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1万年に一度の偉業、成る!

球春到来。もはやコロナ禍などまったくなきがごとく1万人程度を上限とした大観衆を集め、時短営業に勤しむプロ野球。26日の開幕戦には多くの観衆が笑顔でつめかけ、楽しい一日を過ごしていました。我が埼玉西武ライオンズもオリックス・バファローズとの開幕戦を迎え、見事に勝利。個人的にも第2戦のチケットを入手することができまして、本気の開幕を楽しんできたいと思います(※じゃあ先週のオープン戦は行かなくてもよかった説もあるが…)。



内装が新しくなった西武ドーム、実況・解説のテンションも高めです。西武VSオリックス戦の開幕を解説する松沼兄やんは「ホントにキレイになりましたね!外野にイスがついて!」と大興奮しています。あまりにテンション高く「僕らのときは芝生だった」とか振り返られると、「あれ?30年くらいずっとこの球場イヤだなーと思ってたのかな?」という気持ちにもなりますが、まぁそれぐらい興奮してしまうのは僕も現地に行った者として理解はできます。

頭のなかにはビフォーアフターのアレが鳴り、ナレーションは「なんということでしょう!」を連呼しているのが今年の西武ドーム。「なんということでしょう!面白座席がこんなに増えました!」「なんということでしょう!子どもたちが有料で遊べる遊具公園が誕生!」「なんということでしょう!トイレで広告が見られる!」「なんということでしょう!あの汚く歪んでいた緑の柔らかい謎の床が真っさらな茶色の床になりました!すぐに汚れそう!」とアフターが山盛りなのです。

なるほど、ラグビトップリーグ・NTTコミュニケーションズシャイニングアークスのグレイグ・レイドロー選手もライオンズのユニフォームを着て球場の新生を祝い、「ワクワクする一日ですね」くらいのお世辞は言うでしょう(西武ドームの実物を見たことはないかもしれないが…/実物にはワクワクするかもしれないが行くまでの沿線風景でゲンナリしそう)。ようやく胸を張ってお客様をお迎えできる空間になったなと思います。そして、これであと30年くらい戦うんだろうなぁ、身売りがない限りは、と思います!

↓新生西武ドームについてはコチラのご紹介動画でワクワクしてください!




しかし、今年の開幕戦は例年以上の緊張感で迎える試合となりました。対戦相手のオリックスは昨年までで「開幕戦9連敗」という大記録を継続中の相手(※2011年4月12日の開幕戦引き分けを含めれば10年連続で開幕勝ちナシ、今年で11年目を狙うという大記録)。この記録をつなげられるかどうか、しっかりと節目の10連敗を迎えさせることができるかどうかは、ここまでの10年間タスキをつないできたすべての選手たちの想いを背負う、それだけの重みがある役目だと身震いします。

たとえば、勝ちと負けが両面に書かれたコインがあって、投げて10回連続で「負け」が出る確率は1024分の1=0.098%です。およそ1000回に1回という確率です。一度試すのに10年かかるわけですから、開幕戦10連敗は「1万年に一度の奇跡」と言うことができます。もちろん「オリックスの場合、裏にも表にも負けと書いてあるコインなのでは…?」と思う向きもあるかもしれませんが、それは決めつけが過ぎます。この10年間のなかには2位になったシーズンもあるのです(※まぁそれ以外全部4位以下だが…)。偶然とは違う強い想い、「絶対勝つぞ開幕戦」「絶対負けるぞ開幕戦」「互いに全力を尽くしたうえで!」という意志のチカラが働いている…僕はそう睨んでいます。

それはオリックスだけがそう思っていてもダメです。

対戦相手も同じ想いで全力を尽くさなくては。

想いの果てに「節目の10連敗」がある。

これは断じて140分の1などではありません。

歴史への挑戦なのです!

↓おおおおおい!先発・山本由伸だとおおお?か、か、勝てるかな…?

「ワザと負けてるわけじゃねーから」
「俺たちはいつだって本気」
「本気の負けだから悔しいし」
「本気の負けだから美しい」
「いい選手を育てて、負ける」
「いいチームを作って、負ける」
「それがオリックス魂!」
「さぁ、開幕戦」
「悪いが、本気で行くぜ」
「球界屈指の好投手、打てるかな?」
「山本由伸で負けてこそ節目の10連敗」
「敗北を教えてもらおうか?」

絶対勝たなきゃいけないと思うと、勝てない気がする!

開幕戦10連敗のプレッシャーはむしろ西武側にかかっている!



