2021年10月1日、JR東日本の新幹線E4系「Max」が定期運転を終了しました。E1系につづき「全2階建て新幹線」であったE4系の特徴はどんなものだったのでしょうか。

大量輸送を追求した新幹線車両

 2021年10月1日、オール2階建て新幹線のE4系「Max」が定期運転を終了しました。つづく16・17日には臨時列車「サンキューMax とき」が運転され、これにより臨時列車としても運転終了となりました。


2021年10月に引退したE4系新幹線「Max」(画像:写真AC)。

 オール2階建ての新幹線車両は、1994(平成6)年にデビューしたJR東日本のE1系「Max」が初で、E4系は2代目。E1系はすでに引退済みで、今回のE4系引退により、新幹線から2階建て車両は姿を消しました。

 「Maxとき」などのように列車愛称に用いられる「Max」は「Multi Amenity Express」の略で、2階建て新幹線であることの証明でした。しかし、E4系の後継車両も登場しなかったため、今後は使われなくなります。

 それまで新幹線の2階建て車両は100系や200系の一部にも採用されていましたが、「オール2階建て新幹線」の誕生は、新幹線が長距離移動に加えて「通勤」という側面をも持ち始めた時代を反映したものでした。増発にも限界があるなか、できる対処は「1便あたりの収容人数を増やすこと」。E1系12両編成の定員は1235人、E4系では8両編成2本を連結した状態で1634人にもおよび、山手線のE235系1編成の乗車率100%(座席とつり革・手すり等が埋まる状態)にも匹敵する人数が「全員座れる」計算になります。

 オール2階建て構造だけでなく、E1系の自由席2階部分はリクライニングしない「両側3列シート」となっており、まさにスペースの許す限り着席できる設計でした。この「3+3」のシート配置はE4系にも受け継がれましたが、座席間の収納式ひじ掛けを無くすことで、座席幅がE1系よりも少し広くなりました。

「通勤新幹線」としての使命を持って生まれたE4系ですが、最大の「弱点」はスピードでした。重量も大きく、最高時速は240km/h。速達化がすすむ東北新幹線では真っ先に淘汰されることとなりました。その他にも階段の昇降が必須なことからバリアフリー面でも不利となるなど2階建て車両のデメリットが目立つようになり、後継車両も製造されないまま、老朽化とともに引退を迎えたのです。

 引退後は順次廃車が進んでいますが、新潟市の新津鉄道資料館には、2016年に引退したP1編成の先頭車が保存されています。今年引退したE4系についてJR東日本は、「現時点では廃車・解体や展示など、今後の使用予定については未定です」としています。