コロナ渦で大好きなサウナに行きにくいのなら、いっそのこと、自宅のマンションにつくってしまおう。そう決意した、一級建築士でフィンランドサウナアンバサダーでもある島田大輔さん。DIY施工した際の様子や費用などをレポートします。業者に頼んで設置するのもありなので、サウナーの方はぜひ参考に。

コロナ禍で手軽に外で楽しめない。なら、家にサウナをつくろう

日本では第三次サウナブームが到来し、サウナが市民権を得てきました。サウナ好きの筆者にとっては、うれしい限りです。

一方で、社会情勢としては相変わらず新型コロナウイルスの変異株が猛威をふるい、不特定多数の人が集まる公共サウナは、人数制限や時間制限などが行われるように。公共サウナに入ることが、コロナ禍前よりも難しくなってきました。ましてや人気施設では、サウナに入るために並ぶことも。

この状況下で並ばずに、感染リスクも少なく、好きな時間に好きなだけサウナに入れたら…。ならいっそのこと、家にサウナをつくってしまおう。そう、考え始めました。

 

フィンランドでは、一家に一台サウナが!セルフビルドでつくる人も

調べ始めると、フィンランドでは、約550万人の人口に対して、およそ330万のサウナがあるとのこと。一家に一台、サウナがあるんです。しかもセルフビルドでつくっている人も、結構いる。セルフビルド用の本も出版されていることがわかりました。

 

試しに数冊買ってみると、つくり方がかなり細かく記載されています。これなら、自宅マンションにDIYサウナができる、と確信しました。

設置するのにちょうどいい、あまり使っていない部屋(書斎)があります。この部屋を、書斎兼サウナ室にすることに決定。

せっかくつくるなら、断熱性能も高い、本格的なフィンランド式サウナをつくりたい。とはいえ…。DIYは好きですが、棚や机をつくったことがあるレベル。サウナ小屋など、当然つくったことがありません。

 

木材はホームセンターで購入。ストーブはフィンランドのメーカーのSAWOに決定!

できる限り簡単にできるように、構造形式は、ツーバイフォーというアメリカでは主流のものを採用することにしました。

 

とにかく簡単に精度高くするために、木材はホームセンターで購入し、カットまで依頼。

 

ホームセンターでは、こちらで設計した寸法でカットしてもらいました。これで圧倒的に作業効率があがりました。

 

あとは、ストーブメーカー選びです。基本マンション内につくるサウナなので、マンションの規定などにより電気式のものを採用することに。

ストーブを扱っている代理店はいくつもあります。そのなかでも今回は、コストも安く商品のラインナップも多い、京都のサウナメーカーのバッサーテックに相談。親身になってサウナストーブのメーカー選別やサイズ提案などをしてくれました。

 

そして、フィンランドのメーカーのSAWOに決定。銭湯サウナやスポーツジムのサウナ、シティホテルでも採用されている、フィンランドでは有名なサウナメーカーです。

実際に完成して使用したところ、暖まりも早く、ストーブをつけて30分でサウナを楽しむことができました。

週末に数時間、ほぼひとりで作業し、4か月で完成!

写真は、組み立てたサウナの壁に断熱材を入れているところです。

設計や施工の期間については、できる限りひとりで施工すること、そしてなにより楽しみながらつくろうと思っていました。そのため、時間はあまり気にせずにつくりました。

 

こちらは、中に板を張り、さらに完成へと近づいた時の写真です。

平日は建築設計の仕事もあり、時間を費やすこともできないので、週末に数時間だけ作業。期間としてはおおよそ4か月かかった計算です。

 

合計40万円で本格的なフィンランド式サウナができた!

費用については、サウナストーブで15万円、木材は12万円、そのほかの材料費9.5万円、工事外注費(電気工事、木材プレカット代)3.5万円。

合計40万円で、本格的なフィンランド式サウナをつくることができました。

 

気になるランニングコストは、サウナ1回あたり200円

気になるランニングコストをお伝えします。「電気代が高いんじゃないの?」ってよく言われますが、じつはそれほどでもありません。3日に1回入るとすると、月額2000円程度(3.0kW×2時間×27円/kWh×10日=1620円程度+基本料アップによる300円)で、サウナ1回あたりのコストは200円程度と意外とリーズナブルです。

 

今までは近所のものを利用したとしても、サウナを楽しむにはそれなりにまとまった時間が必要でした。しかし、自宅マンションにサウナをつくったことで、より手軽になり、かつ往復にかかる時間などを省けるように。

そのうえ、サウナ室では気兼ねなく好きな音楽を聴いたり、読書をしたり、アイスクリームを食べたりと、公共のサウナでは味わえない至福の時間が味わえるわけです。サウナがある暮らしでこんなにも豊かになるものなのかと実感しました。

 

自宅マンションにサウナをつくる注意点は?

●サウナストーブ熱源は電気ストーブを選択

最後にマンション内にサウナを設置するための注意点を説明していきます。

ストーブの熱源はおもに、電気、薪、ガスの3種類がありますが、「各種法律適合」「排煙経路の確保」などをクリアするには、電気ストーブを選ぶことになります。それだけではなく、電気用品安全法に適合しているかなども確認しなければならないので、業者や専門家に相談が必要です。

 

●管轄の消防署確認、マンションの規約を確認

念の為、管轄の消防署へ確認を行いましょう。またマンションの規約を確認しましょう。サウナ自体を禁止しているマンションの規約は、ほぼありません。まれに電気ストーブを認可していないマンションがありますので、マンション規約を必ず確認しましょう。

 

●サウナ室設置が可能か、床荷重の確認を

サウナ室を設置した際には、床荷重によってNGになる場合がありますので、あらかじめ建築家、サウナの専門家などに確認を。

筆者のようにDIYで設置することは難しいかもしれませんが、多くのマンションでサウナをつくることは可能です。ぜひ参考にしてください。