて実際に演奏してみようという、まさにアドリブでやってみようというもの。最初は星野がウクレレ、キタムラがトライアングル、佐々木がシェイカー、八木がクラッシャー、そして南條がボーカルという5人で「スキップトラベル」が披露された。一部慣れない楽器に悪戦苦闘しながらなんとか形になっているのはさすがプロのミュージシャン。そこに合わせる南條の歌唱も含めて、なかなかレアで味わい深いものを観ることができた。その後も「リトル・メモリー」「believe in myself」、そしてまさかのfripSide「only my railgun」がレアな編成で披露されるという、ファンにはたまらないコーナーとなった。

そうしたお遊びでひとしきり盛り上がったところで、またしても南條の携帯に着信が。電話の相手は、なんと南條の所属事務所であるボイスキットの立石 孝社長。どうやら社長は大勢のごきんじょのみんなとともに神奈川県民ホールにいるようで(あくまでこの場は南條の部屋という設定)、今すぐライブをしに来てほしいとのこと。南條はバンドメンバーとともに急いでライブ会場へ……というところでイベントは第1幕が終了、第2幕のライブパートへと続いていく。

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再会と繋がりを分かち合うアコースティックライブ



2幕目となりステージ上は南條の部屋からライブステージへ。ギター、ベース、キーボード、パーカッションが置かれたシンプルな構成で、メンバーが「飛ぶサカナ」のイントロを鳴らすと、1幕目とは打って変わってカラフルな衣装に身を包んだ南條がステージ登場。アコースティックながら八木のパーカッションのビートと佐々木のピアノが引っ張る骨太なサウンドに南條のボーカルが心地良く響く。思えば、コロナ以前のライブもアコースティックツアーとバースデーアコースティックライブだったし、コロナ禍のなかでリリースされたアルバムも『Acoustic for you.』だったことを考えると、久々の単独ライブがアコースティックというのも何か縁が繋がっているものを感じる。いては星野のアコースティックギターの硬質なストロークも心地良い「黄昏のスタアライト」へ。改めて、アコースティカルなサウンドのなかでもこの曲の南條のエモーショナルな歌唱は素晴らしいの一言。アッパーな楽曲ながら音にゆったり酔いしれる、アットホームなセットのならではの至福の時間が過ぎていく。

最初のMCでは「なんか、急に私の誕生日に集まってくれているみたいでどうもありがとう」と会場に詰めかけた(テイの)観客に礼を言う南條。改めて「かいちょーこと南條愛乃です!」と自己紹介しつつ、久々のFCイベントに感慨もひとしおという様子だった。「ご時世がご時世なので(開催が)どうなるかなってドキドキだったんですけど、感染対策を気をつけて来てくださったり応援してくださったり、今年もこうやって38歳の誕生日をみんなと迎えることができて嬉しいし、幸せだと思います。ありがとうございます!」と改めてごきんじょのみんなに礼を述べた。

そして続いてのブロックは、ごきんじょるので事前に募っていた「好きな曲はなんですか?」というアンケートから、上位2曲を披露。まずはステージの左右に移動しながらキュートな振付も見せる「idc」、爽やかなムードがアコースティックによく合う「Simple feelings」と続けて心地良いボーカルを聴かせた。南條がハイチェアーに腰をかけると、「今回みんなと会ってこうやってFCイベントやるのも久々だし、会える機会もなかったので、久々にこの曲をやりたいと思いました」と語ったあと、今回のイベントのグッズの1つであるプレートライトを持ち出す。「みんな好きな色で」と告げて始まったのは「繋がりの歌」だ。キタムラがベースをアップライトに持ち替えて柔らかなサウンドが奏でられるなか、“元気にしていたかい? 久しぶりだね 少し変わったかな?”と歌い出す。のちのMCでも語られていたが、この曲が収録されたのはアルバム『LIVE A LIFE』がリリースされたコロナ禍前の2019年。しかしこの曲で語られているのはまるで、南條がこの2年間を経て再会を果たしたごきんじょのみんなに向けたもののようで、それを含んだような南條の歌声がまた沁みるし、そんな南條のメッセージを受け取ったファンたちの、それこそ様々な想いを彼女に伝えるかのようなカラフルなペンライトを灯す光景は感動的なものだった。そのまま披露された「and I」また同様に、南條のファンへの想いが溢れたかのような優しい歌声が佐々木のピアノとともに響きわたる、あまりに美しいシーンが展開される。この2曲はまさにこの日のハイライトの1つであろう。

最後には「アコースティックライブでまだやっていない曲をやろうと思います」と言って、昨年リリースされた「EVOLUTiON:」へ。オリジナルのアッパーなサウンドに対して、低音を効かせたリズム隊とエレガントなピアノとアコギが印象的なアレンジに、凛々しいボーカルの南條が実にかっこいい仕上がりだ。新たな楽曲の新たなアレンジという、まさにタイトル通りの進化を最後に見せて、ライブセットは万雷の拍手のなか幕を閉じた。

そのあとはごきんじょの皆さんからの誕生日を祝う写真を含むエンドロール with 南條のコメンタリーを経て、今回のイベントTシャツをリメイクした衣装に身を包んだ南條が再び登場し、観客にサイン入りポスターなどをプレゼントする”ごきんじょるの大抽選会”へ。最後には「本当に今日はみんな、暑いなか来てくれて本当にありがとうございます! 私も久々のこういったイベントで、どういった空気感になるんだろう?とドキドキしていたんですけど、声は出せずとも皆さんのおかげで楽しい時間を過ごせました」と会場の隅々まで手を振って感謝を表した。そして、「また皆さんとお会いできる機会がいっぱいありそうなので、それを楽しみにしています。またお会いしましょう、気をつけて帰ってね。またね!」と再会を約束してステージを去っていった。



2022年に入って、待望のごきんじょとの再会を果たした南條愛乃。止まっていた時が動き出したかのように、このあと7月31日には京都にて初のオーケストラコンサート“Ani Love KYOTO presents 南條愛乃オーケストラコンサート『花奏歌〜Kanade Uta〜』”が、そして9月からは久々のツアーとなる“南條愛乃 Live Tour 2022 〜A Tiny Winter Story〜 supported by animelo mix”が続く。そして、12月12日にはソロデビュー作『カタルモア』から10年を数えることとなる。ソロデビュー10周年というアニバーサリーも含めて、また新しいステージが幕を開けた彼女と、そしてファンそれぞれの様々な想いが詰まった一夜だった。



なお、この日の模様はアフタートークも加えたディレイ配信が7月30日よりFC会員向けに配信される。会場に来られなかったごきんじょの皆さんも含めてぜひチェックしよう。

PHOTOGRAPHY BY 東 美樹

TEXT BY 澄川龍一

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