事業化へ加速「大和西大寺〜近鉄奈良 移設計画」新駅設置やルート検討へ
前進あるのみとなった現在、あとは計画をきっちり詰める必要があります。
2021年に踏切道改良計画を提出済み
朱雀門の前を通過する近鉄奈良線(画像:写真AC)。
奈良県は2022年度の予算案を発表。その中で、近鉄奈良線の大和西大寺駅の高架化および大和西大寺〜近鉄奈良間の移設について、「早期の事業認可、工事着手に向け、都市計画決定に必要な調査を実施」するとしています。
この区間で近鉄奈良線は地上を走っており、踏切の影響による渋滞が深刻になっていることなどから、8か所が「踏切道改良促進法」に基づく改善の対象に。「2020年度末までに改良計画を国に提出すること」とされていました。
これを受け、奈良県、奈良市と近鉄とで協議を行い、2021年3月に、大和西大寺駅周辺については高架化、その他の区間については線路移設を行うという計画で国に提出。あとは計画遂行に向けて取り組むこととなり、いよいよ具体化へ動き出していました。
県はまず「連続立体交差事業」としての事業認可をめざします。そのために事業の具体内容を詰め、都市計画決定を行う必要があります。2022年度はまずそれに向けた調査を実施します。当初予算は約7000万円となっています。
近鉄奈良線の移設ルートは、国に提出した改良計画では、大和西大寺駅からS字を描いて南下。大宮通りの地下をまっすぐ東進して近鉄奈良駅へつなげるものとなっています。
県ではこの改良計画に加え、2つの新駅の設置も画策しています。案では大和西大寺〜新大宮に「朱雀大路駅(仮)」、新大宮〜近鉄奈良に「油阪駅(仮)」が構想されています。こちらは踏切改良計画にうたわれたものではないため、近鉄との間で別途協議が行われることとなります。
現在、大和西大寺〜新大宮で近鉄奈良線は、平城宮跡のど真ん中を突っ切る形で走っています。国土交通省は2008(平成20)年に「国営平城宮跡歴史公園基本計画」を策定し、その中で「宮跡内を縦横断する道路や鉄道の移設」を課題としており、奈良県と近鉄とで協議が行われてきましたが、大きな進展はありませんでした。2021年に提出に至った踏切道改良計画は、結果的にこの公園基本計画の実現を後押しするものにもなった格好です。