水中造形センターが入居していたビル

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著名な水中写真家であった舘石昭氏が創業

 (株) 水中造形センター(TDB企業コード:982672801、資本金4800万円、東京都千代田区麹町1-7、代表舘石哲見氏)は、7月12日に事業を停止し、事後処理を宮之原陽一弁護士(東京都千代田区平河町2-16-5、宮之原法律事務所、電話03-6869-7171)に一任、自己破産申請の準備に入った。
 
 当社は、1958年(昭和33年)に日本での水中写真の第一人者として知られる舘石昭氏(故人)が創業、77年(昭和52年)12月に法人改組した出版社。月刊『マリンダイビング』を主力に『DIVINGスタート&スキルBOOK』『世界のダイビングBOOK』『楽園モルディブ』『ダイビングガイド』など数多くのダイビング関連雑誌を発行し、2002年9月期には年売上高約11億3700万円を計上していた。

 雑誌および写真集出版を手がけるかたわら、水中写真の専門ライブラリー、水中撮影の専門プロダクションとしても業界内で高い知名度を誇り、TV、映画、ビデオ、ポスター、カタログなどの水中撮影・機材リース事業も展開。毎年4月には総合イベント「マリンダイビングフェア」を開催するなど、スキューバダイビングの普及を推進していた。舘石昭氏は水中写真の発展と普及への貢献から2005年に文化庁長官表彰を受けたほか、2006年には旭日双光章を授与され、2012年に逝去していた。

 しかし近年は、出版不況やデジタル化の影響で販売部数が低迷し、売り上げがダウン。スマートフォンやタブレット端末向けにデジタル版「マリンダイビング」のサービスを開始したものの業況は好転せず、2020年9月期の年売上高は約3億9000万円まで落ち込んでいた。この間、赤字決算が散発するなど厳しい運営を余儀なくされていた。こうしたなか、新型コロナウイルスの影響で「マリンダイビングフェア」が延期になるなど資金繰りが急速に悪化する事態となり、ここにきて事業継続を断念した。
 
 負債は債権者約100名に対し、約2億円。