2020年の新たな“働き方”アイデア…キーワードは2つの “LIFE” 「第7回GOOD ACTIONアワード」から見えた“働く”ことの未来
「働く人が主人公となるACTION」を応援するために、リクルートキャリアが2013年から開催している「GOOD ACTION アワード」。働く個人が自ら行動した功績を称えるこのアワードには、毎年全国各地の企業から多くのアイデアが寄せられる。
3月3日(水)、都内某所にてオンライン配信による第7回 「GOOD ACTION アワード」 表彰式が開催された。2020年は“職場”という空間が失われた年ながらも、例年に違わぬ応募数があったという。人びとはどのように工夫を凝らし、自らの働く環境に変革をもたらしていったのか。
第7回目となる今回のGOOD ACTIONアワードは、昨年登場した「ワークスタイルバリエーション賞」、「ワークスタイルイノベーション賞」、「審査員賞」の他に「トレンド賞」「Cheer up賞」が新設され、最終審査を経て選出された8つの取り組みが「GOOD ACTION」として発表された。
会場には「GOOD ACTION アワード」を受賞した取り組みのの担当者が参加したほか、審査員4名が登壇した。本記事では授賞式の前後におこなった関係者へのインタビューをもとに、受賞した取り組みを紹介していく。
「それぞれの審査員が独自の目線で高く評価したアクション」に贈呈する審査員賞は、3つの取り組みが受賞。守島基博氏(学習院大学 経済学部経営学科 教授/一橋大学 名誉教授)が選んだのはワークスアイディの取り組みだ。
HRS事業本部 HRSマーケティング室室長・朝比奈一紗氏は、女性社員の産休を機に2016年から人材派遣業界には珍しい“電話面談”をスタート。他社に先駆けリモートでの面接・登録を推進してきた。
個人の考えた行動が組織全体に広がり、会社の価値観に変化をもたらしたことが評価された本取り組み。朝比奈氏は「今後のテーマは“求職者への利便性”と“社内的なダイバーシティ”の二軸。いろんな人たちの働きやすさを把握し、個々の幸せを追求していけるような環境を整えていきたいです」と意気込む。
アキレス美知子氏(SAPジャパン特別顧問/横浜市参与/EMPOWERジャパン共同代表)氏が選んだのは大橋運輸の取り組み。
人材不足や従業員の高齢化が課題となる運輸業界において、2011年から女性の採用を増やすためにフレキシブルな出社形態を提案。以降、外国籍社員への語学サポートや、 LGBTQに向けた履歴書性別欄廃止などの「ダイバーシティ経営」を行う。
代表取締役社長・鍋嶋洋行氏は「もともとは女性の働きやすい環境を作り、人材不足を解消するためにスタートしましたが、個々の特性を意識し改善するほどに、あらゆる人の働きやすい環境が生まれることを実感しました。LGBTQに関する採用配慮などはまだまだ都市部から広まっていない印象。自他問わず、これからもできることはたくさんある」とダイバーシティ経営が波及することに期待する。
藤井薫氏(リクルートキャリア リクナビNEXT編集長)が選んだのはカクイチの取り組み。
創業136年の企業に対し、入社1年目の社員が社内コミュニケーションツール・Slackの活用による業務改革・組織改革プロジェクトを推進。新しく組織にジョインした社員が変革を起こしたこと、そして社内を巻き込むための工夫が評価された。
取締役経営統轄本部長・宮島宏至氏は「紙と電話、FAXでのコミュニケーションが中心だった企業。デジタルを導入することで、コミュニケーション量が増えました」とSlack導入後の社内の変化を振り返る。
また事業戦略部・服部悠司氏は「ツールを導入さえすれば全部うまくいく、というわけではない。『これを使ってこういうことをやりたい』という意思と覚悟が会社を変えていきました」と、プロジェクトが成功した決め手を指摘する。
若新雄純氏(慶應義塾大学特任准教授 New Youth 代表取締役)による審査員賞、そして「働き手のバリエーションを多様化することに貢献したアクション」に贈呈されるワークスタイルバリエーション賞に選ばれたのは、ライトカフェの取り組み。
ライトカフェでは、現在60代のシルバー人材が12名、人工知能に正しい知識を学習させる業務「 AI アノテーション」に従事。彼らの能力を活かした“シルバー人材×AI”という切り口が評価された。
