アメリカの公立図書館が1910年に貸し出した児童書が、なんと111年ぶりに返却されて話題になっています。

Overdue book returned anonymously to Idaho library 111 years later

https://www.nbcnews.com/news/us-news/overdue-book-returned-anonymously-idaho-library-111-years-later-rcna6856

返却された書籍はケイト・ダグラス・ウィギンによって記された「少女レベッカ」の続編「New Chronicles of Rebecca」で、アメリカ・アイダホ州のボイシの公立図書館に匿名で郵送によって返却されました。係員によると、付属していた貸出カードが近年利用されているものとは異なっており、調査の結果、書籍は1910年にカーネギー公立図書館で貸し出されたものであることが判明しました。

貸出カードを収納するポケットには、貸出から2週間が経過すると延滞金が発生する旨が記されていました。ボイシの公立図書館によると当時の延滞金は1日当たり2セントで、貸出から約4万日が経過した同書籍には800ドル(約9万円)の延滞金がかかる可能性があると指摘しています。しかし、この話題を報じたKTVBによると20世紀初頭には延滞金の上限金額が「書籍の購入金額」に定められたとのこと。さらにボイシの公立図書館は近年になって延滞金システムを廃止していることから、書籍を返却した人物に延滞金を払う義務は発生しない可能性があります。



なお、アメリカの図書館では延滞金システムを廃止する動きが活発化しており、2019年にはシカゴやサンフランシスコの図書館が延滞金システムを廃止しました。また、2021年10月にはアメリカ最大規模のニューヨークの公立図書館が延滞金システムの廃止を宣言。この際、当時のニューヨーク市長であるビル・デブラシオ氏は延滞金システムの廃止について「今回の発表は、多くのコミュニティの中心である公共図書館が、誰もが利用できる場所になるための大きな一歩です。罰金をなくすことで、より多くのニューヨーク市民にサービスを提供し、成長と成功のチャンスを与えることができます」と語っています。

アメリカ最大の公共図書館システムが延滞料の廃止を発表、「罰金は時代遅れ」との声 - GIGAZINE