エンタメ×空間オーディオなら「AirPods Pro」より「Beats Fit Pro」が最適かも

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【iPadで始めるAV環境最強化計画】

iPad、iPhoneユーザーの皆さん、「空間オーディオ」は活用していますか? 音楽サブスクのApple Music、映像配信のApple TV+、そしてNetflixと主要サービスで対応が進んでいて、今までにない映像・音楽体験としてユーザーからは大好評。僕も「AirPods Pro」で活用している愛好家の一人です。

さて、そんな「空間オーディオ」ですが、最高の条件が揃う“ダイナミックヘッドトラッキング技術”対応機種に絞ると、これまで「AirPods」(第3世代)や「AirPods Pro」「AirPods Max」とApple純正イヤホン・ヘッドホン限定でした。そんななか、ついにApple以外の対応イヤホンとしてBeats by Dr. Dre(以下、Beats)による「Beats Fit Pro」が2万4800円で登場。

▲フィン付きのデザインが特徴の「Beats Fit Pro」

この「Beats Fit Pro」をiPadと組みあわせて、「空間オーディオ」メインで音質をチェックしてきます!

 

■重低音サウンドは「AirPods Pro」超え

▲iPadと「Beats Fit Pro」の組み合わせでレビュー

そもそも、なぜ「Beats Fit Pro」はApple製じゃないのに「空間オーディオ」のダイナミックヘッドトラッキングに対応しているの? って疑問も出ますよね。実は今のBeatsって、Appleに買収された傘下ブランドなんです。技術的にはAppleが自社開発しているH1チップ搭載で、ANC(アクティブノイズキャンセル)にも対応。つまり「AirPods Pro」に似ているんですよね。

▲フィンで固定するタイプ。下に伸びるアンテナもない

ただし、イヤホンとしてのコンセプトは全く別モノ。「Beats Fit Pro」は一般的なイヤホンと同じカナル型で、ウィングチップでガッチリと固定するタイプ。IPX4等級の防塵防水にも対応で、スポーツ志向でもあります。連続再生時間6時間、充電ケース付属で合計24時間再生とバッテリーも拡張されています。

とはいえ、AirPodsシリーズとソックリなポイントもあります。それが、iPadやiPhoneなどiOS機器との接続部分。近づけてケースを開けるとホーム画面に自動的にペアリング画面が表示されます。ペアリング情報はiCloudを通してiPhoneやMacなどとも共有。これはApple製デバイス専用のように語られますが、正確には以前からBeats製イヤホンも対応機器に含まれます。

▲音量コントロール長押しで「空間オーディオのオンオフを切り替えられる

そして、Bluetoothの設定画面からは、「Bluetooth」から「Beats Fit Pro」を選んで、「空間オーディオ」を有効にできます。

まずはApple Musicで「空間オーディオ」を体験…と、その前に。「Beats Fit Pro」とAirPodsファミリーって音質がどう違うの? と気になる人もいるかもしれませんので、そのあたりを。

ひとまず「空間オーディオ」オフで試した「Beats Fit Pro」のサウンドは、重低音がズンズンと沈み込んで、中域もエネルギッシュに立つはメリハリ重視。「AirPods Pro」が軽やかで聴き疲れしないことを重視しているのに対して、「Beats Fit Pro」はよりパワー志向です。ただし中域の鳴りに独特の癖があって、ボーカルが弱めに聞こえることも。欧米ブランドらしい音ですね。

▲最近はプレイリストも作成されて探しやすくなった「空間オーディオ」の新譜

さて、「Beats Fit Pro」を使ってApple Musicで「空間オーディオ」を体験してみましょう。まだまだ曲数は多くないですが、最新の楽曲ではONE OK ROCKやOfficial髭男dism、Vaundy、BrunoMarsなども提供が始まっています。

そんな中でも僕が気に入ったのがエド・シーラン『Shivers』。エド・シーランってアコギ、そして重ねて録音した音自体に不思議な魅力がありますよね。「空間オーディオ」をオンオフ切り替えながら聴いてみると劇的に変わります、オフだと左右のイヤホから耳にダイレクトに音が飛び込むのに対して、「空間オーディオ」では音の空間がズシリと奥行きを持って響くのが、もう最高です。

そして「Beats Fit Pro」も対応する“ダイナミックヘッドトラッキング”。スピーカーの位置関係も再現し、例えばiPadの位置に対して横を向くと音楽も横から流れる、という機能です。

▲iPadを壁の棚に置き、動きながら「空間オーディオ」を検証

iPadを部屋のどこかに置きっぱなしにして、「Beats Fit Pro」を装着して音楽を流しながら後ろを向いたり、歩き回ったりと、いろいろ動いてみると…、やっぱり良いかも。

▲ダイナミックトラッキングは、あえてiPadに背を向けたり歩き回ったりするとその効果がよくわかる

ちなみに「AirPods Pro」も効果は同じですが、そもそもイヤホンとしての音質が違っていて、音の深みの再現は「Beats Fit Pro」の方が優秀ですね。iPadを遠くに置いたら選曲が不便…と思いきや、選曲ならイヤホンのマイクでSiriを呼んで音声操作すればいいんですよね。

Appleによる映像サブスクサービスApple TV+やNetflixも「空間オーディオ」に対応しています。

▲Apple TV+の映画でも重低音の再現は「AirPods Pro」以上

トム・ハンクス主演のオリジナル作品『フィンチ』。砂嵐、屋内の効果音など音の位置再現がすごい作品なのですが、「Beats Fit Pro」で聴くと砂嵐の轟音のような響き、建物の天井が崩れるズンとした低音の再現性がスゴイんです。「AirPods Pro」でも十分と思ったのですが、「Beats Fit Pro」は重低音の余韻や空気感まで現れます。

さまざま試してみて感じたのは、AirPodsシリーズをエンタメ特化させたモデルが「Beats Fit Pro」ということ。AirPodsシリーズは軽やかで快適な点がいいんだけど、徹底的に映画や音楽を楽しむならBeats。スポーツで活用したい人もBeats。そして「空間オーディオ」重視でもBeatsの方がいいですね。

AirPodsファミリーと兄弟のようでいて、方向性の異なる「Beats Fit Pro」。アクティブノイズキャンセル(ANC)搭載で「AirPods Pro」よりも安いので、同列で比べて自分が求めているのがどちらか比較してみることをオススメします!

>> Beats by Dr. Dre「Beats Fit Pro」

 

<取材・文/折原一也>

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長

 

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