この記事をまとめると

■最近のクルマは優等生でどれも乗りやすく思われている

■だが実際は個性的で「クセの強さ」を感じる新型車も存在

■今回は一見普通なのにクセが強い5台を紹介する

強めのクセはハマると抜け出せない!

 最近のクルマは優等生で、どれに乗っても同じだからつまらないな、と思っている人も多いのではないでしょうか。でもそんなことはありません。新世代のクルマでも、先日デビューしたばかりの新型車でも、見た目やイメージでは万人にぴったりで乗りやすそうですが、じつはえっと驚くほどクセが強いクルマもあるんです。今回はそんな、無味無臭に見えるけど意外に濃厚なクルマたちをご紹介したいと思います。

1)日産ノートオーラ

 まずは、女優の中谷美紀さんがCMに出演しているように、大人の女性にも似合う優雅で上質な雰囲気をまとう新型車、日産ノートオーラ。これはもちろん、新型ノートから搭載された最新の第二世代e-POWER搭載で、100%モーター走行ならではの滑らかでパワフルな走りを引き継ぎつつ、インテリアや装備をワンランクアップさせて、よりプレミアムなコンパクトカーに仕上げたモデルなんですが、なんと、このパワートレーンの限界ギリギリだという100kW/300Nmにまでハイパフォーマンス化されていて、発進加速なんでまさにロケットダッシュ! 何も知らずに乗ったら驚くこと間違いなし。

 しかも走行モードが3つあって、エコモードとスポーツモードにすると、アクセルペダルだけで加減速を自在に操れるのが大きな特徴です。最初は、アクセルペダルの力を弛めると、思った以上に減速してしまうのでギクシャクするかもしれませんが、慣れてくればいちいちブレーキペダルに踏みかえなくても、アクセルだけでカーブなんかもきれいに駆け抜けていけるようになるから、楽しいんですよね。普通にも、クセ強めにも乗れるのがノートオーラです。

2)スズキ・ジムニー

 続いて、カクカクしたボディラインや、ワイルドなんだけど小さくてかわいい、絶妙なさじ加減で女性にも人気のスズキ・ジムニー。軽自動車でも本格クロカン4WDで砂漠だって岩場だって走れちゃう実力の持ち主ということで、これも意外にクセ強めです。

 今ではほとんどのクルマがモノコックになっているけど、ジムニーは伝統のラダーフレームを採用。荒れた路面でクルマの一部を損傷したとしても、モノコックなら致命傷になってしまうところを、ラダーフレームならなんとか走ることができるという、まさにサバイバルで生き残るための選択なのですが、現代の舗装された路面ではノイズは大きいし、高速道路など高速域ではガタついたりするし、いろんな意味でワイルド感たっぷり。でもそれも含めて、ジムニーの世界観ということで楽しめるのがいいところです。

3)MINI

 次は、1959年にアレック・イシゴニスが生み出したコンパクトカーの傑作と言えば、MINIですよね。それがBMWの技術者たちによる努力と愛情によって、現代版に生まれ変わってから、すでに20年が経過しました。往年のクラシックMINIの愛らしさ、フレンドリーさ、その中にある本物のカッコよさ。それらを消し去ることなく、現代の安全性や使い勝手に求められる要素を加えて作られたMINIは、日本でもあっという間に大人気となりました。

 でも決して、誰にでも好かれるような単なる優等生に仕上げたわけじゃないんだなと、運転席に座った時にうすうす感じるはずなんです。デコラティブなほどのインテリアや、まるでデジャブのようにクラシックMINIの頃を思い出させる独特の視界。そして走り出すと、「ゴーカートフィーリング」と言われたMINI
らしいところが遠慮なく顔を出します。車線変更なんて反復横跳びみたいだと感じたり、カーブを駆け抜けていくスリルだってクラシックMINIを思い出すほど。かわい子ちゃんに見えて、じつはヤンチャなところもあるのがMINIなんですね。

世界標準的なクルマも新型は結構なクセをもっていた!

4)フィアット500

 続いてもう1台、イタリア生まれの偉大なる大衆車といえば、フィアット500です。これも、キュートなデザインに一目惚れして買ったものの、あまりにクセが強くてビックリしたという話をよく聞きます。

 とくに、日本のコンパクトカーのCVTでスルスルとすべるような加速フィールに慣れた人や、マニュアル車に乗ったことがない人は、覚悟した方がいいでしょう。最初はオートマモードにしているのに、まったく思い通りになめらかに走ることができないんですから。

 じつは500のデュアロジックというトランスミッションは2ペダルMTと呼ばれるもので、クラッチのないマニュアル車のような感覚。だから、いくらオートマモードにしているとはいえ、アクセルをベタ踏みしたままではダメなんです。1速、2速とギアが上がる様子を頭に思い浮かべながら、アクセルペダルを少し弛めるようにしてあげると、スムーズに加速できるんですね。でもこれが、最初はギクシャクしていたのにだんだんクルマとの気持ちが通じてきて、なめらかに操れるようになってくると、がぜん愛おしい気持ちになるから不思議。ほかのクルマじゃつまらないと感じるようになってしまうかもしれません。

5)フォルクスワーゲン・ゴルフ

 最後は6月に発表されたばかりの新型フォルクスワーゲン・ゴルフ。世界中のコンパクトカーがお手本とするゴルフもついに8世代目となったわけですが、フォルクスワーゲン史上初の48Vマイルドハイブリッドを採用したことや、常にオンラインでつながるコネクテッド機能が充実したことなどで話題です。

 乗り味はかなり上質で、さすが世界のベンチマークと唸る出来栄えなので、誰にでも好まれると思うのですが、クセ強めなのはインテリア。初めて室内に入った人は、「え? スイッチこれだけ?」とけっこう衝撃を受けるはず。多くの操作はタッチパネルに集約されていて、エアコンやオーディオなど一部の操作は、直感的なデジタル化ということで、指でスワイプするのとスライドするのとでは別の操作ができたり、指2本でスワイプするとまた別の操作ができたり。最初にレクチャーを受けずに乗ってしまうと、何をどうすればいいのか戸惑ってしまうかもしれません。オーナーとなって毎日使ううちには、かなり素早く便利に使いこなせるようになると思うのですが、最初はちょっとクセが強いかなと感じそうです。

 というわけで、誰でも乗りやすそうで、それほど濃厚な個性がなさそうに思えるクルマなのに、実はクセが強いクルマたちをご紹介しました。個性的なクルマは好き嫌いが激しいかもしれませんが、人とクルマにも相性があるので、ハマれば一生モノ。食わず嫌いをする前に、まずはトライしてみてほしいと思います。