新社会人必見!20歳のグラドル・水沢柚乃さんと学ぶ「給与明細の読み方」 - BLOGOS編集部

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※この記事は2018年04月24日にBLOGOSで公開されたものです

「明日は待ちに待った初任給!」という新社会人も多いはず。でも実際に口座に振り込まれた額を見てみると、「何だか聞いていたよりも少ないぞ」と思うかもしれません。その理由は給与明細を見ればわかるのですが…。

今回は、意外と知らない給与明細の読み方を、先日、20歳になったばかりのグラビアアイドル水沢柚乃さんが、ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんに教えてもらいました。

給与明細がよくわからないのは”もったいない”

山崎:水沢さんは、自分の給与明細を毎月ちゃんと見ていますか?

水沢:見てますね。私の場合、基本給プラス仕事の量に応じて給与が増える形になっているので。でも正直、細かくは理解していないです。パッとみて「おっ!これだけ入ってる」「あっ、こんなに抜かれてる」って(笑)。

やっぱり、社会人だったら給与明細を読めた方がいいんですかね?

山崎:「給与明細がよくわからない」というのは、自分の能力の価値が分かっていないということでもあります。なので、非常にもったいないことだと思いますね。また税金や社会保険の基本的な仕組みを理解しておくためにも給与明細はとても重要です。

会社員の場合、会社を通じて年金・健康保険制度に入っています。例えば、病院に行って300円支払ったとしたら、実際にかかっているコストは1000円なんです。本当は1000円かかっているんだけど、本人の負担は300円でいい。なぜなら毎月、みんなが少しずつ払っている健康保険料から残りの7割が出ているからです。

また、会社を辞めてフリーランスになったりしたら、確定申告といって自分で税金の計算をしなければいけません。そういう時にも給与明細が役に立ちます。

水沢:じゃあ、給与明細はとっておいたほうがいいんですか?

山崎:基本的には残しておいた方がいいですね。必ずしも紙で残しておく必要はないので、データだけでも残しておくとよいと思います。最近の会社はPDFで送られてくるところもあるんですよ。

じゃあ実際の給与明細を見てみましょうか。これは今回の企画の担当編集者が30歳の時の給与明細です。

山崎:これは、一般的な給与明細のフォーマットですね。

「支給」つまり会社からもらえるお金は、固定の基本給(月給)と超過勤務手当(残業代)に別れています。超過勤務手当は、朝9時から夕方17時といった定時より長く働いた分が時給換算して支払われます。

例えば、いわゆる「ブラックな会社」では残業代が支払われないということもありえます。「おかしいな。いっぱい残業しているはずなのに給料が少ないな…」と思ったら、この部分をチェックすればよいのです。後は通勤手当、いわゆる交通費ですね。交通費は基本的には会社が全額支給することになっています。

この給与明細にはないですが、企業によっては、「家族手当」「資格手当」といったように様々な手当を支給しているケースもあります。新入社員の場合、資格手当はない状態でスタートする人の方が多いと思いますが、就業規則などに、「この会社でこの資格を取ると給与がいくら増えます」というリストが掲載されていたりするので、チェックしてみるといいでしょう。

水沢:私は最近Twitterで「10秒グラビア」という動画を投稿して、フォロワーを増やしているので、「フォロワー手当」があったら良いと思います。

山崎:それはぜひ会社に制度を作ってもらいましょう(笑)

額面より手取りが少なくなる理由は年金や保険料の支払い

山崎:給与明細には、今説明した「支給」以外に、「勤怠」と「控除」という項目があります。勤怠には、その月何日働いたかというデータが書かれています。この場合、出勤日数23日で、タイムレコーダーに記録されている労働時間が184時間ということですね。

そして、「控除」の部分に引かれたお金が書いてあります。彼の場合、8月に入社してきたとのことですが、8月の給与明細の「控除」の部分には所得税と雇用保険しかありません。何故かというと年金などは2ヶ月目から支払うからなんです。なので、新入社員の人は、4月より5月の方が多くの額が控除、つまり差し引かれて支払われるということに注意が必要ですね。