代表取締役社長の榊原喜成氏は「彼らの情報リテラシーは高く、プロジェクト開始からスムーズに業務は進みました。研修に加え、紙の作業マニュアルを配布したり、シルバー人材同士で教え合う風土を作ったりと、作業環境も重視したことがポイントだったと思います」とプロジェクトを振り返る。
「働き方の生産性向上につながるイノベーティブなアクション」に贈呈するワークスタイルイノベーション賞を受賞したのは、三重県南部自動車学校。
南部自動車学校では2013年からブランディング戦略の一環として「ほめちぎる教習」を実施。従業員全員が「ほめる技術」を訓練し、朝礼でのロープレ実践などを経て、生徒の良さを引き出す講習を実践した。
代表取締役の加藤光一氏は「当初は生徒さんの成長実感が得られるように、と始めましたが、結果的に後輩社員が先輩へ質問しやすくなるなど、職場の人間関係にも変化が生まれ始めたんです。組織風土も変化したことは、私自身も驚きました。私たちの取り組みをベースに、他の教習所や教育施設、企業などに伝播していければ嬉しいです」と、取り組みが波及することを期待する。
「その年の働き方や働き方の課題を解決しようと取り組んだアクション」に贈呈するトレンド賞に選ばれたのは、マクアケの取り組み。
有志社員らが社内コミュニケーションの活性化を目的とした配信番組「幕ウラでダル絡み」をスタート。毎週木曜日に社員をゲストに招いたトーク番組を配信し、なんと社内視聴率は最大80%を記録した。
番組マネージャーを手がける北原成憲氏は「偶然にもコロナ禍で社内コミュニケーションが希薄となったタイミングと重なり、創業記念日に24 時間放送を開催したことが、社内に浸透する起爆剤になりました。事前に出演者にアンケートをとり、プライベートを掘り下げることが企画のキモ。内輪ネタを共有し、次の日には社員同士が“ダル絡み”できるような仕掛けを意識しています」と、配信を社内に浸透させたポイントについて語る。
「労働環境や職場の改善が困難だと捉えられがちな業界で働く人にとって力強いエールとなるようなアクション」に贈呈されるCheer up賞。まずは宮城県漁業組合 七ヶ浜支所の取り組みから。
宮城県漁業組合 七ヶ浜支所では、東日本大震災で加工施設が壊滅的な被害を受けたことを機に、個人/家族で行っていた海苔養殖業を分業化。情報共有を図ることで、海苔の品質を飛躍的に向上させた。施設を共用とすることで経費が削減した結果、収益も増加している。
七ヶ浜支所 課長・鈴木洋氏は「職人1人1人に“生き残る”という同じ目標があったからこそ、前例の無い取り組みながらも協業を続けられました。震災から10年というタイミングで受賞できるのは嬉しい。近年では県外からの新規就業者も増えているので、今後は外部からのアイデアや若い力を取り込めれば」と感想を述べる。
Cheer up賞には、福井大学医学部附属病院の取り組みも受賞。
一般病棟勤務者が原則として日勤勤務は白色、夜勤勤務は紺色のユニフォームを着用するようルールを周知したことで、定時終了の意識が高まり、内部コミュニケーションも円滑になった。
桒原 勇治氏は取り組みがもたらした効果について「日勤者と夜勤者が明確に分かるようにしたい、という意図からスタートした取り組み。結果として超過勤務が減ったり、隣の部門のシフトが把握できたりと、働く環境やコミュニケーションの変化につながった。一人一人がマネジメントを考えるきっかけになったのかなと思います。シンプルではあるものの、アワードを受賞したことで『外から見たら革新的な取り組みだったのか』と気付かされました」と述べる。
今回GOOD ACTIONアワードを受賞した8社は、各々数時間にもわたるヒアリング取材と、審査員らによる喧々諤々の議論を経て選出された。審査員である藤井氏は、今年のGOOD ACTIONアワードを通して感じた「変化」を振り返る。
「2020年はテレワークによってコミュニケーションの間合いがつかめなくなった年。テレワークを通じ“褒める”や“挨拶”といったシンプルな行動が見直され、“相手への関心”――相手の“心”に互いに“関”わろうとすることの重要性を再確認できた年でした。
今年からトレンド賞とCheer Up賞を新設したのも、実はコロナ禍が背景にあります。大きな変化が訪れる時代に生まれた“新しい職場のあり方”に加え、『いかにエッセンシャルワーカーがいなければデジタルの仕事も立ち回らなくなるか』といった気づきを、世に発信すべきだと思いました」
