青春18きっぷ旅行で「智頭急行」実は″疲労軽減″に効果的!? お得な一日乗車券も
兵庫県〜鳥取県をむすぶ第三セクター鉄道の「智頭急行」は、青春18きっぷでは利用できません。しかし、きっぷを別途購入してでも、旅が便利になる場合があるのです。
平成に開業した地方3セク路線
全国のJR普通列車が乗り放題となる「青春18きっぷ」。もちろんJR以外の私鉄各線は、一部の例外をのぞき利用できません。しかし、18きっぷ旅の途中であっても、乗る価値がありそうな私鉄路線が全国にあります。その一つが、兵庫県〜鳥取県をむすぶ「智頭急行」です。
智頭急行の普通列車に使用される気動車(画像:写真AC)。
この鉄道路線は、山陽側から鳥取へ直結する鉄道ネットワークを形成するため、国鉄の新路線として建設が進められました。国鉄末期の建設線の特徴である、高架とトンネル主体で都市間をまっすぐ結び、高速運転を主眼においた線形となっています。
国鉄時代は完成が断念されましたが、第三セクター鉄道として1994(平成6)年に開業。特急「スーパーはくと」が智頭急行経由で京阪神〜鳥取をむすび、当時あった山陰本線をひたすら走る特急「あさしお」、播但線経由の「はまかぜ」、福知山線経由の「エーデル鳥取」などに比べて大幅な時間短縮を達成したのです。
さて、ここまでは都市間輸送の話。地域輸送を担う各駅停車は、沿線状況を反映してか、1日9往復ほどしかありません。しかし18きっぷ旅という「鈍行の旅」で、きっぷを別途購入して乗ってでも、智頭急行が便利になる場合があるのです。
「山陰〜山陽直結」が真価を発揮するとき
先述のとおり、鳥取と山陽を直結する智頭急行。これは特に、鳥取→姫路へのショートカット、言い換えると「できるだけ早く『新快速エリア』に出ておきたい」という場合に大きな意味を持ちます。
山陰を西から移動し、午後〜夕方に鳥取へ到達したとして、翌日の旅程を考えるとその日のうちに関西へ移動したいというケースがあります。姫路・神戸・大阪・京都などなど繁華街を多く抱え、宿泊地の選択肢が多いほか、何より新快速による高速移動が可能なため、関西に辿り着けば、次の日以降の旅程もラクになります。
しかし鳥取から関西へ、JRではそれほど簡単には辿り着けません。福知山線経由で大阪へ向かう場合、鳥取17時32分発だと大阪到着は0時1分で、新快速で別の街へ行くことはおろか、食事・睡眠すらままならないことがあります。京都着も23時38分と、やはり深夜です。
ちなみに、鳥取駅から因美線で津山へ行き、姫新線に乗り換えて姫路に向かうというルートもありますが、やはり現実的ではありません。鳥取16時59分発から乗り継いで、姫路へ到着した時点ですでに22時45分。京都行きの新快速最終電車にも接続可能ですが、やはり行動範囲は狭まります。
智頭急行を利用すると、鳥取16時59分発で、21時に大阪まで到達します。さらに鳥取で夕食をとって19時7分発に乗っても、大阪へ23時に到着可能です。このように、「さっさと関西へ入って寝る準備をする」もしくは「鳥取で少し長居する」という”旅の余裕”を与えてくれるのが、智頭急行なのです。
どのきっぷを買えばお得?
上郡駅から智頭駅へ、全線を乗り通した場合、普通運賃は1320円です。しかし、一日乗車券「智頭線1日フリーきっぷ」は1200円。そのまま片道移動するだけで、元が取れてしまいます。
智頭線1日フリーきっぷの利用期間は18きっぷを完全にカバーするほか、それ以外でも土休日に限り利用できます。また、早朝に旅を開始する場合で、駅窓口が空いていない場合、車内で購入可能となっています。
もちろん、智頭線そのものにも魅力はたくさんあります。単線の高架線を1〜2両の気動車がひた走る体験は楽しいものですし、ピンクに彩られ「恋がかなう駅」という触れ込みの恋山形駅は、インスタ映えの聖地のひとつとして人気が高まっています。