@AUTOCAR

写真拡大 (全4枚)

スーパーハイトワゴンの首位争いに異変

執筆:Naojiro Onuki(大貫直次郎)

2022年5月の新車販売の車名別ランキングが発表された(自販連/全軽自協調べ)。

【画像】見つけた!スズキ純正カータープ【スペーシアでキャンプ】 全48枚

結果を見ると、半導体などパーツの供給不足による生産調整の影響の大小が、モデルによって明確に表れる形となった。


減産に揺れた2022年5月。軽の1位は、生産調整の影響が比較的少なかったスズキ・スペーシアに。王者Nボックスに土をつけた。写真はスペーシア・ギア(デニムブルーメタリック)。    AUTOCAR JAPAN

5月の軽自動車のランキングは、前月から大きく順位が変わる。

首位に立ったのは、前年同月比17.3%減ながら8670台を販売したスズキ・スペーシア。

前月まで圧倒的な台数差で首位を守っていたホンダNボックスは、生産ラインの一時稼働停止が響いて同39.3%減(8631台)と苦戦し、第2位に陥落する。

第3位にはキャンバスモデルの受注が堅調なダイハツ・ムーヴが、同22.1%減の6070台を記録してランクイン。前月第3位のダイハツ・タントは、やはり生産調整の影響で同47.6%減(4221台)にとどまり、第9位にダウンした。

2022年5月 軽四輪車 通称名別 新車販売速報

1位 スズキ・スペーシア:8670台
2位 ホンダNボックス:8631台
3位 ダイハツ・ムーヴ:6070台
4位 日産ルークス:5793台
5位 スズキ・ワゴンR:5678台
6位 スズキ・ハスラー:5444台
7位 ダイハツ・ミラ:5020台
8位 スズキ・アルト:4464台
9位 ダイハツ・タント:4221台
10位 スズキ・ジムニー:2881台

注目モデルの成績を見ていこう。

軽シェア1位はスズキ ワゴンRも伸びる

新バージョンのスマイルが販売を牽引するスズキ・ワゴンRは、前年同月比48.8%増(5678台)を達成して第5位にランクイン。

エコなハッチバックモデルとして根強い人気のダイハツ・ミラは、同6.8%増(5020台)を成し遂げて第7位に。


ワゴンRは、追加車種として加わったワゴンRスマイルが好調で、販売を伸ばしている。スーパーハイトワゴンほど背が高くないスライドドア車の需要に応えた。    前田惠介

昨年10月に一部仕様変更を図ったスズキ・ジムニーは、同14.7%増(2881台)を登録して第10位に入る。

また、ホンダS660の生産終了によって軽自動車唯一の2シータースポーツとなったダイハツ・コペンは同36.6%増(306台)、兄弟車のトヨタ・コペンは同113.4%増(207台)を達成。

昨年12月より全ての法人や個人ユーザーも対象にして販売を開始したトヨタC+podは、同828.6%増(130台)を売り上げた。

さらに、商用車のカテゴリーでは昨年12月に全面改良を実施したダイハツ・ハイゼットカーゴが、同20.8%増(5934台)を成し遂げている。

登録車の5月のランキングも、前月から順位が変動する。

ヤリス・シリーズ 唯一1万台超えで1位

登録車の首位に立ったのはトヨタ・ヤリスで、前年同月比25.6%減ながら1万2400台を販売して2か月ぶりのトップにつく。

続く第2位には、同25.8%増の9424台を販売したトヨタ・カローラが、前月から1つ順位を上げて位置。前月首位のトヨタ・ルーミーは、生産ラインの一時稼働停止が響き、同33.6%減の7704台にとどまって第3位に陥落した。


6月は生産ラインが停まることが分かっているカローラ・シリーズ。販売を後押しするSUVモデルのカローラ・クロスは依然として好調だ。    宮澤佳久

また、第4位には同53.0%増(6747台)を達成したホンダ・フリードが4ランクアップで、第5位には同11.1%増(6626台)を成し遂げた日産ノートが1ランクダウンで入った。

2022年5月 登録車ブランド通称名別順位

1位 トヨタ・ヤリス:1万2400台
2位 トヨタ・カローラ:9424台
3位 トヨタ・ルーミー:7704台
4位 ホンダ・フリード:6747台
5位 日産ノート:6626台
6位 トヨタ・アルファード:5192台
7位 トヨタ・シエンタ:4262台
8位 トヨタ・ライズ:3652台
9位 トヨタ・アクア:3288台
10位 トヨタ・ハリアー:3188台

新型車の動向に触れていこう。

新型ノアは? ステップワゴンの登録も

昨年7月に全面改良したトヨタ・アクアは、前年同月比10.8%増(3288台)を記録して第9位に。

本年1月に全面改良したトヨタ・ノアは、生産調整の影響で同13.2%減の2720台にとどまって第13位に位置。


減産によりトヨタの新型ミニバンは登録台数を思うように伸ばせていない。ノアは2720台(13位)、ヴォクシーは2157台(17位)にとどまる。ライバルの新型ステップワゴンは、通月販売の初月を迎える6月に期待したい。    前田惠介

新型に移行したホンダ・ステップワゴンは月の終盤の5月27日発売ながら、同4.4%減の2025台(第19位)と健闘する。

また、昨年12月に新型のPHEVモデルを発売した三菱アウトランダーは、同1732.6%増(1686台)を達成して第24位に。昨年10月に新型に移行したGR 86は1600台を販売して第25位に、GR 86と基本コンポーネントを共用するスバルBRZは300台を販売して第50位にランクイン。

さらに、昨年11月に全面改良したレクサスNX350hは557台を登録して第40位に。昨年9月に新型に切り替わったホンダ・シビックは、同266.0%増の355台を販売して第47位に入った。

なお、軽自動車と登録車を合わせた5月の車名別ランキングのトップ5は、トヨタ・ヤリスが5か月ぶりの首位に立ち、以降はトヨタ・カローラ、スズキ・スペーシア、ホンダNボックス、トヨタ・ルーミーの順で続く。

前月および前々月より軽自動車が1モデル増えたものの、9000台を超えるのはトップ2の登録車のみで、依然として“登高軽低”の配置が続いている。