厚生年金と雇用保険料の間に空欄がありますが、これはおそらく介護保険のための欄だと思います。

水沢:介護保険なんてものもあるんですね。

山崎: 40歳以上の人だけ払うことになっているので、新入社員などの若い人はひとまず引かれません。ただ健康保険、厚生年金、雇用保険は会社員であれば、必ず控除されます。

現在、健康保険は9%ぐらいが標準的で、厚生年金は18.3%なので合計すると、27%ぐらい控除されなければいけないのですが、実際にはそれほど引かれません。何故なら会社と本人が半分ずつ支払うというルールになっているからです。

ですから、この給与明細でいうと、実際には厚生年金保険を約4万4000円、健康保険を約2万2000円払っている。しかし、その半分を会社が経費で払っていて半分を給料から引くという形になっているのです。

この給与明細だと支払額が27万6000円のうち4万円が控除されているので、1割以上は引かれていることになりますね。

水沢:結構、引かれてるんですね…。

山崎:ただお金を持っていかれるだけじゃなくて、当然メリットもあります。

例えば、保険料を払うことで健康保険証をもらえて、病気の時には3割の支払いで済む。また、病気やケガで会社に行けなくなってしまった場合、1年半は健康保険の方から傷病手当金が支給される仕組みになっています。

年金も若いうちは払うだけですが、歳をとって働けなくなった時にもらうためのお金を今から払っているわけです。また、交通事故にあって障害者になってしまったときなどのための障害年金という制度や幼い子どもを残して死んでしまった人のために遺族年金などといった制度もあります。

確かに毎月それなりの額を引かれているのですが、病気になった時や困った時のための仕組みなので、自分がいつかもらう立場になった時に助かるわけです。

水沢:雇用保険はどんな時に役に立つんですか?

山崎:例えば入った会社が潰れちゃったとしますよね。そうすると、給料はもらえないし、アルバイトをしながら就職活動することになってしまいます。そんな状態では、なかなか落ち着いて仕事を探すこともできません。

そういう時にハローワークに行って手続きをすると雇用保険からいわゆる失業保険(正式には雇用保険の求職者給付という)が出るんです。加入期間によって、もらえる期間も変わりますが、給付が出ている間にもう1回就活をしてくださいという仕組みになっているんですね。

水沢:あとはやっぱり税金も払ってるわけですよね?

山崎:そうですね。この給与明細では「所得税」の部分が、いわゆる税金です。所得税は、「たくさん稼いだ人はたくさん払ってください」ということになっているので、年収300~400万でスタートする新入社員の人たちは、何万円も税金を払うってことはあまりないですね。

水沢:厚生年金とか保険料の方が高いんですね。

山崎:若い人の場合は、そうですね。ただ所得税率は年収が高くなるほど、税率が上がるので、感覚的には1000万、2000万もらっている人は半分ぐらい稼ぎを持っていかれるイメージになってきますね。

もう1つ、この明細に書かれていない税金があって、それは住民税です。所得税は国に納める税金ですが、住民税は今住んでいる市区町村に納める税金です。

住民税は、前年の年収に基づいて額を決めることになっているので、新社会人は1年間払いません。なので、お給料が変わらなければ、2年目から手取りが目減りすることに注意する必要がありますね。

就業規則や給与規定は”要チェック”

水沢:こういう話って事務所の先輩ともしないですし、教えてもらうことってなかったです。

山崎:だからこそ、基本的な仕組みを理解しておく必要があると思いますね。

例えば、中小企業などでは、会社が健康保険や厚生年金を払わずに本人に「自分で国民年金に入れ」などと言っているケースもあります。つまり、会社が社会保険の負担から逃れているわけですが、知らない人は「そういうものかぁ」と思って真面目に払ってしまう。

水沢:今回は、ライブドアの給与明細を見せてもらいましたけど、会社ごとのルールはどうやって確認すればいいんですか?

