チケット高額転売に「早急な法規制を」宇崎竜童、Zeebraらが国会議員に訴え - BLOGOS編集部
※この記事は2018年04月17日にBLOGOSで公開されたものです
(左から)宇崎竜童、夏木マリ、石破茂議員、May J.、Zeebra
宇崎竜童、夏木マリ、May J.、Zeebraが4月16日、東京・永田町の衆院第1議員会館にて「高額チケット転売に反対するアーティスト・アスリートの要望を聞く会」に出席した。
宇崎らはコンサートやスポーツの試合などの人気チケットがオークションサイト等で高額転売されるのは問題だと主張。不当な高額転売を防止する法的な規制が早急に必要だと、集まった国会議員に訴えた。
共に出席した一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会会長の中西健夫氏は、「2016年頃からある転売サイトがテレビCMを放映し、あたかも転売に正当性があるように様々な事がおこなわれ始め、我々はすごく危機感を持った。
とある人気コンサートでは3分の1のキャパシティが転売目的で買われていた事が発覚。また、ある東京ドームのコンサートでは前方の席、約150枚が30万円以上で売られていた。更に驚きなのが、人気ミュージカルの千秋楽公演で数千円のチケットが99万円で売られており、それが売れてしまっていたという事実があった」と悪質な高額転売ビジネスの現状を説明。
続けて、「こんなことが許されるのだろうかと、初めてエンタテインメントの4団体(一般社団法人日本音楽事業者協会・一般社団法人日本音楽制作者連盟・一般社団法人コンサートプロモーターズ協会・コンピュータ・チケッティング協議会)が集まって新聞広告を2016年8月に打ち出した。これを機に高額転売を初めて社会問題として捉えていただき、色々なマスコミで是非が問われた。
今や音楽であるとかスポーツであるとかそういう事ではなく、日本の興行界全体の問題となっており、国際社会に向けて、このことをスルーすることは、恥ずかしいことであると思う。そして、高額転売であり得ない利益を生んでいる人もいる。その事に憤りを感じている」と問題の重要性を伝えた。
適正な価格で質のよいエンタテインメントを届けたい
出席したアーティスト達もそれぞれ意見を述べ、宇崎竜童は「僕らがデビューした70年代・80年代はレコードがたくさん売れた時代。しかしこれからのアーティスト達は大変です。音楽業界の軸足が CDセールスからコンサート・ライブの収益へと移ってしまいました。
コンサートで収益を上げられなければ新しい作品を制作して発表することが困難になっています。このチケット高額転売の問題はアーティスト達のクリエイティブサイクルを壊してしまうまでに深刻化しております。
これからデビューするアーティスト・たった今デビューしたアーティストの人たちのためにも早急な対策が必要です」と若いアーティスト達の未来のためにも規制が必要だとした。
女優で歌手の夏木マリは「あるチケット入手困難と言われていたアーティストのコンサートに行った時、前の席が空いているという状況でした。そのせいかなんとなく会場の空気が悪くなったのを感じ、高額転売の結果なのかしらと思った」と体験談を語った。
「私たちは何かイベントをする際にチケットの価格決めもしている。この値段というのはいかに安価でお客様に良いエンタテインメントを提供できるかを考えて付けているので、作り手側からしてもフェアでもないことに悶々としていた。
2020年も、もうすぐに来ます。どのエンタテインメントも正当な価格で楽しめるべきで、時代に敏速に対応してほしい」と自身も関わっている東京オリンピック・パラリンピックに向けてもこの問題は重要視すべきであると意見を述べた。
May J.も「高い金額を出さなければライブに行けない事だったり、良い席が取れないというその事実が私たちとファンの皆さんの関係を悪くしているのではないかと思います。そして、アーティスト・スタッフの皆さんが何ヶ月という時間をかけて準備をした、エンタテインメントを利用して、制作に関係のない人が利益をあげているということが本当におかしいことだと思っています」と語気を強めた。
Zeebraは「東京ドームのような大規模なライブだけでなく、小規模のクラブイベントでもチケット高額転売がされていることもある。今の音楽業界はライブを中心とした活動で生計を立てており、チケット代だけでなく、グッズを買っていただくことで、やっとライブが回ることも多々ある。けれど、本来は8,000円なのに、転売で買ったものが8万円のチケットだとしたら、ファンの方々もライブを見るので精一杯、グッズは買うことができなかったりする。そうすると、売上が伸びずに、なかなかグッズを販売することができなくなって、赤字になってしまったりするんです」と厳しい現状を説明。
高額転売によって、アーティストもファン自身も苦しむ結果を生み出す事になるとした。
歌手・芸人・アスリート…各界からも批判の声
他にも、藤井フミヤ・サンプラザ中野くん・きゃりーぱみゅぱみゅ・ゴスペラーズ村上てつや・及川光博・織田信成・カンニング竹山がVTRにてチケットの高額転売を強く批判。
中でもカンニング竹山は、実際のエピソードを交えながら転売の悪質さをアピール。「転売したり仲介したりする人、言ったらネットのダフ屋と一緒なんですよね。個人が楽しむものとしてそういうサイトが出来たと思うが、結果何が起こっているかと言ったら、組織的にやっていたり、個人的に利益を得ようとしているダフ屋なんです。ダフ屋って違法行為ですからね」と怒りを露わにした。
「全席売り切れてチケットのお金が入っても、空席が目立つと何のためにやっているんだろうと悲しくなり、すごく怒っています」と話し、舞台を楽しんでもらいたいというエンターテイナーたちのやるせなさが伝わってきた。
今国会で超党派力を合わせ法整備目指す
ライブ・エンタテインメント議員連盟会長の自民党の石破茂議員は「今国会は6月20日までで、いつまでも時間があるわけでない。次の国会で良いというわけでなく、多くの方の利益が奪われているものなので、保護法益は何なのかをきちんと押さえて、法律をつくっていかなければいけない」と語った。
法整備の他にも「国民にそうだそうだと言っていただき、世論が高まり、メディアにも取り上げてもらう事が浸透に繋がると思っている」と話し、個々の問題意識もこの問題の解決に必要不可欠だとした。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックのチケットも来年から発売され、今のままでは高額転売される事が目に見えている。IOC(国際オリンピック協会)からもきちんとした整備を求められており、国会での議論が求められている。
【BLOGOS編集部:清水かれん】