そのうえで、今回は例年に審査基準に加え、新たな目線を審査に取り入れた、と藤井氏は語る。
「今までのアワードと同様『個人の思いが原点にあるか』は重視しましたが、『いかに職場に息吹を与えているか』も、今回は議論の的になりました。僕は職場や会社を“いきもの”だと捉え、常に呼吸し続ける存在だと思っています。アワードを受賞されたのは、そういった“いきもの”に新鮮な空気を与えるような取り組み。『経営が改善された』といった結果・成果にとらわれず、むしろ発展・進化の余地があるような取り組みも積極的に候補へ入れました」
では、来年以降のGOOD ACTIONアワードは、どのような変化が訪れるのだろうか。
「“働”という漢字を分解すると『人と人が重なることにより大きな力が生まれる』という解釈ができます。コロナ禍によって部署や担当、職場を超え、今までは重ならない人たちが重なるようになりました。2021年以降もその数多く生まれた重なりから、大きな革命が起きると思っています。
また今後は “LIFE”がキーワードになるでしょう。まず、大切な仲間を傷つけないよう“LIFE(命)”に配慮する職場環境はもっと進化していくでしょう。そして会社の中だけでキャリアデザインを考えるのではなく、長い“LIFE(人生)”の中でキャリアを捉えるライフキャリア・デザインの動きも加速すると思います。その2つの“LIFE”を見つめ直したエントリーが増えることを期待します」
――GOOD ACTIONアワード/リクナビNEXT
3月3日(水)、都内某所にてオンライン配信による第7回 「GOOD ACTION アワード」 表彰式が開催された。2020年は“職場”という空間が失われた年ながらも、例年に違わぬ応募数があったという。人びとはどのように工夫を凝らし、自らの働く環境に変革をもたらしていったのか。
新設「トレンド賞」「Cheer up賞」が登場 計8つの取り組みが受賞
第7回目となる今回のGOOD ACTIONアワードは、昨年登場した「ワークスタイルバリエーション賞」、「ワークスタイルイノベーション賞」、「審査員賞」の他に「トレンド賞」「Cheer up賞」が新設され、最終審査を経て選出された8つの取り組みが「GOOD ACTION」として発表された。
会場には「GOOD ACTION アワード」を受賞した取り組みのの担当者が参加したほか、審査員4名が登壇した。本記事では授賞式の前後におこなった関係者へのインタビューをもとに、受賞した取り組みを紹介していく。
(キャプ)左から、リクナビNEXT編集長 藤井薫氏、慶應義塾大学特任准教授 若新雄純氏、SAPジャパン特別顧問/横浜市参与/EMPOWERジャパン共同代表 アキレス美和子氏、学習院大学 経済学部経営学科 教授/一橋大学 名誉教授 守島基博氏
■1人の社員が生み出した、新たな面接の仕組み
審査員賞:ワークスアイディ株式会社
審査員賞:ワークスアイディ株式会社
「それぞれの審査員が独自の目線で高く評価したアクション」に贈呈する審査員賞は、3つの取り組みが受賞。守島基博氏(学習院大学 経済学部経営学科 教授/一橋大学 名誉教授)が選んだのはワークスアイディの取り組みだ。
HRS事業本部 HRSマーケティング室室長・朝比奈一紗氏は、女性社員の産休を機に2016年から人材派遣業界には珍しい“電話面談”をスタート。他社に先駆けリモートでの面接・登録を推進してきた。
個人の考えた行動が組織全体に広がり、会社の価値観に変化をもたらしたことが評価された本取り組み。朝比奈氏は「今後のテーマは“求職者への利便性”と“社内的なダイバーシティ”の二軸。いろんな人たちの働きやすさを把握し、個々の幸せを追求していけるような環境を整えていきたいです」と意気込む。
■“誰でも働きやすい環境”を作るダイバーシティ経営
審査員賞:大橋運輸株式会社
審査員賞:大橋運輸株式会社
アキレス美知子氏(SAPジャパン特別顧問/横浜市参与/EMPOWERジャパン共同代表)氏が選んだのは大橋運輸の取り組み。
人材不足や従業員の高齢化が課題となる運輸業界において、2011年から女性の採用を増やすためにフレキシブルな出社形態を提案。以降、外国籍社員への語学サポートや、 LGBTQに向けた履歴書性別欄廃止などの「ダイバーシティ経営」を行う。
