タニタ「デレマス全190人グッズ化」大胆コラボなぜ実現? 「全員にスポットを」提案に意気投合
健康機器メーカーのタニタがアイドルゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」(デレマス)とのコラボグッズとして3Dセンサー搭載歩数計の発売を2021年9月14日に発表した。それが190人いる全キャラクターのグッズ化を実現したことで、ゲームのプレイヤーからは大きな反響が起こった。ゲームの10周年を記念したコラボ企画ながら、コラボ先企業によりもたらされた「全員分グッズ化」に至る経緯を取材した。
「tiny tiny」が「タニタに」に聞こえる
そもそもなぜタニタがデレマスとのコラボを行うに至ったか。きっかけはデレマスに登場する1人のアイドルキャラクター、五十嵐響子(声優:種崎敦美さん)にまつわる空耳である。五十嵐響子名義で2016年にリリースされたソロ曲「恋のHamburg♪」のワンフレーズ「あなたに tiny tiny」が「あなたにタニタに」に聞こえるとリスナーの間で騒がれ始めた。リリース日(3月2日)前のPV公開の時点でこの空耳が話題になり、これにタニタの公式ツイッターアカウントも反応。2016年2月には早くも「響子のタニタとは」と投稿しておりこれに気付いていたようだ。以後プレイヤーの間で空耳として定着し、タニタ側も時々彼女に言及していく。
実際に2021年、デレマス10周年コラボグッズ第1弾として五十嵐響子のイラストを採用したデジタルクッキングスケール(計量計)を8月10日に発売している。彼女の料理好きというプロフィールを活かしたものだが、それにとどまらず190人分のグッズ化に踏み切った。
これについて、取材に応じたタニタ企画担当者はこう話す。
ゲームで「プロデューサー」と通称されるプレイヤーは、アイドルを育成して疑似的に関係を深めていく。「全てのアイドルに担当しているプロデューサーがいるゲームで、アイドルもプロデューサーと一緒に歩んでいくところがコンセプトです。10年間歩んできたプロデューサーとアイドルを弊社が健康にしてあげられればな、との気持ちもありました」とプロデューサーの気持ちに応えるべく、完全受注生産で彼らの手元に必ず届けられるようにした。受付は9月15日から10月11日午前10時まで。
「担当するアイドルをいろんなところに連れていってあげてください」
なぜタニタの健康アイテムの中でも歩数計が選ばれたかにも、「歩む」とかけたゲームへの敬意が込められていたそうだ。
「10年間アイドルとプロデューサーが二人三脚で歩んできた歴史に敬意を表したい気持ちもありますし、これからも20年30年と未来に向かって歩いて行ってほしいなと『歩み』『歩き』をかけたものでもあります」(タニタ企画担当)
歩数計はかつてのように振り子による振動ではなく3Dセンサーで歩数を計測するのでバッグに付けたりストラップで首に下げても歩数計測ができ、デレマスのプロデューサーとしてのささやかな自己主張のアイテムとなる。「プロデューサーにとってアイドルと一緒に出掛けている気分になれると思いますので、そうして一緒に遠出するうちに自然と健康になっていく、モチベーションを保って自発的に運動不足を解消できるアイテムにできればと思います。担当するアイドルをいろんなところに連れていってあげてください」と着用法をアピールする。
反響に感じた「プロデューサーの気持ちの後押し」
企画担当としては「『アイドルマスター シンデレラガールズ』の世界観を大事にしたいので、既に発売されている各種のグッズと並べても違和感のないものを」と考え、デザインや配色もタニタの従来の枠を超えてゲームグッズらしいものに決めていったそうだ。担当者も「絵柄などはバンダイナムコエンターテインメントさんから候補を出していただいて進めていったのですが...制作過程でそれぞれのアイドルを調べていくと本当に十人十色で多彩な子がいるなと思います。全員の誕生日を調べていくと季節によって(誕生日が)重なったりすることもあるなとか、私と同じ誕生日の子は推したくなるな、など興味が湧きますね」とも。
リリース発表後、反応をSNSでエゴサーチしてみてもかなりの反響を実感したという。
「『タニタの株を買いたい』なんてTwitter投稿もありました。熱心なプロデューサーの目線からすると『担当アイドルが企業コラボの仕事をもらった』という感覚のようです。ソーシャルゲームで10年以上続けてこられたのは、運営企業さんに加えてプロデューサーのこの気持ちの後押しもあったのでしょう」とタニタ側はプロデューサー側の熱量に驚いている。
「響子ちゃんはタニタと本作を繋いでくれた始まりのアイドルなので」(タニタ企画担当)と五十嵐響子にフォーカスした第1弾、全員分のグッズ化を実現したこの第2弾に加えて、第3弾も制作の最終段階に入っているそうだ。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)