Epic Games CEO、アップルを批判して「全プラットフォーム統一アプリストア」を推進
Epic GamesとアップルとはApp Storeの手数料をめぐって訴訟を繰り広げ、今年9月にはアップルが一定の勝利を収めました。が、ほとんどの主張が認められなかったEpicも、App Store支払い方法変更の命令に不服を持つアップルも控訴しており、記事執筆時点では第2ラウンドを控えています。
そんななか、Epicのティム・スウィーニーCEOが韓国で開催された「Global Conference for Mobile Application Ecosystem Fairness」のインタビューで再びアップルを批判し、「すべてのプラットフォームに対応した単一のアプリストア」が必要だと主張しています。
アップルとEpicとの争いは、昨年Epicの人気ゲーム『Fortnite』内に独自の支払い方法を実装したため、これがアプリ内購入ガイドラインの規約違反としてゲームがApp Storeから削除され、Epic社の開発者アカウントも抹消されたことが始まりです。
その訴訟のなかでEpicがアップルにiPhone向けサードパーティ製アプリストアを立ち上げる許可を求めていたことも明らかとなっています。さらにEpicは法廷の外でSpotifyなど他の企業と連携し、アップルやGoogleにアプリストア改善を求めるアプリ公平連合を結成することになりました。
さて今回のスウィーニー氏の発言は、これまでの他社アプリストアに何かを要求することから一歩踏み出したものです。すなわち「今、世界が本当に必要としているのは、すべてのプラットフォームに対応した単一のストアです。現在ソフトウェアの所有権は、iOSのApp Store、AndroidのGoogle Playマーケットプレイス、Xbox、PlayStation、Nintendo Switch、Microsoft StoreとMac App Storeの間で分断されています」として、プラットフォームごとにストアが乱立していることに異議を唱えています。
さらにスウィーニー氏によれば、Epicは開発者やサービスプロバイダーと協力して、ユーザーが「1か所でソフトウェアを購入し、すべてのデバイス、すべてのプラットフォームで利用できる」システムを構築しているとのことです。ちなみに同氏は言及していませんが、Epic GamesもPCゲーマー向けのEpic Games Storeを運営しており、こちらも手数料を徴収しています。
スウィーニー氏は「ストア市場、決済市場、その他多くの関連市場があります。独占禁止法の施行は、ある市場の独占企業が、その市場の支配力を利用して、関連性のない市場への支配を強いることを許さないことが重要です」とも述べています。つまりアプリストアを運営しているアップルが、自らの決済手段を使うよう義務づけていることを指している模様です。
まさに今年9月、韓国ではアプリ配信プラットフォーム(アップルとGoogle)に自社アプリ内決済システム使用の義務づけを禁じる法案を可決したばかりです。それによりアップルは韓国でアプリ内での他社決済手段を認めることが求められますが、そのために十分な努力をしていないと報じられています。
スウィーニー氏はこの法案を賞賛し、アップルが 「抑圧的な外国の法律」に従う一方で、「韓国の民主主義によって可決された法律を無視している」と非難。そして「アップルは止めなければならない 」とも付け加えています。
発言のなかで「抑圧的な外国」がどこかは特定されていませんが、アップルは中国政府に対してiCloudセキュリティを妥協していることや、ロシアの野党指導者アプリを削除しろとの命令に従ったとの報道もありました。
もっともアップルがスウィーニー氏の批判に耳を傾けても、実利的に何も得られるものはないはず。両社の争いは引き続き、法廷の中で繰り広げられることになりそうです。
Source:Bloomberg
via:MacRumors