西武先発はエースの風格漂う高橋光成。昨年はノーノー未遂も達成し、西武の伝統をしっかり受け継ぐ「13番」に成長しました。初回の投球、素晴らしいボールがつづきます。大きく落ちるフォーク、内角ズバッと投げ込むストレート。単にいいボールということだけではなく、「自分のチカラで打者を上回って抑え込む」という一段高い位置から見下ろすような投球です。この投球ならば、楽天で開幕投手をつとめる涌井秀章さんが仮に西武に残っていたとしても、開幕投手だったとは限らなかったでしょう(※西武に残っている場合、腐ってチカラが落ちてるの意)。高橋光成は素晴らしいピッチングでオリックス打線を5回までゼロに抑え込み、開幕戦10連敗へ向かって打線の援護を待ちます。

すると打線も奮起。初回の攻撃では「まーだ1番の夢を見ている」金子が内野安打で出塁すると、送りバントで一死二塁としたのちに、3番・森のセカンドゴロ⇒セカンド太田が後逸⇒ライトも緩慢な守備⇒二塁から一気に金子が生還、で先制点。初回から本気のエラーを繰り出してくるとは、さすがオリックス穴取れません(※守備に穴があってボールが取れないの意)。西武はさらに今季中の2000本安打達成を狙う栗山巧が今季1安打目となるタイムリーを放って追加点。幸先よく2点リードで立ち上がりました。10連敗、見えてきました!

↓栗山のタイムリーが初戦の初回に飛び出す!今年はいいことありそう!


その後も順調に得点を重ね、5回を終えて4-0と西武がリードする展開に。しかし、山本はガッチリ握った開幕戦10連敗の権利を何とか返してよこそうと粘りのピッチング。ちょっと点が取れる雰囲気ではなくなってきます。一方、西武先発の高橋光成は6回に吉田正尚にパカーンと一発を浴び、7回に頓宮にパカーンと一発を浴び、もう引っ込むだろうと思われた8回にも何故か出てきてピンチメイクする始末。しこたまランナーをためた状態でマウンドを託された後続の平良海馬は、何とかピンチをしのぐも1点を追加されてしまいます。何やかんやで8回終わって4-3。開幕戦10連敗達成なるか、ピリピリした空気での終盤戦です。

そんななか西武には頼れる男がいます。どこの球団に行ってもリリーフをできるだろう実力の持ち主、昨季のセーブ王・増田達至が。引っ張り出される展開になっちゃいけない試合だったかもしれませんが、これも開幕戦10連敗の重みでしょう。簡単に勝てる試合などありません(※簡単に負ける相手はたまにいるが)。簡単に達成できる記録などありません(※10年かかる時点で簡単じゃない)。最後まで集中してキッチリと抑え込む。それでこそ、大記録に臨むオリックスの面々も「お情けは一切ナシか…面白いじゃねーか!」と意気に感じてくれるはずです!

↓9回を守護神・増田がキッチリと締めてオリックス悲願の開幕戦10連敗達成!


10年間の想いがつながった!

この歴史に携わったすべての人に感謝と労いを!



素晴らしい記録の余韻は、球場を埋めたライオンズファンの笑顔と、オリックスファン(来ていれば)の苦笑いとなって、特別な年の特別な記憶となりました。この10年には試合自体ができないのではないか、そんな場合ではないのではないか、どうせ負けるんだしやめちゃおう、という危機もありました。それがこうして「10年連続」としてつながっていること、その瞬間をお客様の目の前で迎えられたこと、そのこと自体が嬉しく素晴らしい。

ただ、これで挑戦は終わりではありません。10の次は15、そしてさらなる節目の20が待っています。「開幕戦20連敗」への挑戦ができるのはオリックスだけ。他球団はスタートラインに立つまで10年近くかかるという、気の遠くなるような新たな挑戦の権利を唯一オリックスが手にした、そんな開幕戦だったと言えるのではないでしょうか。

たとえば、勝ちと負けが両面に書かれたコインがあって、投げて20回連続で「負け」が出る確率は104万8576分の1=0.00009%です。およそ100万回に1回という確率です。一度試すのに20年かかるわけですから、開幕戦20連敗は「2000万年に一度の奇跡」と言うことができます。2000万年前、地球にはヒト科の生き物がようやく現れた頃でした。もしかしたらこれは人類史に残る偉大な挑戦なのかもしれません。節目の20年目となる2031年が、今から楽しみです!


記録達成のため、毎年オリックスは開幕でソフバンに当てるのはどうでしょう!