茶系・黄色系の「アースカラー」インテリア注目高まる? コロナ禍と部屋の色の関係
長い巣ごもり生活で自然への欲求が高まり人気となったアースカラー。ここ最近は旅行や遠出ができるようになったものの、まだまだ慎重論が多いのも事実。ならば、色を上手にインテリアに取り入れてご自宅の空間演出を楽しみませんか?
「コロナ禍で売れ筋カラーに変化あり 緑や黄色が売れるワケ」という記事を目にしたのは今年の春のこと(日経ビジネスウェブサイト「日経クロストレンド」2021年3月11日配信)。インテリアショップや雑貨店をのぞくとビビッドな色よりいわゆるアースカラーといわれる茶系・黄色系を中心に、緑や青など自然を想起させるアイテムが増えているような気がします。でも、ファッション業界の流行色は2年前から決められているという話も聞いたことがありますが…。
まずは、日本の色彩心理の第一人者・山脇惠子先生に、流行色の傾向や、色が人に与える影響などについてお話を伺いました。
自然への欲求の高まりがアースカラー人気の後押しに
「確かにファッション業界の流行色は、インターカラー(国際流行色委員会)などが2年前から考案し、実シーズンに向けてマスコミが消費者に伝えることで広まります。けれど、予測不能な自然災害や戦争など大きな社会変動が起きると不発に終わってしまうこともあるんです。
アースカラー人気の高まりはここしばらく続いていて、背景にはサステイナブルやエシカルといった意識の高まりがあると考えられます。それがコロナの影響で外出ができなくなり、巣ごもり生活が続いたことで自然への欲求が高まり、その欲求の高まりが意識・無意識に反映され、身近に植物やアースカラーのアイテムを置く行動につながっているのではないでしょうか。
それに人工的なものに囲まれて生活していると、土着的な世界への憧れがかき立てられ、アースカラーへの注目度が知らず知らずのうちに高まるのかもしれません。実際、いま観葉植物がものすごく売れていて、街の小さなお花屋さんでは簡単には仕入れられないほど高騰しているといいますからね」(山脇惠子先生)
空間演出に意外と役立つラグマットと壁面装飾
では、流行色を室内インテリアに取り入れるコツはあるのでしょうか。東京・目黒にアジアンテイストやリゾートテイストなど、自然素材を取り入れた家具を中心に扱っているショップを構えて20年になるa.flat目黒通り本店の店長、瀬下航さんに流行色を活用した空間演出を考える際のポイントを教えていただきました。
「一般的にマンションのような集合住宅の場合、リビングが住宅のメインとなる場合が多いと思うのですが、そのリビングで一番大きい家具といえばソファーです。そのため、ソファーの色や形が空間のテイストに強く反映されます。つまりソファーこそ空間演出の要というわけです。ただ、ソファーは大きくて値も張りますから流行色や気分で買い替えるのは難しいですよね。
ですから、流行色を取り入れて部屋の印象を変えたい場合はラグマットを交換するのがおすすめです。ラグマットはソファーに比べれば安価なうえに、ソファーよりも大きい面積のものを選べば空間の印象を大きく変えてくれるからです。
また、壁面装飾に流行色を取り入れるという方法もあります。マンションや一般住宅の場合、壁は白かオフホワイトがほとんどで、その壁紙を張り替えたり塗り替えたりすると大掛かりな作業になり、時間も費用もかかります。でも壁面装飾なら手軽に取り入れられますからね」(a.flat瀬下さん)
壁面に飾るものというと、ポスターや絵画などを思い浮かべがちですが、ボードに布や和紙を貼っただけのシンプルな壁面装飾であれば特別な意味やメッセージを主張することがなく、部屋のテーマカラーを演出することができるというわけです。
空間演出は統一感が大切。一か所だけに集中してこだわらない!
また、空間演出に大切なのは統一感だと言いますが、具体的に失敗しないコツはあるのでしょうか?
「インテリアコーディネートで失敗しないコツは、一か所だけに集中してこだわらないことです。例えば、モノトーンで統一していた空間に流行色だからといってソファーだけアースカラーにすると浮いてしまって統一感が取れなくなってしまいます。
モノトーンの空間をアースカラーのイメージに変えたいときは、ソファーではなくラグやクッション、テーブルランナーなどをアースカラーで揃えると統一感が取れます。また、全体を見渡してみて、部屋の中で悪目立ちしている小物を取り除くのも効果的です。ダストボックスや小物入れなど、ショップで見たときは魅力的だったとしても、実際に室内に置くと部屋全体の雰囲気にそぐわず浮いてしまうこともありますからね」(a.flat瀬下さん)
さらに、日常遣いしている家電や小物など、どうしても移動させることができないものを目立たせたくない場合は、観葉植物を近くに置いてそちらに目がいかないようにするという方法もあるそうです。
まとめ
大きな家具を購入しなくてもラグマットや壁面装飾で流行色を取り入れた空間演出ができるということや、悪目立ちする小物を取り除く、観葉植物で目立たせたくないものに視線がいかないようにするなど、どれも目からうろこのアドバイスでした。ここで紹介してコツを取り入れながら、ぜひご自宅のインテリアに流行色を取り入れて空間演出を楽しんでみてください。
<取材協力>
a. flat(エーフラット)目黒通り本店
店長 瀬下航さん
心理カウンセラー、芸術療法士(日本芸術療法学会員)
山脇惠子さん