《茨城一家殺傷》岡庭容疑者(26)は10年前に「連続通り魔」を起こした“猫殺し少年”だった から続く

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 2019年9月、茨城県境町で小林光則さん(当時48)と妻の美和さん(同50)が刃物で刺され殺害された事件で、5月7日、茨城県警は埼玉県三郷市に住む無職・岡庭由征容疑者(26)を殺人の疑いで逮捕した。岡庭容疑者は昨年11月、硫黄45キログラムを所持していたことから三郷市火災予防条例違反でも逮捕されている。


上下青のチェック柄パジャマを着た岡庭容疑者(2020年11月) ©文藝春秋 撮影・細田忠

 岡庭容疑者は未成年だった約10年前、連続少女通り魔事件の犯人として逮捕され、世間を震撼させた過去があった。

 岡庭容疑者が連続少女通り魔事件の犯人として逮捕されたのは2011年12月。同年11月、当時通信制高校に通う16歳の岡庭容疑者は三郷市内にて下校中の中学3年生の女子生徒に自転車で背後から近づき、無言で女子生徒のあごを包丁で突き刺した。さらに翌月には隣町の千葉県松戸市内で小学2年生の女児のわき腹を複数回刺す凶行に及んだ。どちらの被害者も重傷を負った。

 2013年2月よりさいたま地方裁判所で行われた裁判員裁判では、犯行後、岡庭容疑者は自宅で血のついた刃物をながめ「満足感」を得ていたことなどが、検察の冒頭陳述で明らかになった。さらに岡庭容疑者の異常な性癖も裁判の過程で指摘された。

切断した猫の首を学校に持ち込んだ高校時代

 司法関係者が説明する。

「小学生の時の岡庭容疑者は、友人も少なく学校ではあまり目立たない存在だったといいます。ただ、その頃から虫を殺し、犬や猫を虐待することで“自分の強さ”を実感していたようです。動物の虐待は成長するにつれて次第にエスカレートし、高校時代には猫2匹を殺した上に、さらに切断した猫の首を、ナイフと共に学校に持ちこみ、学内で問題になりました。

 また、検察側の冒頭陳述では『映画などで女性が死ぬ場面を見て性的快楽を得ており、女の子を殺せば、より大きな性的興奮や満足感を得られると考え、少女たちを尾行し犯行に及んだ』と指摘されています。犯行の際には、少女を殺害し、首を切断して持ち帰ることも考え、金属製のワイヤーを隠し持っていたことも明らかになりました」

反省は皆無「女性の首を絞めて苦しむところを想像します」

 犯行当時、押収された岡庭容疑者のパソコンには女児の首が傷つけられた場面の映像ファイルや、猫を茹でる虐待動画の閲覧履歴があったという。

「裁判中、『拘置所で女性のグラビアとかそういうのを見ますか』という質問をされたときには、『見ます。その女性の首を絞めて苦しんでいるところを想像します』と平然と言う少年だった。どんな教育を受けて育ったのかと耳を疑いました。

 法廷での岡庭容疑者は終始うつむき加減で、反省の色は皆無でした。髪が長くボサボサで、見てすぐにそのヤバい雰囲気が伝わってきましたよ。裁判中に質問されたことには自分に不利になるような内容でもハッキリと受け答えをしていたのが印象的でした」(同前)

さいたま地裁は刑事処分を下さず、医療少年院へ送致

 検察は「再犯の恐れが極めて高い」と指摘し、「再犯の防止には刑事処分が必要だ」などとして、懲役5年から10年の不定期刑を求刑。しかし、さいたま地方裁判所は、2013年3月12日の判決で「医療少年院で治療することが再犯防止の最良の手段だ」と、少年を家庭裁判所に移すことを決定した。同年3月21日、さいたま家裁は、逮捕後の精神鑑定で、社会性の発達やコミュニケーションが困難な「広汎性発達障害」とされた点に注目し、刑事罰を与えるのではなく、医療少年院送致で更生を促す判断を下した。

 2015年には被害にあった女性が、岡庭容疑者と両親を相手取り、慰謝料などの賠償を求めた訴訟を起こし、さいたま地裁は岡庭容疑者側に約1900万円の支払いを命じている。

 だが今回、岡庭容疑者は再び罪を犯して、逮捕された。「全く反省の色が見えない刑事裁判での様子を見て、出てきたらまた何か起こすと思った」と当時の岡庭容疑者を知る関係者は語っていたが、その悪い予感は的中してしまった。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))