山崎:それは就業規則や給与規定といったものを確認すればよいでしょう。会社は、そういったものを作って従業員が見ることが出来る状態にしなければいけないことになっています。

例えば、「うちの会社は等級が1~9まであって新人が9。等級9は基本給が20万円で8級になったら22万円になります。8級になるには社内の試験に合格する必要があります」といったことが、就業規則や給与規定に書かれているはずです。そうすると「とりあえず昇格試験の勉強がんばろう」という気になりますね。年収を増やすルールを知らないで働くなんて、ルールも知らずにゲームするようなものです。ゲーム好きの水沢さんだって、攻略を本気でやろうと思ったらゲームのルールはチェックするでしょう?(笑)

水沢:そうですね(笑)。本当に知らないことばかりだったので、今日は勉強になりました。

山崎:社会制度や会社の仕組みを覚えることにもつながるので、やはり新社会人たちは、「なんでこの金額が最終的に自分の口座に振り込まれているのか」ということを給与明細を通じて考えてみるといいと思いますね。

プロフィール

水沢柚乃:1998年2月20日生まれ 静岡県出身 趣味=ゲーム(全般)、ゲームセンター通い。○3rdDVD『好きよセンパイ 』(イーネット・フロンティア)が5月20日に発売予定。
Twitter: @mizuyuno_

山崎俊輔:1972年生まれ。中央大学法律学部法律学科卒。AFP、1級DCプランナー、消費生活アドバイザー。日経新聞電子版、AllAbout、東洋経済オンラインなどに連載12本を抱える人気コラムニスト。ゲームとマンガとアニメをこよなく愛するオタクFPでもある。マンガの蔵書は3000冊強。著書に「読んだら必ず「もっと早く教えてくれよ」と叫ぶお金の増やし方」など

特別コラム:「あの人の初任給」-都議会議員・おときた駿さん

初任給から10万以上を使って両親に恩返し

私は大学を卒業後、外資系企業であるLVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループに新卒で採用され、「ゲラン」という化粧品ブランドに配属されて入社することになりました。提示された初任給は、年俸で340万円。月額にすると21万2,500円で、これに春と冬に2ヶ月分ずつのボーナスが支給されて、ちょうど年間340万円になります(212,500×16=340万)。外資系だからといって特別に高いわけではなく、当時の大卒メーカーとしては普通の給与だったと思います。

初めて出た給与では、ベタですが両親にそれぞれプレゼントを買って、焼肉屋さんで食事会をやりました。せっかくブランド品の会社に入ったのだから、自社製品を買ってあげなきゃ!という謎の使命感があって(笑)、お酒が好きな父親にはヘネシーのXO、母親にはルイヴィトンの長財布を。

社員割引制度もあったはずなのですが、新入社員が入社早々に「使わせろ!」なんて言ったら白い目で見られるのではないかと勝手に忖度し、結果、オフィシャルショップで定額で買うことに…。食事会と合わせたらトータルで10万以上の出費で、初任給の半額を使うことになりました。でも当時はまだ実家暮らしでしたし、これは良い使い方をしたなと思っています。次は結婚・出産まで両親に感謝を伝える機会はないので、ここは両親のために使っておくことを薦めます。

昔の自分に伝えたい「将来やりたいことがあるなら計画的に」

都議会議員に転職(?)した後の初任給は、額面で月額1,022,000円。当時は年額で約1,660万円でした。その金額の高さには改めて驚きました。しかしそこから所得税・住民税が15万円以上引かれて、国民年金や国保も払って、そこから選挙で借りた借金を返していたので、裕福になった実感はまったくなかったです。議員は自身の給与から事務所家賃や秘書の人件費を払うので、サラリーマンというより自営業者の感覚に近いのだろうなと思っています。

大学生から社会人になって可処分所得が一気に増えると、生活が派手になる人も多く見かけました。しかしそこで堅実に一定額を貯蓄していたり、生命保険に入っていたりしていた人の方が、30歳を過ぎると安定した家庭を築いているような気がします。見栄を張って家賃が高い都心に住めば住むほど、生活費や遊興費も高くなってジリ貧になりがちです。将来的に何かにチャレンジをしようと思っている若い人ほど、初任給から計画的な使い方をされることを薦めたいですね。これ、選挙に出馬する時にお金がなくて苦労した、過去の私に言いたいことなんですけどね(笑)。

プロフィール

東京都議会議員(北区選出)。早稲田大学政治経済学部卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループにて7年間のビジネス経験を経て、議員の道へ。ネットを中心に積極的な情報発信を行う、通称「ブロガー議員」。

・@otokita - Twitter
・おときた駿公式サイト