家事が終わらず、ずっとなにかしら手を動かして大変…そんな人も多いのではないでしょうか?

「家事ノート」シリーズの本を出版している整理収納アドバイザーの三條凛花さんは、「家事を記録すると、逆に時間が生まれるのでおすすめです」と話します。家事ノートの書き方とメリットを、三條さんに詳しく教えてもらいました。

家事ノートで家事を「見える化」すれば、時間がたまる!




三條さんの家事ノート

家事ノートの内容は、家事の予定を管理していく「スケジュール」と、家事に付随するあらゆる情報を記録する「ログ」の2種類で成り立っています。「ログ」は、「モノ」「コト」「ヒト」「おつきあい」の4カテゴリに分けています。

家事ノートづくりをおすすめしたとき、よくいただく反応が「大変そう」「自分にはつくれないと思う…」ということです。確かにこのご時世ただでさえ手書きは手間です。でも、つくって必要なときに見返すだけで、驚くほど時間が貯まるということをお伝えしたいのです。

数年前までの私は、いくらやっても終わらない家事に悩まされていました。


最初は部屋が散らかっているからだと思っていました。ところが、散らかった部屋と向き合い、ものを処分し、きちんと整理した後も、家事にかかる時間はあまり減りませんでした。そして気がついたのです。じつは、私たちが「家事をしている」と思っている時間のほとんどは、実際に作業をしている時間ではなかったということに…。

・必要なものを「探す」
・わからないことがあって「調べる」
・今日するべきことを「考える」
・次に何を行うか「迷う」

といった時間でした。

こうした無駄時間な時間をなくせば、家事以外に使える時間を貯めていくことができます。そんな無駄時間をなくすためのマストアイテムが「家事ノート」なのです。
ここでは、家事ノートのいいことをご紹介していきます。

●家事ノートのいいこと(1) 家事を安心して終わりにできる



一日の家事のゴールを知っていますか? 全然できている気がしなかったり、あるいは一通り終わったつもりでも、気になるところを探せばきりがありませんよね。
家事ノートの中でも、家事の進捗管理に使う「スケジュール」があれば、その日の家事を安心して終わらせることができます。


私の家事ノートのスケジュール部分は、1か月の家事予定を見開き1枚にまとめています。この写真では、進捗管理がしやすいように、家事のリストを右側に持ってきています。

スケジュールには「毎日する家事(ごはんしたく、洗濯など)」ではなく、「週1回行う家事」「月1回行う家事」「今月の季節の家事」「天気に合わせて行う家事」「その他の単発の家事」を記入していきます。


毎日やらなくても困らないけれど、放置しておくと気になることはたくさんあると思います。たとえば、玄関の三和土の掃除や、イスの足についたホコリ取り、網戸の掃除などです。毎日しなくてもいい家事は、いつやるのかを決めておきます。

わかりやすい方法としておすすめしているのが「曜日固定」「日付固定」です。たとえば「月曜日は玄関掃除をする」「毎月1日と16日にキッチンスポンジを交換する」などです。


このようにやるべきことを固定しておくと、いつやるのか迷う時間が消えます。朝、頻度別の家事をまとめた紙を見て家事を行い、できたらスケジュールに進捗を記入する。この流れ作業になります。

ちなみに、毎日行う家事の進捗管理は、ここではしていません。やることがたくさんあるので1枚に収まりませんし、何度もくり返し行ったり、時間割をつくったりすると、自然と体が覚えていきます。


このようにスケジュールがあると、やり残しもすぐにわかるし、先延ばしぐせもなくなるので汚れが溜まる前に掃除ができます。そして毎日「今日はこれだけ終われば大丈夫!」と、安心して家事を終わらせることができます。

●家事ノートのいいこと(2) ごはん支度に迷う時間がなくなる



家事ノートの「スケジュール」にはメモ欄があります。ここには単発で行った家事や、使ったお金など、自分で自由に決めた内容をメモしていきます。私は毎月、いろいろな内容を記入して試していました。

なかでも印象に残っているのが、ある時期に「夕飯のメインおかず」を記録してみたことです。数か月記録を続けてみたところ、毎月同じようなメニューをくり返しつくっていることがわかりました。
わが家は、家族の好き嫌いの関係でつくれるものが限られています。だから、どうしても似たようなメニューになってくるのだと気がつきました。でも、同じメニューが出てくるのはだいたい月に1、2度なので、「いつも同じものばかりだ」という印象はありませんでした。

