味の素冷凍食品は「2022年春季新製品発表会」を1月21日に開催。ライフスタイルの多様化や喫食シーンの変化に応じて、食卓カテゴリーを中心とした多彩な商品ラインナップを展開してきた同社の取り組みや、市場動向などを踏まえた2022年春季の新製品・リニューアル品が紹介された。

○「冷凍餃子の市場はまだまだ伸びる」

「味の素グループは2020年の中期経営計画で食と健康の課題解決企業となり、2030年までに10億人の健康寿命の延伸や環境負荷を50%削減することを掲げました。この目標はグループ全体の目標ですが、達成に向けて味の素冷凍食品が果たす役割は非常に大きいと考えています」とは、同社製品戦略部長の大竹賢治氏。



2021年上期の冷凍食品市場規模は2,368億円で、前年比で104%伸長しており(2020年4月〜2021年9月、冷凍食品市場規模、同社調べ)、主に食卓品がその市場を牽引している。

冷凍食品は完成食という食品形態で、我々が設計した栄養素でそのまま召し上がっていただけます。減塩食品やアレルギー対応食品など、健康への貢献に最も適した加工食品です。また、環境面では昨今フードロスが課題視されていますが、冷凍食品は工場の中で最も廃棄が少ない形で加工され、お客様の食べ残しも出にくい。冷凍食品の使用はフードロス削減に直結します。一方でトレー品が多い冷凍食品は環境面でプラスチックの使用量が多いという、ネガティブな面も合わせ持っています」

コロナ禍のステイホーム・在宅勤務など昨今の生活環境の変化を背景に、日々の食事作りの負担軽減を目的に冷凍食品を試す人が急増。その魅力を実感する機会が増え、現在も利用が継続されているようだ(2021年10月、同社調べ)。

「2021年上半期は2020年のステイホームの反動で前年を割れたカテゴリーも多いなか、冷凍食品は唯一前年を継続して超えております。2019年と20201年の使用金額を世帯属性別に比較しても、あらゆる年代でコロナ禍前の水準を上回る状況です」



消費者が利便性や品質の高さを実感した冷凍食品。“夕食のメインおかず”としての利用も進み、夕食に出現する頻度は 2019年比で約1.2倍に増えたとのデータもある (株式会社ライフスケープマーケティング「食MAP」)。

「こうした成長の背景には料理における価値観の変化もあります。2020年には“手間抜き論争”が起きました。冷凍食品を夕食に出して旦那さんに『手抜きじゃないか』と言われてしまったというツイートが論争を呼び、弊社公式アカウントから『それは手抜きじゃないです。手間抜きです』といった内容を発信したところ大きな反響がありました」

○家飲み、健康志向に着目した冷凍餃子

今年50周年を迎えた味の素の冷凍餃子の市場規模は現在約600億円。直近5年間の市場成長率は年率7%にもなるという。

「非常に大きな市場かつ成長市場ですが、我々はまだまだ伸びると見ています。冷凍餃子のニーズはさまざま広がっていますが、冷凍餃子カテゴリーの年間の購入率はまだ43%。しかも、お買い求めになられている方も1年で6個しか買っていただいていない状況です」



大竹氏は家飲みをする機会の増加に伴い、簡単に出せるおつまみに対する需要が高まっていることを指摘。なかでも冷凍餃子は身近なおつまみとして魅力的な商品だと語る。

「ストックできる上に、最後のひと手間をフライパンで加えることで焼き立ての美味しいおつまみ完成します。他のお手軽に食べられる缶詰や乾き物といったおつまみと比べると、焼き上がる音や香り、見栄えなど、焼き餃子は一線を画すものです。そんな家飲みシーンの新たな選択肢として提案するのが新製品『黒胡椒にんにく餃子』です」

「黒胡椒にんにく餃子」は味の素独自のレシピ設計技術でビールにとことん合う餃子として開発されたという。味覚条件も、ビールに合うものを追求した。



「黒胡椒やにんにくの辛味や酸味が効いて味にパンチがあり、お肉の油脂感をしっかり味わえます。ビールのさっぱりすっきりした味わいに非常に合う製品で、発売前の調査ではビール好きの方の93%が『この餃子を買いたい』とお答えいただいております」

また、夕食における味噌汁の出現頻度を2021年と2017年で比べると味噌汁が夕食に出る頻度が107%に増えていることを踏まえ、新製品「シャキシャキやさい餃子」を発売する。

「昔から一汁三菜という言葉があります。これは基本的に品数を増やすと、栄養バランスの良い食卓になるといった考え方ですが、現在は一汁一菜の考え方が現れ、品数が少なくても栄養バランスの取れた食事は可能とする考えが徐々に浸透しつつあります。タンパク質、炭水化物、野菜が取れる冷凍餃子を通じて、品数をたくさん出さなければいけない強迫観念から家庭の食卓を解放したいと考えました」



ブランド豚・南国麦豚を使用することで野菜の魅力を引き立て、野菜本来の味わいを生かすため香りの強いにんにく・ニラは不使用。通常の餃子の1.6倍の野菜を使い、野菜中心でヘルシーながらも生姜と昆布出汁が効いた飽きのこない味わいにしているそうだ。

「ポイントはこだわりの素材です。野沢菜は品質の良い信州長野産を中心に使用し、大根は季節に合わせて旬の産地から調達します。食感を楽しんでいただけるよう、キャベツは10ミリと大きめにカットし、和風のメニューにも組み合わせやすい味わいに仕上げました」

○脱プラにも注力

新製品の発売に加えて、「黒豚大餃子」や「レンジで焼ギョーザ」、食物アレルギー対応製品「米粉でつくったギョーザ」のリニューアルも実施する。

「水を入れての調理が必要だった『黒豚大餃子』は油と水なしで調理ができるように改定しました。また『レンジで焼ギョーザ』は水分を閉じ込めやすい配合の皮に変更しました。3つ目の『米粉でつくったギョーザ』の改定品では、小麦・卵・乳を不使用でも餃子の底面と羽の焼き色のつき方を合わせる改定を行い、より綺麗に焼きやすくなっております」



減塩や食物アレルギー対応製品を中心に健康栄養を目指した製品の拡充を進める同社は昨年、「地鶏釜めし」を塩分40%カットの減塩製品として発売。今回のリニューアルでは日本の冷凍食品業界では初という紙を使用したパッケージを新たに採用した。

「20年前からフリーザ、冷凍・冷蔵庫の脱フロン化に取り組み、冷凍食品業界では初めて昨年全ての冷凍庫の脱フロン化が完了しました。また、70%以上のプラスチック製品でリサイクルしやすい単一素材によるモノマテリアル化を実施し、トレーの不使用品を発売するなどプラスチック量の削減にも取り組んできました。省資源化によって2020年度は前年との比較で約50tのプラスチック量削減を実現しています」

家庭用冷凍食品の新製品3品・リニューアル品4品は2月6日より全国で発売される。