XFN-ASIAによると、米大手証券メリルリンチはこのほど、中国が2―3カ月以内に一段の金融引き締め策を実施するとのレポートを発表した。同レポートは、各種報道を分析し2006年上半期の同国GDP(国内総生産)伸び率が10.5―10.9%で、設備投資も31.3%増と前年同期の27.2%増を上回ると予想している。また、6月の貿易黒字は市場の予想以上に拡大し年率換算で1400億ドル(約16兆2200億円)と、前年実績の1020億ドル(約11兆8200億円)を超える勢いになる見通しという。

その上でメリルリンチは、「中国当局は公開市場操作を通じた資金吸収や、設備投資と不動産に焦点を当てた行政措置を実施するだろう。貸し出し金利の引き上げの可能性もある」としている。引き締め策の実効性についてメリルリンチは懐疑的だが、中国当局が景気後退へと落ち込むことを避けながら、投資の加熱抑制に努めていることから需要が持続的に縮小することはないとみている。

ただ、メリルリンチは「市場にとってサプライズとなりうるのは為替制度をより柔軟にする措置の実施だ」と指摘。柔軟な為替制度はマクロ経済の不均衡を是正のために必要であり、中央銀行による通貨流通量や信用創造の調整に資するとしている。 【了】

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