岩手県奥州市にある南部鉄器の工房から、2020年11月5日、次のような写真付きのツイートが投稿され、話題になっている。

なぜか最近、「汽車文鎮」の売れ行きが良いらしい。写真を見ると、蒸気機関車をモチーフとした文鎮のようだ。

「銀河鉄道、宮沢賢治評価が高まってるのかな?って思ってたんですが、店に来てくれる子供たちのテンションが上がってはしゃいでいたのがようやく理解できました」というコメントが添えられている。

子どもたちのテンションが上がっているのは、記録的な大ヒットとなっている「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のためのようだ。

Jタウンネット記者は、ツイートを投稿した「南部鉄器工房及富」の菊地海人(@kaito_kiku327)さんに詳しい話を聞いてみた。

岩手軽便鉄道を模した汽車の文鎮


「菊地海人|南部鉄器工房及富」(@kaito_kiku327)さんのツイートより

南部鉄器工房及富は、創業以来172年という伝統を受け継ぐ南部鉄器工房だ。菊地海人さんはこの工房の跡継ぎとのこと。いま売れ行き好調の「汽車文鎮」は、そもそもどんなきっかけで生まれたのか、聞いてみると......。

「製作が開始されたのは、1990年代、日本国内で宮澤賢治ブームにあった頃と記憶しています。
弊社として、宮澤賢治に因んだものを作ろうということで、3種類の文鎮を作りました。 汽車、宮澤賢治像、本の文鎮です。
これは岩手県内の賢治ゆかりの地だけではなく、お土産もの屋さんでも取り扱いいただいております」

宮沢賢治の代表作、「銀河鉄道の夜』のモチーフになったとされる、岩手軽便鉄道を模した汽車の文鎮だという。素材は鋳鉄、幅18.5センチ、奥行1.2センチ、高さ2センチ、重量230グラムである。


南部鉄器工房及富ホームページより

「10月くらいから汽車文鎮が売れ始めました」と、菊地さんは語る。「汽車文鎮は以前から子供達にも大変人気があるのですが、親御さんと一緒に来た小学生の男の子が、『鬼滅じゃん!』と、目を輝かせていたのを覚えています」

机の上に汽車文鎮があれば、無限列車を連想し、テンションが上がって、学習意欲も向上するのかもしれない。これも鬼滅効果の一つだろうか。ちなみに汽車文鎮の価格は、2200円だ。子どもたちが勉学に励むきっかけになれば、安いと言えるだろうか?

ちなみに、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が封切られたのは10月16日のことだ。


南部鉄器工房及富ホームページより

菊地さんは一つ付け加えた。

「デザインのエピソードが一つありまして、汽車が逆だと言う指摘をされる方がよくいらっしゃるのですが、これは岩手軽便鉄道のありし日の姿を写真撮影されたものが、賢治記念館に残っており、それを参考に造形したものです」

あくまでも、岩手軽便鉄道がモデルであることを強調した。今回話題の無限列車とはまったく関係ないので、一応、念のため。

「でも、ちょっとかっこいいかも......」 Jタウンネット記者も、少しテンション上がった。