AFX通信によると、米投資銀行リーマンブラザーズは、中国経済が今後3年以内にハードランディング(景気の失速)する可能性があり、その場合、現在、景気循環の後退局面にあるアジア経済全体に大きなリスクをもたらすとした分析を発表した。

  この分析について、このほどシンガポールで、同社のシニア・エコノミスト、ロバート・スバラマン氏は、AFX通信とのインタビューの中で、中国経済の成長率は、当局の腰の入らない景気対策もあり、今後3年間に+5%以下に減速するとした上で、「我々が最も懸念しているのは、中国経済のハードランディングのリスクであり、他のアジア諸国へ与える大きな衝撃である」と述べた。

  同氏によると、中国には、人民元の一段の切り上げに向けての柔軟な為替政策、金利の大幅な引き上げ、財政支出の拡大といったマクロ政策の大転換が求められるが、当局にはこうした姿勢が見られず、これまでは、「つぎはぎ細工」的な政策対応に終始しているという。

  リーマンブラザーズは、今年の中国経済の成長率予測を、+10%とこれまでの+9.5%から引き上げたが、膨大な国際収支黒字や低利での国内資金供給など成長の質には問題があると指摘している。

  スバラマン氏は、中国の現在の過剰流動性と過剰投資の状況が、2008年の北京オリンピック前にさらに悪化し、その後、慢性的な供給過剰に陥る可能性があると警告した。【了】