それならば、1週間分の夕飯メインおかずを固定してみたらどうだろう? と思い立ったのです。


このように、家事の記録をつくっていくことで、新しいノートや仕組みが生まれることもあります。固定化したメニューのラインナップがこちらです。

そうして4週間分のおかずを書き出し、そのとおりにつくっていくようにしたら、献立を「考える」時間が消えました。
もちろん、副菜などは考える必要があります。でも、メインのおかずが決まっていると、かんたんに決めることができます。
たとえば、なにも決まっていない状態だったらいろいろな選択肢があり、迷います。でも、麻婆豆腐の日だったら、クリームスープをつくるよりは、酸辣湯のほうがずっと合うというように、すぐにアイデアが出てくるはずです。


さらに、必要な食材もある程度固定されるので、買い出しのたびにメモをつくったり、スーパーであれこれ悩んだりする時間も激減しました。

●家事ノートのいいこと(3) 買いものに悩む時間が減った



家事ノートには、買ったものの記録もつけています。
わかりやすい例としては器や収納ボックスです。久しぶりに使う器が、レンジや食洗機に対応しているのかわからなくなったことはありませんか? また、収納ボックスを使っていて同じものを買いたしたいけれど、どこで買ったのかわからなくなることは?

買ったものの記録をつけると、こうした情報を「調べる」時間が消えます。


以前はイラストと文字で記録していました。同じ様式でつくるととても見やすいのです。
ただ、子どもたちとの生活でノートをつくる時間がぐっと減ってしまったので、今はスマートフォンも活用しています。


写真を撮ったり、ネットショッピングの商品ページのスクリーンショットを撮ったりして情報を保存します。


LINEを使っている方なら、自分ひとりだけをメンバーとして追加したグループをつくるととても便利ですよ。私は「買いものハンドブック」と名づけたグループをつくっていて、このグループのアルバムに、買ったものログを保存しています。

また、いつも使っている消耗品の写真を入れておくのも便利です。

スマホ版家事ノートがあれば、お店ですぐに情報が引き出せるので出先でも困りません。もちろん手書きでつくりたい人は、スクリーンショットの代わりに手書きノートの写真を撮って保存しておくのもいいでしょう。

●家事ノートはいつでもつくり直せる。だから、まずは気軽につくってみよう



家事ノートの詳しいつくり方は、私のブログや書籍で紹介しています。
ただ、伝えておきたいこと大切なことがあります。本やブログで紹介しているやり方は「子どもが生まれる前〜ほとんど寝たままの新生児時代」に「手書きノートが好きだったときの私」がやっていたものです。
ライフスタイルや環境が違えば、つくり方も変わってきます。


実際、子どもに手がかかるようになってから、少しずつやり方を変えてきました。大切なことは、家事の情報を記録して、無駄時間をなくすことです。家事ノートの目的は、きれいなノートづくりでも、がんばって継続することでもありません。

これが挫折につながるポイントなので、同じようにつくろうとせず、どうか、自分目線でやりやすいように情報を記録してみてください。
私自身のノートも、大学時代から形ややり方を変え、10年近い時間をかけて、ようやく「スケジュール」と「ログ」という、ベースの書き方ができあがりました。失敗や挫折は恥ずかしいことではありません。もっと使いやすいものをつくるための、大切なステップであり、ノートや暮らしを育てるための、大きなチャンスです。

家事ノートは何度でもつくり直せます。いつからでもやり直せます。もし興味がある方はこの春から、少しずつ始めてみてはいかがでしょうか?

最新刊『暮らしが整い、どんどん回り出す! 決定版! 魔法の家事ノート
』(扶桑社刊)では、これらのノート術がまとめられて、とじ込み式の家事ノートつもついているので、ぜひチェックしてみてください。

●教えてくれた人
【三條凛花さん】



ライター、整理収納アドバイザー。夫、長女、長男の4人+2猫暮らし。家事をムリせず楽しく続ける工夫を発信。著書に『もっと動ける私になる! 魔法の家事時間割
』(扶桑社)、『時間が貯まる 魔法の家事ノート
』(扶桑社刊)、『365日のとっておき家事 もっと暮らしやすい家と時短のしくみづくり
』がある。ブログ:「365日のとっておき家事」