代表取締役社長・鍋嶋洋行氏は「もともとは女性の働きやすい環境を作り、人材不足を解消するためにスタートしましたが、個々の特性を意識し改善するほどに、あらゆる人の働きやすい環境が生まれることを実感しました。LGBTQに関する採用配慮などはまだまだ都市部から広まっていない印象。自他問わず、これからもできることはたくさんある」とダイバーシティ経営が波及することに期待する。
■入社1年目が創業136年の会社で社内改革に挑戦
審査員賞:株式会社カクイチ
審査員賞:株式会社カクイチ
藤井薫氏(リクルートキャリア リクナビNEXT編集長)が選んだのはカクイチの取り組み。
創業136年の企業に対し、入社1年目の社員が社内コミュニケーションツール・Slackの活用による業務改革・組織改革プロジェクトを推進。新しく組織にジョインした社員が変革を起こしたこと、そして社内を巻き込むための工夫が評価された。
取締役経営統轄本部長・宮島宏至氏は「紙と電話、FAXでのコミュニケーションが中心だった企業。デジタルを導入することで、コミュニケーション量が増えました」とSlack導入後の社内の変化を振り返る。
また事業戦略部・服部悠司氏は「ツールを導入さえすれば全部うまくいく、というわけではない。『これを使ってこういうことをやりたい』という意思と覚悟が会社を変えていきました」と、プロジェクトが成功した決め手を指摘する。
■“シルバー人材×AI”で人不足を解消・地域に貢献
ワークスタイルバリエーション賞・審査員賞:株式会社ライトカフェ
ワークスタイルバリエーション賞・審査員賞:株式会社ライトカフェ
若新雄純氏(慶應義塾大学特任准教授 New Youth 代表取締役)による審査員賞、そして「働き手のバリエーションを多様化することに貢献したアクション」に贈呈されるワークスタイルバリエーション賞に選ばれたのは、ライトカフェの取り組み。
ライトカフェでは、現在60代のシルバー人材が12名、人工知能に正しい知識を学習させる業務「 AI アノテーション」に従事。彼らの能力を活かした“シルバー人材×AI”という切り口が評価された。
代表取締役社長の榊原喜成氏は「彼らの情報リテラシーは高く、プロジェクト開始からスムーズに業務は進みました。研修に加え、紙の作業マニュアルを配布したり、シルバー人材同士で教え合う風土を作ったりと、作業環境も重視したことがポイントだったと思います」とプロジェクトを振り返る。
■「褒める教習」で生徒数UP・社内の人間関係も変化
ワークスタイルイノベーション賞:大東自動車株式会社 三重県南部自動車学校
ワークスタイルイノベーション賞:大東自動車株式会社 三重県南部自動車学校
「働き方の生産性向上につながるイノベーティブなアクション」に贈呈するワークスタイルイノベーション賞を受賞したのは、三重県南部自動車学校。
南部自動車学校では2013年からブランディング戦略の一環として「ほめちぎる教習」を実施。従業員全員が「ほめる技術」を訓練し、朝礼でのロープレ実践などを経て、生徒の良さを引き出す講習を実践した。
代表取締役の加藤光一氏は「当初は生徒さんの成長実感が得られるように、と始めましたが、結果的に後輩社員が先輩へ質問しやすくなるなど、職場の人間関係にも変化が生まれ始めたんです。組織風土も変化したことは、私自身も驚きました。私たちの取り組みをベースに、他の教習所や教育施設、企業などに伝播していければ嬉しいです」と、取り組みが波及することを期待する。
■隣の社員に“ダル絡み”するための番組 視聴率は80%超
トレンド賞:株式会社マクアケ
トレンド賞:株式会社マクアケ
「その年の働き方や働き方の課題を解決しようと取り組んだアクション」に贈呈するトレンド賞に選ばれたのは、マクアケの取り組み。
有志社員らが社内コミュニケーションの活性化を目的とした配信番組「幕ウラでダル絡み」をスタート。毎週木曜日に社員をゲストに招いたトーク番組を配信し、なんと社内視聴率は最大80%を記録した。
番組マネージャーを手がける北原成憲氏は「偶然にもコロナ禍で社内コミュニケーションが希薄となったタイミングと重なり、創業記念日に24 時間放送を開催したことが、社内に浸透する起爆剤になりました。事前に出演者にアンケートをとり、プライベートを掘り下げることが企画のキモ。内輪ネタを共有し、次の日には社員同士が“ダル絡み”できるような仕掛けを意識しています」と、配信を社内に浸透させたポイントについて語る。
■家族・個人経営だった海苔の養殖を分業化 新規就業者数もUP
Cheer up賞:宮城県漁業協同組合 七ヶ浜支所
Cheer up賞:宮城県漁業協同組合 七ヶ浜支所
「労働環境や職場の改善が困難だと捉えられがちな業界で働く人にとって力強いエールとなるようなアクション」に贈呈されるCheer up賞。まずは宮城県漁業組合 七ヶ浜支所の取り組みから。
宮城県漁業組合 七ヶ浜支所では、東日本大震災で加工施設が壊滅的な被害を受けたことを機に、個人/家族で行っていた海苔養殖業を分業化。情報共有を図ることで、海苔の品質を飛躍的に向上させた。施設を共用とすることで経費が削減した結果、収益も増加している。
七ヶ浜支所 課長・鈴木洋氏は「職人1人1人に“生き残る”という同じ目標があったからこそ、前例の無い取り組みながらも協業を続けられました。震災から10年というタイミングで受賞できるのは嬉しい。近年では県外からの新規就業者も増えているので、今後は外部からのアイデアや若い力を取り込めれば」と感想を述べる。
■日勤と夜勤で制服を色分け 超過勤務の減少に
Cheer up賞:国立大学法人 福井大学医学部附属病院
Cheer up賞:国立大学法人 福井大学医学部附属病院
Cheer up賞には、福井大学医学部附属病院の取り組みも受賞。
一般病棟勤務者が原則として日勤勤務は白色、夜勤勤務は紺色のユニフォームを着用するようルールを周知したことで、定時終了の意識が高まり、内部コミュニケーションも円滑になった。
桒原 勇治氏は取り組みがもたらした効果について「日勤者と夜勤者が明確に分かるようにしたい、という意図からスタートした取り組み。結果として超過勤務が減ったり、隣の部門のシフトが把握できたりと、働く環境やコミュニケーションの変化につながった。一人一人がマネジメントを考えるきっかけになったのかなと思います。シンプルではあるものの、アワードを受賞したことで『外から見たら革新的な取り組みだったのか』と気付かされました」と述べる。
「職場は常に呼吸し続ける生き物」リクナビNEXT編集長・藤井薫氏インタビュー
今回GOOD ACTIONアワードを受賞した8社は、各々数時間にもわたるヒアリング取材と、審査員らによる喧々諤々の議論を経て選出された。審査員である藤井氏は、今年のGOOD ACTIONアワードを通して感じた「変化」を振り返る。
「2020年はテレワークによってコミュニケーションの間合いがつかめなくなった年。テレワークを通じ“褒める”や“挨拶”といったシンプルな行動が見直され、“相手への関心”――相手の“心”に互いに“関”わろうとすることの重要性を再確認できた年でした。
今年からトレンド賞とCheer Up賞を新設したのも、実はコロナ禍が背景にあります。大きな変化が訪れる時代に生まれた“新しい職場のあり方”に加え、『いかにエッセンシャルワーカーがいなければデジタルの仕事も立ち回らなくなるか』といった気づきを、世に発信すべきだと思いました」
そのうえで、今回は例年に審査基準に加え、新たな目線を審査に取り入れた、と藤井氏は語る。
「今までのアワードと同様『個人の思いが原点にあるか』は重視しましたが、『いかに職場に息吹を与えているか』も、今回は議論の的になりました。僕は職場や会社を“いきもの”だと捉え、常に呼吸し続ける存在だと思っています。アワードを受賞されたのは、そういった“いきもの”に新鮮な空気を与えるような取り組み。『経営が改善された』といった結果・成果にとらわれず、むしろ発展・進化の余地があるような取り組みも積極的に候補へ入れました」
では、来年以降のGOOD ACTIONアワードは、どのような変化が訪れるのだろうか。
「“働”という漢字を分解すると『人と人が重なることにより大きな力が生まれる』という解釈ができます。コロナ禍によって部署や担当、職場を超え、今までは重ならない人たちが重なるようになりました。2021年以降もその数多く生まれた重なりから、大きな革命が起きると思っています。
また今後は “LIFE”がキーワードになるでしょう。まず、大切な仲間を傷つけないよう“LIFE(命)”に配慮する職場環境はもっと進化していくでしょう。そして会社の中だけでキャリアデザインを考えるのではなく、長い“LIFE(人生)”の中でキャリアを捉えるライフキャリア・デザインの動きも加速すると思います。その2つの“LIFE”を見つめ直したエントリーが増えることを期待します」
――GOOD ACTIONアワード/リクナビNEXT
[PR企画:リクルートキャリア×ライブドアニュース]